『与骨』じゃないけど
ゴーレムはもう一体近付いてたはずなんだけど、停止ではなく、後退し始めた。俺を捕まえたゴーレムと一定の距離を保つため、その場から動かなくなる事もない。
「ん? ゴーレム達の動きが変わった」
MAPを確認してみると、全ゴーレムが同じルートを進んでいたのが、別の場所に向かって移動し始めてるのが分かる。他プレイヤーが来た? 今到着したばかりのように黄色の点が三つ出現したから、それじゃない。ゴーレム達とは距離が離れているからだ。
「これって、かおリンと草井さんかな?」
「うおっ! いつの間に側にいるんだよ。殺されるとは思わなかったのかよ」
MAPを確認してる間に、レイが背後から声をかけてきたから驚くだろ。姿を見せた事で、ゴーレムに攻撃される可能性はあるし、かおリン達が来るまで壁の中に隠れてる事も出来たわけだからな。
「ポン骨も大丈夫なら、私も問題ないかと思って。この首飾りも淡く光始めて、ゴーレムにも同じマークがあるでしょ?」
レイが所持している『謎の首飾り』が反応した。やっぱり、謎関連の同じ装備なのかもしれないな。それとゴーレムの関係は分からないけど。他にもレイは俺の装備扱いで大丈夫なのかもしれないのもある。
「それとゴーレム達は装置の場所に行ってるんだよ。ここの装置は一つじゃないから。私とかおリンがこれ以上行けなかった理由もそれだし」
「そうなんだ……いやいや、役割は果たせたかもしれないけど、ゴーレムに『与骨』するのは無理だって。この鎧があったから良かったけど」
謎の鎧を手に入れといて良かったかも。ゴーレムに『与骨』しても拒否したと思うぞ。
「レイはかおリン達を案内してくれないか? 一緒にいればゴーレム達がかおリン達を攻撃しないかもしれないし」
前回、かおリン、レイ、草井さんの時は隠れて行動したはず。今回は気にせず進めたら、時間短縮になるし。現実でも0時を過ぎそうだし、そろそろ止め時かも。その前に下の階で中断したい。
中断は街を一緒で移動するのと一緒。一度だけ、中断した場所へ行く事が出来る。勿論ダンジョンの最初から開始というわけじゃない……って、俺は一度も使ってないから、そう思ってるだけなんだけど。
丁度、ゴーレムの足が止まった。少し広い部屋の中央付近で、『ガタン』と音がしたのと共に下へ行く階段が現れた。何処か別の場所へ連れて行かれる可能性は無くなったわけだ。それに俺達が先に行くと、かおリン達が下に行けないどころか、ゴーレム達が再起動するかも。
「分かった。ここは壁をすり抜けていけるから、すぐに案内出来るけど……先に行ったら駄目だからね」
そこは信用しろよ。俺が一人で言っても限界があるし、装置を動かすには多人数いるんだからな。下の階にゴーレムがいるかも分からないし、この場所にいるゴーレムだけが無害だったかもしれないんだし。




