パーティー内最弱の俺
「ここは装置と地下二階にいく階段が一緒にあるわけじゃない。先に階段がある場所の蜥蜴を倒さないと駄目だ」
狼男がそう説明するけど、効率を考えると装置を動かしてから、階段がある場所に行くべきなんだけど。
「ああっ! そういう事なんだ。コイツの言ってる事は間違ってないかな。ここに像は置いてなくて、もう一つの部屋にもないし、他の物で代用するしかないんだよ。前は草井さんを置いたんだけど」
レイは納得した感じだけど、今回は草井さんを置いていかなくて良いのか? 別に草井さんじゃなくても良いんだけど……
「蜥蜴を石像の代わりにすればいい。死体は時間の経過とともに消滅するから、地下二階を守る蜥蜴を先に倒さないと時間が足りないかもしれない。野良魔物でも、すぐに復活するわけじゃないからな。これが下の階も出来るわけじゃないんだけど」
なるほど。これは前回攻略してないと分からない方法だな。
「見えてきたぞ。あれが蜥蜴擬きだ。俺一人では時間が掛かるから、協力して貰うぞ」
狼男が言うように、蜥蜴の魔物の姿が見えてきた。その姿は竜の肉屋の店主に似ていて、進化前の姿かもしれない。協力を頼んだのは勿論、かおリン。俺やレイは眼中にないみたいだ。
「何を私に命令してるんだか。偉そうに言うんだから、お前一人で……」
かおリンは傍観するつもりが、狼男よりも先に蜥蜴に向かって行く。今気付いたけど、カエルの魔物がかおリンに触れたみたいだ。蜥蜴は大丈夫みたいだけど。
「お前達はカエル達を倒すくらいは出来るよな? カエルは蜥蜴の餌で、縄張りの部屋に入ると暴走して面倒になるからな」
わざわざ食べられるためにカエルの魔物が中に入るのは仕様なんだろうな。一匹だけじゃなく、続々と出現する。
「馬鹿にするなよ。それぐらいは何とかするさ」
カエルは人の拳大のデカさ。狼男に食べられるくらいだから、そんなに強くないはずだし!この体での戦闘には丁度良い相手だ。ここで格好良いところを見せておかないと。
そう思ってたのに、先に草井さんが最初の一匹を握り潰してしまった。
「それなら次のカエルは俺が……」
レイは無力だから、俺と草井さんの二人で対応しないと駄目だと思ってたのに、カエルに数個の石が飛んで行き、次々と倒していく。後ろを振り向くと、レイが両手を突き出してる。もしかして、いつの間にか魔法を使えるようになったのか?
「何? ああ! 漫画肉を食べたら『ポルターガイスト』を使えるようになったんだ」
ポルターガイストって、特定の場所で謎の現象が起きるあれ? 床に落ちてる石を飛ばしたわけか。それって、俺が一番のお荷物のままじゃないか!




