象の敵討ち
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「よし! 無事にマイルームに戻れたな。後はレイ達がいるかどうかなんだけど」
「この! 本当にいい加減にしてよね」
レイの声が聴こえてきたぞ。という事は、二人共無事に帰ってこれたわけ……
「がはっ! 何するんだよ……って、何の骨だ」
「あれ? 部屋に戻ってきてる……ポン骨! 良かった……無事だったんだ。ポルターガイストで固定してたのに、気を抜いたら転げ落ちていったから」
レイはキョロキョロと部屋の中を見たのは、急にマイルームへ戻されたからだ。俺の姿を見て安心したのと同時に、戻れた事への安堵もあるみたいだ。
「って、草井さんは大丈夫なのかよ! ゴブリン達にやられたのか?」
イケメンだった顔が前に戻った……じゃなくて、右足が千切れていた。レイが俺の頭に骨を落としたのも、ゴブリン達と戦闘中だったのかも。ゴブ蔵は手下達に足留めを命令してたはずだ。
「そうなの! しかも、相手は象の元カレみたいでさ。原因は俺にあるって、私達を逃がしてくれたんだけど……時間差で追い掛けてきたのよ。一体何だったのよ。私には攻撃が通じなくて、草井さんばかり狙われてさ」
「そのお陰でレイが無事なら問題ない。違う攻撃を何度も試されていたら、危なかっただろう」
ゴブリン達は魔法、魔力が宿った攻撃は出来なかったのもあるし、宙に浮いてるのもあって、レイに攻撃は届かなかったみたいだな。その代わり、狙いは草井さん一人になったわけだ。レイの安堵は俺だけじゃなく、草井さんの事もあるだろうな。
「ギリギリだったんだな。これもゴブ蔵、象の元カレと運営のせいだな。まだ狙われる可能性もあるし、行く場所を変更するか」
象の護衛で山を通る事になっただけで、別の場所に向かってもいい。今行ったとしても、ゴブ蔵が血眼になってレイや草井さんを探してるはず。ゴブ蔵本人じゃないけど、戦闘中だったはずなのに、急に相手が消えたわけだからな。
「これも元カレのせいなわけ! あの人を襲ったのも腹が立ってたのに……私としては、彼の敵討ちしたい。何か良い方法はないの? 草井さんも痛い目にあったんだよ」
あの人って……象の魔物の事? 確かにムカつきそうな奴だったけど、敵討ちでも勝てるかどうかだし、運営の思うつぼのような気がしないでもない。けど、草井さんが痛い目をあったのも事実なわけで。
「アイツを倒す方法か……」
明日になれば、運営が倒したゴブリンが復活するか、野良達で補充するかもしれない。その前に攻撃を仕掛けるか。
けど、ゴブ蔵がレイ達を倒せなかった事で、明日に駄目な映像を流されて、他プレイヤーからはゴブリンの素材対象扱いになるとすれば、それを利用する事も可能なんだよな。
今日か明日のどちらにするか。移動も時間が掛かるとすれば……っと、移動場所に山に入ったばかりの場所だけじゃなく、ゴブリンの巣穴も選べるようになってるぞ。




