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65.可愛い仕返しをしました

お読み頂きましてありがとうございます。

「おまえねえ。あれほどオレの店で女を押し倒すなって、口を酸っぱくして言ったのに。またしてもやりやがったな。ここ最近は大人しくしていると思ったら未成年の男の娘にまで手を出しやがって。」


 厨房まで声が届いたらしく店主もやってきて説教を始めた。前科があるらしい。


 俺は身嗜みを整えて、順子さんの後ろに隠れている。


「ちょっと待って下さい。そんなに頻繁にやってるんですか?」


 この人、政治家としては品行方正なほうで女性問題で週刊誌沙汰になったことなんて無かったはずだ。


「前回見つけたのは、国会議員に出馬する前だから20年くらい前だったかなあ。あれほど手を出すなら玄人の芸妓にしろと言っただろうが。馴染みの芸妓はどうしたんだ?」


 独身か既婚かは知らないが若いころに女性を口説くときに使った手段だったらしい。若くて将来有望な青年に高級な料亭に連れてきて貰い、押し倒されたなら靡いてしまうかもしれないな。


 まあ玄人なら良いという考えもどうかと思うが当人同士が了解しているなら問題ないだろう。


「そんなの大臣になる前に別れたよ。妻は子供が出来たら店仕舞いしやがるし、ここ5年ほどはボッチだよ。ああなんでこんなことしちゃったかな。」


 大臣になる前に周辺を綺麗にしておけというのは女性関係も入るらしい。性風俗など行こうものなら叩かれる。


 だがそれによって禁欲せざるを得なくなり、性衝動が抑えきれなくなるのでは意味が無い気がする。


 男が頭を抱える。常習犯という訳では無さそうだ。


なにも(・・・)無かったんだし、その辺にしておいてあげてください。」


 唇は死守出来たし、この程度のことなら『キャラメ・ルージュ』では日常茶飯事だ。一々訴えていたらキリが無い。それに政界を嫌う社長が再び一から人脈作りさせるのも忍びないからな。


「チーちゃん。それでいいの?」


 この場で身体を弄られたことなんて告白すれば順子さんが暴走しかねない。今度こそ再起不能にされてしまうだろう。


「いいの。今日のところは『貸し』にしておきますね。」


 助かったと思ったのか息を吐く男に釘を刺す。


「オレもちゃんと覚えておくから、しっかりと取り立てろよな。」


「お騒がせして申し訳ありませんでした。」


 ここまで大袈裟にする気は無かった。大声を出せば隙が出来る。その隙を突いて逃げ出せればと思ったのだ。


 着慣れない着物で醜態を晒したけど、袖を捲れば負けないつもりだ。


「謝るのはコッチのほうだよ。こんなことで京都を嫌いにならないでくれよ。今度来たときは寄ってくれ。もっとええところに連れてやるから。」


 何か良いところの意味が違う気がする。しかも熱い視線がギラギラで身の危険を感じるレベルだ。


 そういえば『オレの店で』って言っていたな。他の店でもやっているということを知っているということだ。2人はグルでこの人のほうが常習犯じゃないのか。


「アタシよりもこの人が発散できるようなところに連れて行ってあげてください。今のままだと再び繰り返してしまいますよ。」


 乗ってくると思っていたのか店主はキョトンとした顔をしている。ますます怪しい。


「えっ・・・ああそうだな。だが秘密を守れるレベルとなると玄人の芸妓でもババアくらいだぞ。若けえのだと月何十万も払って愛人にするしかねえよ今の世の中、金だからよ。週刊誌の記者に金を積まれたらゲロしちまう。」


 良く知っているな。裏の世界の事情に詳しすぎだろ。これはホンボシだな。


「あら他にも方法があるわよ。性欲を抑える薬を医者に処方して貰うの。」


 突然、志保さんが話に割り込んでくる。泌尿器科医志望だから、こういった話には滅法強い。男かと思うほどエロ話にも乗ってくるのだ。


「そんな薬があるのか。ババアよりそっちのほうが・・・。」


 女性ホルモンのことだろう。確かに性欲は落ちると聞く。いや男性機能を破壊してしまう。未遂犯への罰にしては重すぎるのでは無いだろうか。


「それって、精神科ですよね。政治家なんだから受診自体無理でしょう。サプリメントで十分なんじゃ無いでしょうか。サプリメントなら医学生の志保さんでもコントロール出来ますよね。」


 政治家が精神科を受診したら、国会議員を辞めさせられる。


「えっ。サプリメントでもできるのか。それは是非とも教えて欲しい。」


「女性用更年期障害のサプリメントなんですが、男性の性欲を抑えることが出来ます。副作用として髪が艶やかになって薄毛の進行が止まったという友だちがいます。」


 コッチは疑似女性ホルモンだ。大量に摂取しなければ男性機能を破壊するまではいかない。


「えっ毛が生えてくるっていうのか!」


 広いオデコを撫でながら店主が食いついてくる。掛かったっ。


 生えなくなった毛根から生えては来ないが生きている毛根が死ぬことは少なくなり、そこからはもちろん生えてくるらしいのだ。まあAGA薬も女性ホルモンだというからな。嘘は言ってないよな。


「あと内臓脂肪が減ってメタボリックシンドロームから脱却したという友だちもいます。」


「デブじゃなくなって何でも食べられる。そんな魔法みたいな薬。本当にあるのか。だが男性機能が衰えるんだろう?」


 内臓脂肪は減る代わりに皮下脂肪は付きやすくなるからデブになるかは人それぞれだ。腹回りにつけばメタボリックシンドロームだ。医者はとめるだろうけど嘘は言ってないよな。


「そうですね。エッチするには支障が無いそうです。ギラギラしたところが無くなるので逆に肉食系女子に良くモテて困っていると友だちは言ってました。」


 性転換をしていないと言ってもニューハーフだから、それは困るわな。


「困るほどモテるのか。凄いな。」


 そんなことを言っていないんだけどな。本当にこの人明後日の方向に解釈するよな。


「但し、本来の使い方じゃないので内緒でお願いしますね。」


 オレが男の耳元でサプリメントの名前をコソッと囁く。


「後でオレにも教えてくれよな。オレとお前の仲だろ。」


 やはり2人はグルだったんだ。万が一発覚したときには店主がなだめ役に回るのだろう。


 少しくらい仕返ししてもいいよね。可愛い仕返しだよな。

多くの女装さんが実施に試した感想です。

他に問題が発生しないとも限りませんので調べて試そうとしないでください。

またワザとサプリメントの名前も出さないように執筆していますので、もし解ったとしても感想欄などに投稿なさらないようにお願いします。

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