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プロローグ ~何故かオネエデビューすることになりました~

 彼らは光っていた。


 容姿端麗、文武両道。

 そんな逸材が3人も同じクラスに居てツルんでいれば嫌でも目に付く。


 中高一貫校の高校入学なんて持ち上がった人間ばかりで新鮮味に欠けていたのだが、彼らは外部入学組でいつも人だかりが出来ていた。


 本人たちが言うには、お笑い担当であるヒデタカは喋って笑わせるのが得意、ヤンキー担当のタツヤは凄むと怖い印象、知性担当のユウタは数学で全国統一テスト3位という頭の持ち主だ。


 他にも所属している運動部で1年生にしてレギュラーポジションだったり、入試もトップクラス、持ち上がり組を交えた中間テストでも5位以内とか逸話も多い。


 何処かの会社の社長の息子という噂で、誰にも分け隔てなく接する社交性を持ち合わせていた。


 だから彼らはモテた。


 下は可愛い中学生から上は美人の女教師まで入れ食い状態で告白されていたが3人とも特定の彼女は作らない主義で丁重にお断りしているらしく周囲に友人以上恋人未満の女性が増えていった。


 それにひきかえ俺は奨学金を得るために学力は上位を維持していたが、カネも無い、友人も居ない。特技と言えば生活苦により否応無しに身に付いたお弁当作りくらいだった。


 そんな彼らと俺が友人となったのは1学期の半ばに行われた席替えの結果、偶然彼らの近くに座ったことだった。


 担任だった男性教師の嫉妬だったのか良く解らないが勉強の妨げになるという理由で彼らは隅に固められ、周囲の席は男ばかりと決められたが本人たちが何も文句を言わなかった所為ですんなり席替えが終了したのだった。


 俺の席は右後ろの隅に追いやられた彼らに囲まれた更に右後ろという完全な孤立地だった。


 それからというもの休憩時間には俺の席の周囲、正確には彼らを含む4人の周囲に人だかりができるようになった。そんな中で社交性を発揮した彼らにより、友人という立場を獲得したのだった。


「お前、オネエキャラ担当な。」


 1学期が終る直前、随分彼らと仲良くなり帰り道に遊びに行ったカラオケでタツヤから問題(くだん)の発言を聞かされることになった。


「へっ。」


 一瞬何を言われたのか解らなかった。イジメじゃないよな。皆の目は真剣だ。


「ヤラないなんて言うなよな。」


 凄んで見せたタツヤの顔にビビる。ヤンキー担当と呼ばれるだけのことはある。


「おいタツヤ。それじゃあ脅しだ。チヒロをオレたちの仲間にしたいんだ。」


 ユウタがタツヤの後を引き継ぐように話しかけてきた。


 結城智広(ゆうきともひろ)が俺の名前なのだがいつの間にかチヒロという愛称を彼らに付けられてしまった。きっと身長160センチというチビだったからであろう。


「仲間?」


「そうだ仲間だ。実はお笑い担当のヒデタカもヤンキー担当のタツヤも僕がプロデュースした仲間なんだ。チヒロは可愛いし器用だし、運動も勉強もソコソコできる。でもこれといった特長が無い。」


 ヒデタカは元々素質はあったらしいが話術やお笑いを勉強して身につけた。タツヤは少々目付きが悪いことを引け目に感じていたが凄みを利かせることで普段の顔が温和に見えるようになったらしい。


 可愛いは余分だが、彼らに自分でお弁当を作っていることも言ったし、小テストではクラスでユウタに次ぐ点数を獲得しているのも確かだ。


「いいよ。」


 細かい話も聞かずに即答した。学年カーストのトップに君臨する彼らに逆らうなんて思いも寄らないことだったが、それにも増してお調子者の俺が面白そうと思ってしまったのが敗因である。


 中学時代、年の離れた妹たちのお迎えで放課後居残れなかった俺は委員と名の付くものには成れなかった。でも俺はそこそこ優等生という立ち位置を利用して委員の手伝いと称し面白そうと思ったことには率先して企画立案折衝などの仕事を請け負い学生生活を満喫していたのだ。


 それが母親の再婚で経済的余裕が生まれ、出産で母親が家に居るようになったため、妹たちの世話も俺の手から離れて、この夏休みをどう過ごそうかと悩んでいたのだ。


 何かを新しく始めるには絶好のタイミングだったのである。


「チヒロに解らないところがあれば教える。」


「うん。いいよ。」


 OKの返事を出したつもりだったが説得の言葉が続く。


「周囲に居る友人たちには事情を話してフォローさせるつもりだ。」


「だから、アタシはイイヨって言ってるわよ。聞いてる?」


 早速、オネエ言葉を使ってみると3人ともギョっとした顔をした。


 さらっとオネエ言葉が出てきたのは、お調子者の俺がテレビのオネエの真似をして妹たちを笑わせることが良くあるからだ。


「お前、元々オネエだったとか「シツレイね。そんなワケ無いじゃない。」」


 オネエ言葉で否定して言葉を元に戻す。


「テレビの真似だよ。信頼しているからな。今のは面白がって笑うところだぞ。変な態度を取るなよな。」


「お、おう。」


 こうして俺は2学期からのオネエデビューを目指して勉強することになったのである。

興味を持って頂きましてありがとうございます。

主人公はオネエキャラを演じているだけで

男性に対しては男の友情とオネエとしてのからかい。

女性に対しては男の愛情とオネエとしてのやさしさ。

という至って男主人公としてはノーマルな物語となっております。


ありがちなソフトなボーイズラブも一切ありませんので

ご希望でしたらリクエストを下さいませ。18禁で頑張ります。


では引き続き、物語をお楽しみくださいませ。

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