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自称!平凡魔族の英雄ライフ~B級魔族なのにチートダンジョンを作ってしまった結果~  作者: あまうい白一
第三章

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第7話 新たな友人と一緒に

「なんで、ではないわ。私も! 私も健康診断に行くからよ!」


 水着を着用して健康的な肢体をあらわにしたアリアは、ふうん、と鼻息を荒しながら仁王立ちしていた。

 そして、そんな彼女の背後には、普段着姿のミスラルトもいて、

 

「……妹が突然乱入してしまって本当に済まない、クロノ君」


 彼は困った様な表情と共に俺達に会釈してきた。


「いや、別に乱入とかはいいんだけどさ。ミスラ達も健康診断に行くのか?」


 聞くとミスラは頷いた。

 そして申し訳なさそうに口を開く。

 

「実はクロノ君たちが健康診断をするとの事を、アリアが聞いたらしくてね。そうしたら、自分も一緒にやりたいと言い出して……。申し訳ないが、妹だけでも君たち一向に混ぜてもらってもいいだろうか? 少々騒がしくなるかもしれないが……」

「むっ、私は医者の前では静かよ、ミスラルト! 迷惑をかけるのは駄目って言われているし、注射が嫌いだからね! 神妙になるわ!」

「……まあ、この通り、かなり騒がしくなるけれど、頼めるかい?」


 その問いかけに、俺とユキノは顔を見合わせて、頷き合う。


「許可を取るような事でもないだろう。健康診断に行くタイミングは個人の自由だし、俺達と一緒だって別に良いと思っているし。ユキノさんはどうです?」

「ワタシもクロノと同意見。後輩の面倒を見るのは先輩の務めだし。……っと、ソフィアも来たね。どう? さっきの話、聞こえてた?」


 話している内にソフィアがカウンターの方から帰ってきた。そして彼女は、ユキノの言葉に苦笑しつつ頷きを返す。

 

「はい。大きな声でしたからね。ともあれ、私もアリアさんとは仲良くしたいと思っていましたから。是非、この機会にお喋りでも出来れば嬉しいですね」

 

 そんな、俺たちの言葉に、アリアは両手を上げて喜びながら、

  

「ありがとう! よろしく、よろしく頼むわ、クロノ。ユキノ、ソフィア!」


 俺達一人一人に抱き着いて、嬉しさを示して来る。その上、

 

「ソフィア、ソフィア。吸血鬼のお姫様の貴方と友情を深められるのは嬉しいわ!」

「ええ、こちらこそですよ、アリアさん」

 

 ソフィアに抱き着くなり、何やら厚く感謝の言葉を言っているし、本当にテンションが高いというか、情熱的で素直な子だなあ、と思っていると、


「ああ、良かった。本当に突然の申し出で済まない。妹の事を預かって貰えて、助かるよ。有難う」

「いや、こんな事で礼を言われるほどでもないさ」


 俺の言葉に、ミスラはほっと息を吐いて微笑する。

 本当に、気遣い屋なようだ。


 自分に兄妹はいないけれども、これが兄の気質というものなのだろうか。


 そんな事を思いつつ、ミスラを見ていると、


「……」


 彼がアリアを向ける目の中に少しだけ、羨ましそうなものを見る色が混じっているように思えた。

 だから、というわけではないのだが、俺は彼に尋ねてみる事にした。


「というかさ、妹だけとか言うなよ、ミスラ」

「え?」

「どうせなら、お前も一緒にこないか?」


 俺の言葉に、ミスラは一瞬表情を凍らせた。


「ぼ、ボクもかい? その、迷惑ではないかな?」

「迷惑な訳ないだろう。人が多い方がワイワイできて楽しいからな。勿論、俺達と一緒なのが嫌じゃ無ければ、だけどさ」


 それに、兄妹で別れて受けるのも面倒だろう。

 だったら、一緒に行ってしまった方がいい、とそう思って提案してみた。するとミスラは、

 

「ええと……そ、そうだね」


 歯切れの悪い返事がきた。

 これは、もしかすると、


「あれ……マジで俺達と一緒は嫌だった?」


 ちょっと不安になったので思わず聞いてしまった。

 すると、ミスラは慌てて首を横に振った。そして、僅かに口元を緩め嬉しそうにしながら、


「そ、そんな事は無いさ! ボクの方こそ、クロノ君と仲良くなりたいんだから、是非お願いしたい位だし! ぜ、是非とも男同士、裸の付き合いをしたい位だよ」

「いや、健康診断だからな? 風呂じゃないんだから、裸の付き合いは別案件だろう?」


 着替えの際に裸になるだろうが、ジロジロ見合うようなもんでもないだろうし。


「そ、そうだったね! うん、ゴメン。早まったよ!」


 何やらミスラルトの表情がおかしい。にやけと戸惑いが同時にあるような、ぎこちない表情になっている。

 言動とテンションもおかしくなっているようだし、


「大丈夫か……? 顔も赤いし……ムリしなくていいんだからな?」

「いやいやいや、無理じゃないさ。うん! ちょっと色々と想像してしまっただけだね、うん!」


 出会った時の印象で、ミスラルトは結構冷静な子だと思っていた。

 ただ、意外とそうでもないのかもしれない。

 

 ……ああ、でも、魔王城に来たばかりで、初対面の人を相手にして、緊張しているのかもしれない。

 

 俺もそうだった。

 緊張して、いつも通りの行動を心掛けようとした結果、なぜかエアポケットを作られてしまったし。

 

 友人作りが上手くいかなくて困った事もあった。

 ただ、皆が俺の緊張をほぐしてくれた事もあって、今の俺があるわけで。

 

 それなら、今回は俺がミスラの緊張をほぐそう、と、彼の傍に近寄り声を掛ける。


「まあ、なんだ? ミスラが一緒に来てくれるなら嬉しいよ。実のところ、な。折角のイベントなのに、男一人だと少し心細いと思っていたしな」


 これは事実だ。

 生まれてこの方、同年代の水着の女性たちに囲まれたことなんてない。

 かなり刺激的だろうし、割とドキドキするのは予想ができる。


 だからこそ、同年代の男友達であるミスラルトがいてくれると助かると思ったのだ。

 

「そのあたり共通の話題で話せる奴がいると楽しそうだしな」


 それ故、ミスラルトがココに来てくれたのは、凄く有り難いことだった。それを伝えると、ミスラルトはわずかに驚きの表情を作った後、

 

「あ、ああ。そうか。共通の話題、か……」


 それを誤魔化すように微笑した。

 その上で、先ほどまでのおかしなテンションではなく、前々に見ていたような温和な雰囲気に戻って、

 

「うん。そうだね。ここはクロノ君のご厚意に甘えて、混ぜさせてもらうよ。気遣ってくれてありがとう」

 

 こっくりと頷いてから、一度会釈をしてきた。


「さっきも言ったろ。気にしないでくれ。友人と助け合うのは当然の事なんだから」

「……ふふ、そうだね。でも、ボクを友人として扱ってくれるのは本当に嬉しい事だから、重ね重ねお礼を言わせて貰うよ。ありがとう」


 何てことない事に感謝の言葉を出されると、少しこそばゆい気持ちもあるが、折角だ。受け入れさせて貰おう、と思いつつ、


「ようし。じゃあ、全員で診断に行くか」

「おー!」


 そんなわけで俺は新たな装備である水着を購入した後、以前からの友人達と、新しく出来た仲間達と共に、医務室へと向かうのだった。

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最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら冒険者をやる話です。
 100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます
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