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自称!平凡魔族の英雄ライフ~B級魔族なのにチートダンジョンを作ってしまった結果~  作者: あまうい白一
第二章

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第36話 巨大ダンジョンを有効に活用する一つの方法

「みなさん、改めて、ありがとうございました!」


 鬼神が倒されたことで目を覚ましたソフィアはまず、俺の横で、ダンジョンにいた面々に向かって頭を下げていた。


「おかげ様で助かりました」


 そんな彼女を学生たちと教授の集団はボロボロな状態で、しかし笑みを持って迎えた。

 

「これ位、良いって事よー!」

「こんなもの、ちょっと転んだみたいなもんだからね。というか大体の件にケリを付けたのはクロノだしさ」

「そうそう。だから気にしなくていいぜ、吸血鬼の姫さん!」


 同級生たちからの暖かな言葉に、ソフィアは目を潤ませながらもう一度頭を下げた。

 丁寧な彼女の対応に、学生たちは思わず苦笑していると、

 

「いやあ、こんな光景を見れるのは、魔王冥利に尽きるねえ」

 

 頭に止血用のガーゼを付けたリザが俺の横まで来て、小さな声でそんな事を言い始めた。

 

「あ、リザさん。もう治療は良いんですか?」

「うん、だいじょぶだよ。他にヤバそうな子も、全員医務室に叩き込んだから、しばらくすれば出てくると思う。魔族は頑丈だからね。……クロノ程頑丈なのはそうそういないけれどさ」

「ソフィアやブラドのおっさんとかに比べると、俺も頑丈っていうほど頑丈じゃないんですけどね」


 と、俺はいまだに教授陣にお礼を言い続けているソフィアと、その横で娘の事を見てうんうん頷いているブラドに目をやった。

 

「実際に戦って分かったけれども、あの二人……というか吸血鬼のガードは硬かったですからねえ。こういう種族ならではの特性を見せられると、いかに自分が何の特性も持っていない魔人かを思い知りますよ」

「あはは……その思い知りのせいで、あんなとんでもない威力の技が生まれるんだから、何とも表現に困るよねえ……」


 驚き半分、諦め半分といったような声を出した後で、パンっと手を打ち鳴らした。

 

「ま、それはともかく、これで事件は終わりって事でね! 皆もお腹が空いているだろうし、祝勝会をしようと思うんだけど…………クロノ、ここでやらせてもらってもいいかな」

「え、ここでって、俺のダンジョンで、ですか?」

「うん、そう。ここって広くて、皆もいるから、使わせてもらおうと思って」

「それは別にいいですけれど、俺のダンジョンに祝勝会を開けるような機材はありませんよ?」


 何せ、本当に広いだけのダンジョンだ。

 誰かをもてなせるような機能なんてついていない。そう言ったら、リザはふふふ、と何かを含んだ笑いを浮かべた。


「それは大丈夫だよ、クロノ! なんたってこのダンジョンは今、魔王城の中央と繋がっているんだからね! そして、さっき私は外に出て、既に注文を終えているのだからね」


 リザはそう言った後、もう一度手を打ち鳴らした。すると、ダンジョンと繋がっている中庭の方から、食堂の店員さんがどんどん入ってきた。

 

 そして、テーブルごと料理を持って、だ。

 

「ああ、確かに、中庭にダンジョンと繋がるドアを開いているのだから、運搬も楽ですね、これ」「でしょ? だから――さあ、皆。場所を開けて! 私の奢りで宴の準備だよ!」

「うおおお?! マジか! 魔王様ありがとー!」


 リザの言葉に学生たちのテンションが上がっていく。

 戦闘後ということで大分ハイになっているのもあるのだろうが、楽しげな雰囲気で何よりだ。


 ただ、このテンションのまま、穴だらけの百層で立食パーティー状態になるのは少し危ないだろう。

 だから、俺も楽しい雰囲気作りを手伝おう、と、


「それじゃ、軽く騒ぎやすくて、危なくないような場所に作り替えますかね。――床よ、平らに戻ってくれ」


 俺は腕から鎖を放ち、己のダンジョンに命令した。

 すると、鬼神との戦闘で、ボロボロに荒れていた石床が独りでに穴を埋め始めた。

 

 やがて数秒もすれば、ワンフロア分の床が綺麗な平面と化した。これならば、テンションが上がっても、怪我をするような地形では無くなったはずだ。

 

「うおお……やっぱすげえな、クロノのダンジョン操作能力は!」

「ええ、こういう会場のセッティングまで一発で出来るのね。応用力半端ないわね」

「ありがとうよクロノ。戦闘に引き続き、宴の救世主だぜ」


 随分と救世主という言葉が安売りされている気もするが、まあ、良いだろう。

 皆、程よく頭の中が熱されているのだろうし、そこに水を差すのもどうかと思うし。

 

 今は、今日の戦闘で荒れてしまった百層をある程度まで復元しておくことにしよう、と俺はどんどん床をならしていったのだが、


「ねえねえ、クロノ。あそこ、赤く色づいているけど良いの?」


 料理の運搬指示を出していたリザが、フロアの隅っこを指さした。そこを見ると、


「……ああ、本当に赤くなってますね。あれは鬼神の体をぶっ飛ばしたところですか」


 鬼神の体を構築していた赤い液体が染みついた床が出来ていたのだ。

 先ほど暴れに暴れた奴の名残が残っていると思うと少し微妙だ。

 

「そうそう。もしも床を張り替えるなら、あそこだけ料理テーブルの搬入を遅らせるけど?」

「あー……いや、でもそこまでするほどのモノではないですねえ」

 

 色合いとしてはそこまでおどろおどろしいものじゃなかったりする。だから、とりあえず、

 

「ブラドのおっさーん。ちょっと聞きたいことがあるんだけどー」


 近場にいた鬼神を持っている本人に聞いてみることにした。

 

「む、何だクロノ少年。聞きたいこととは、もしやソフィアの今夜の予定か? それならば、本人に聞くと良いぞ。多分喜んで応えてくれると思うのでな」

「結構興味を惹かれるけれど、残念ながら、今、聞きたいのはそれじゃなくてな。……そこに、鬼神の血が沁み込んじまったんだが、鬼神を倒した後に出る液体って有害だったりするのか?」


 尋ねると、ブラドは数秒を黙って考えた後で、俺に答えを返して来る。


「ううむ、一応、文献でも現状調査でも特にそういう毒性は発見されていない。豊富な魔力の根源は含んでいるが、それくらいだ」

「ふむ、それなら、今はあれでイイか」

 

 今のところあそこから奇妙な力や気配は感じないし。

 むしろ殺風景だった石床を、鮮やかな赤で染色した様な感じで、綺麗だし。


 もしも何かしらダメな部分があったら、その時に張り直せばいいのだから、とりあえず今はこれで行こう。


「という訳でリザさん、あそこにも道具を運んじゃって大丈夫ですよ」

「うん、わかった。それじゃあ、ささっと搬入しちゃうね」


 こうして、リザが準備を開始してからわずか数分後。

 俺のダンジョン百層目はパーティー会場に早変わりした。そして、


「――それじゃ、セッティングも済んだことだし……カンパーイ!」

「カンパーイ!!」


 吸血鬼親子を助けた後の楽しく爽快な、バカ騒ぎが始まるのだった。


お陰様で書籍版もTSUTAYA文芸で11位に! 本当にありがとうございます! 

あとは週明けが怖かったりしますが……不安を払しょくするためにも、頑張って書いていこうと思いますので。

書籍も連載も、応援して貰えると嬉しいです!

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最強の預言者な男が、世界中にいる英雄の弟子に慕われながら冒険者をやる話です。
 100人の英雄を育てた最強預言者は、冒険者になっても世界中の弟子から慕われてます
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