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ゲームで育てた不人気作物パースニップでみんなを元気にしてあげる  作者: 春無夏無


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秋の門とイベント開始

 目に沁みるほど青くて高い空と、暖色に色付く木々。

 落ち葉のにおいがドアの向こう側に充満している。


「中庭……じゃないよね?」


 一度ドアを閉じ、鍵を確認する。

 白秋の鍵、という名前らしい。なんとも秋らしい名前だ。

 どこかに朱夏とか玄冬もあるの?


 鍵を挿し込んだせいなのか、開かずのドアの名前も変わっているようだ。

 わりとそのままだね、秋の門って。


・オータムアリアの侵入不可能領域へ繋がる扉。

・採集や狩猟を行うことができる。


 ……立派な中庭ができたと考えればいいのかな?


 深くは考えないことにする。

 あれは中庭!



 とはいえ、オータムアリアの恵みが近くで収穫できるというのはなかなか魅力的だ。


 木の実やハーブ、キノコなど、オータムアリアでしか採集できない食材はかなりある。

 畑で育てられなくても中庭(仮)にあると考えれば楽しいかもしれない。


 いやでも、家の中には要らないかなあ……


 何故かマンドラゴラたちは行く気満々で、「黎明」の子たちは武器の準備してるし、「昼の月」の子たちは鍛冶場の子たちに楽器を作るように急かしている。

 私のなけなしのアウトドア成分、かなりマンドラゴラに吸われているのでは。

 危険がないならいいけど、狩猟ができるってことは動物がいるのよね?

 マンドラゴラたち食べられちゃったりしない?


 獲物を狩る気も満々なの?

 とりあえず今日は狩らないで偵察だけにしたら?


 微妙に耳を貸してない気もするけれど、よく言い聞かせて、今日は「黎明」だけで偵察に行くことだけは許可した。

 農作業やってるから体力はありそうだけど「昼の月」はお留守番ね。せめて楽器ができてからね。

 危なくなったらすぐに逃げてくるんだよ?



 偵察に行った子たちが帰ってきてから情報共有すれば、微妙に不満げな留守番組も多少落ち着くでしょう。

 それでもいずれ行くのなら、装備はしっかり揃えてあげたいな。

 私でも手を出せそうなアクセサリー装備は組分けリボンで手一杯だからリボンを改造すればいいのだろうか。

 マンドラゴラがアクセサリー装備できそうな部位はあまりなさそうだし。




――ポルカの街の教会に、最近多くの寄付が集まるようになり、貧しかった孤児院でも、子供たちの食生活が改善されました――


――しかし子供たちの体が健康になっても、元々孤児院の人手が足りていないため、教育が行き届いていません。そのため、いずれ孤児院を出る子供たちが自活するための教師を探しています――


――そこで最近街近辺に住み始めた職人や農民たちへ協力を仰ぎ、2人1組の子供たちに職業体験学習をさせてもらうことになりました――


――子供たちに向き不向きはありますが、どうか良い経験をさせてあげてください――



――成功条件:子供のうち1人以上がなんらかの技能を得る――


――失敗時のペナルティはありませんが、子供を死なせると次回タウンイベントに参加できなくなります――


――成功時に街の貢献度が5ポイント上がります――


――イベント期間は約2週間ですが、子供たちの状況で変化します――



 そんな感じでイベントが始まり、成功条件が随分ざっくりしてるなあとまず思った。

 相変わらず貢献度についての説明ないし。


 とは言え始まってしまったのでやるしかないし、マンドラゴラの門番に引き留められて恐怖で顔を引きつらせている2人の女の子のフォローもしなくてはいけない。

 ごめんね、うちかなりの大所帯なのよ。



「マルファよ」


「初めましてミリアです。今日からお世話になります」


 どちらもティーン前後くらいだろうか? ミリアのほうが少しお姉さんっぽい。

 マルファと名乗った子は赤みがかった茶髪をポニーテールにして、なかなか活発そう。門番に引き留められてたときは泣きそうな顔をしていたけれど。

 ミリアは亜麻色の髪をおさげにして大人しそうな雰囲気だ。


「ドードーよ。それからうちのマンドラゴラたち。色々手伝ってくれるから仲良くね」


 あ、またマルファの顔が引きつった。

 マンドラゴラわりと可愛いのに。


 まあいいか。人の感性はそれぞれ。

 三浦先輩と私の素材に対する感性が同じじゃないのと一緒だ。


「うちは一応農家なんだけど……各々が好きなことをやっているから、農業以外をしたかったら言ってちょうだい」


「いえ、農業を手伝わせてください」


 ミリアはそう言うけれど、マルファは農業に興味がなさそう。

 でもやりたいことを言う感じでもない。

 なんだろう、言っても無駄、みたいな感じかもしれないから、とりあえずは距離を詰めるしかない。

 子供との距離の詰め方に自信はないけれど。


「まあ今日はうちの自慢のパースニップでも食べてちょうだい。ほぼパースニップしか育ててないからこれから毎日パースニップ料理だけどね」


 今度は2人ともちょっと嫌な顔になった。


 もしかしてパースニップって子供に嫌われ作物なのだろうか?

活動報告に毒にも薬にもならない登場人物メモを書きました。本当にただのメモです。


誤字報告がありましたが「嫌われ」はそのままであってます。

「嫌われ松子」みたいな感じです。

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― 新着の感想 ―
[一言] >どちらもティーン前後くらいだろうか?  ティーンって単純に言うと13~19なんですがこの子達一体何歳? その後の話見ると10歳位かなぁと言う感じではありますが。
[一言] 現代のパースニップは基本的に家畜(主に豚)の餌としての利用がメインなので、現代人がシナリオを考えてキャラクター設定しているゲームだと、嫌な顔位はするかも知れないですね。 日本で余り流通しない…
[一言] 職人街でマンドラゴラが目撃されてイベントが噂されてそう 直接関わりのない一般プレイヤーの反応とか見たい気もするし、まだこのまったり感を味わっていたい気もする
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