信仰とトウモロコシ
特に問題なくマンドラゴラを送り出せてしまったので、プロバさんに言われた通り、教会へ寄付をしにポルカの街までやってきた。
インゴットのままだけど大丈夫かな?
わりと立派な教会の扉を開けると、ちょうど司祭らしき人が話をしている最中だった。
座って話を聞く人はまばらだけれど、私もそこに紛れて話を聞いてみよう。
まだこの世界の宗教について詳しく知らないし。
正面の祭壇の後ろには2体の石像が向かい合わせで設置されている。
片方は長いベールをかぶり姿はよくわからないけれどシルエットは優美で女性のような気がする。
かぶっているベールを持ち上げるように右腕を上げ、左手には星のついた錫杖を持っている。
もう一方は座っている男性で、見上げるように左手を伸ばし、ベールの端に触れようとしている。
壺を大事そうに抱えている右腕には縄文時代の刺青のような模様が入っていた。
話によるとこの2体が全ての精霊様を統べる天の精霊様と地の精霊様らしい。
信仰はアニミズムに近いのかな?
全てのものに精霊様は宿り、人間に恩恵を与えてくれるが、敬わないと見放されて、技能や才能を奪われてしまうそうだ。
そして天と地の精霊様と2柱の直属である精霊様たちは、姿を見せることは滅多になく、人間たちが踏み入ることを許されない清浄の地に暮らしているという。
精霊様たちへの感謝を捧げる祈りはその地の方角へ行い、毎日ではなくてもいいから、祈る習慣を身に着けようとのことだった。
これは信仰のチュートリアル?
特に神話とかは話されなかった。
エピソードを交えて説法するタイプではないのかもしれない。
募金箱を持った修道女らしき人が回ってきたので、他の人に倣って私も持ってきたインゴットを箱に入れた。
ちゃりんちゃりんと軽い音の後にやってきた鈍い音と重さに、修道女さんがたじろぐ。
そりゃゴールドのインゴットだもの。量ってないけど結構重いよね。
まだまだ沢山あるけど、びっくりさせちゃうだろうし、また来たときに寄付しよう。
家に帰ると「昼の月」たちが寄ってきた。
品種改良したトウモロコシが欲しい?
それって、この前みたいに変なもの作ろうとしてない?
と思ったら、トウモロコシから色素を取りたいらしい。
確かに飾り用のカラフルなトウモロコシって現実にもあった。品種が多いんだよねトウモロコシって。
通常トウモロコシをカラフルなトウモロコシに品種改良して、育てたあとに各色の粒を触媒にパースニップを品種改良するのね?
カラフルなだけのパースニップなら、そんなに問題はなさそうだ。
ショップからトウモロコシの種を買って種マシンの前に行くと、例によって触媒志望のマンドラゴラが既にスタンバイしていた。
リボンはついてないから今日収穫した子か。
そういえばショップから種買うのは久し振りだし、パースニップの種以外を買うのは初めてだな。
植えられもせずいきなり品種改良されるとは、このトウモロコシも思うまい。
トウモロコシの種をセットすると、パースニップには無かった色の項目が確かにある。
今回も上限いっぱいまでいくの?
大胆な品種改良が好きね、マンドラゴラたち。
前回ほどひどい内容の品種改良ではないのか、所要時間はかからなかった。
金属になるのは植物としてかなり間違ってるからね。
出来上がったのは虹色トウモロコシの種。
品質は★3。
この品質表記も久し振りな気がする。
畑に向かうと「昼の月」が小さなマラカスやタンバリン、笛を持って集まってきた。
楽団は緑の歌で合奏する気のようだ。
鍛冶修行に行ってる子が帰ってきたら今度は管楽器を沢山作ってもらうんだって。
それは楽しみねえ。
今はちょっと不揃いなリズムだけど、帰ってくる頃にはきれいに揃うようになるのかな。




