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ゲームで育てた不人気作物パースニップでみんなを元気にしてあげる  作者: 春無夏無


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金属の利用方法

「クリエに聞いて耳を疑いましたけど、本当にマンドラゴラを生産してしまったんですか」


 街に行ってから数日後、プロバさんが農場にやってきた。

 農場や家の中を自由に闊歩するマンドラゴラたちを見て、感心したような声を上げている。


「ここのマンドラゴラは野生のマンドラゴラと違って愛嬌がありますね」


「野生もいるんですか?」


「オータムアリアに行くと稀に生えてますね。目と口みたいな洞があって、全く可愛くないやつが」


 野生はもっとモンスターっぽいのか。

 確かにうちのマンドラゴラはたまに見かける愉快な形の根菜に似て可愛い気がする。


「薬効も変わらず、安全で、そこそこ安定出荷可能となると、血眼になってマンドラゴラを集めている方々がどう出るか怖いですね」


「どういった方が集めてるんですか?」


「マンドラゴラは万能ですから、特に薬の調合をする魔女や錬金術師に人気ですよ」


 そんな人たちに一気に押しかけられてきたら、こんな防衛能力のない農場なんて、ひとたまりもないだろう。

 門柱と柵と武装したマンドラゴラしか居ないもの。


「大丈夫ですよ。行商人である僕がこのタイミングまで知らなかったのならまだ誰にも知られていません。クリエ以外に話しました?」


「いえ、クリエさんだけです」


「ならば競売に出したりしない限り、すぐに広まったりはしないでしょう。勘付いても独占するために秘匿するでしょうし」


 ひとりくらいなら撃退できるかな?

 私自体には全く戦うスキルは無いのだけれど。


「それで、呼ばれたのはマンドラゴラのことですか?」


「まあ……いくつかは?」



 目の前でプロバさんが頭を抱えている。

 やはり畑から収穫できる金属はまずかったか。


「……これは、全てをお預かりできませんね。できるのは、日用品に加工可能なここまでです」


 そう言って指したのはシルバーだ。

 ゴールドくらいまではいけるかと思ったのに。


「プラチナとゴールドは、市場に出回らない形にすればなんとか……加工して美術品として権力者に贈るか、教会への寄付として少しずつ消化するか。残りは死蔵しててください。出回るとまずいです」


 権力者なんて全く知らないから、するとしたら教会に寄付か。

 教会ならポルカの街にあったはずだし。


「あの、この辺り、高価で希少ということはわかるのだけど、どう希少なのかはわからないので、教えてほしいです」


 死蔵するにしたって、使いどきはあるかもしれないので知ってはおきたい。


「そうですね。ミスリルは稀少ですが産出がないわけではありません。ただ少量しか産出されないので価値が高く、魔法を吸ったり弾いたりするので、王族に代々伝わる防具の材料や、資産家が家宝を守るための箱の材料として使われています」


「武器には使われないんですか?」


「軽くて柔らかい金属なので、打ち合うのには不向きみたいですね。ワンドとか弓には使えると思いますよ」


 対魔法に優れてる金属だということはわかった。

 それに聞いた感じだと多分パースニップ・ミスリルは通常のミスリルの相場価格より安い気がする。


「それで、アダマンタイトとオリハルコンのことはよくわかってないんです。ウィンターロックの鉱山でも埋まっている場所は発見されてますが、どちらも硬すぎて通常のツルハシは役に立たないし、魔法使いを連れてきても無傷なので現状は放置されています」


「掘り出せないのに種類はわかるんですか?」


「伝説ではどちらも超硬質の金属ですから、業物のツルハシが役に立たない時点であれはどちらかだろうってことになったんですよ」


 暫定かー。

 そんなよくわかってない金属もうっかり世に出せないよね。

 いざとなったら土に還ってくれないか試してみよう。



「それで、鍛冶修業をしたいマンドラゴラの件は、多分うちの一族なら面白がって受け入れると思います」


「本当ですか」


「ただ、コミュニケーションをドードーさん以外と取れないと思うので、そこをどうにかしないと無理ですね」


 確かに、私は言いたいことわかるけど、他の人は動きくらいしか情報を得られない。

 顔がないから表情もないし。結構感情豊かな子たちなのだけど。


「1週間、僕がポルカに滞在しているうちに伝達手段を得たら連れて行きます。あ、料理習いたい子も師匠になりそうな人に心当たりがあるので、その子も伝達手段を得たら一緒に連れて行けます」


「そこは本人たちのやる気にかけてみます」


 話を聞いていたら、修業に行ったマンドラゴラが魔女に狩られてしまうのではないかと心配になったから、ちょっと行かせたくなくなったけど。

 お外こわい。


 しかし伝達手段はどうしましょう。

 ホワイトボードを渡して筆談が一番いいのかな。

 道具を使う手があるなら文字くらい書けるだろうし。


 思い出してみれば道具も特に説明なしで使っていたし、鍛冶の子も独学だったし……私が教えなくてもできるのでは?


 あとでホワイトボードを買って与えてみよう。

 なんだか彼らは問題なくできそうな気がしてきた。

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