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ゲームで育てた不人気作物パースニップでみんなを元気にしてあげる  作者: 春無夏無


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20/64

インタビュー抜粋

(前略)


湖「Iさんは今までゲームのご経験は?」


I「ゲームのコントローラー操作が苦手で、子供の頃に友達の家でやって以来です。だからエルムジカが実質初めてのゲームですね」


湖「ステータスポイントも全く振ってなかったですしね(笑) 超初心者の方がゲームを始めてくださると、僕らも定石に甘えすぎていたと気付かされます。説明しなくてもこのくらいは知っているだろう、って作り手としては怖い思い込みですよね」


I「逆に全く知らないレベルの初心者でも不自由なく遊べているのでありがたいです。あと申し訳ないですけど後でステータスポイントについて教えてください」


湖「インタビュー終わったらわからないことはなんでも聞いてください。いい機会ですし。それを参考に超初心者向けの案内機能を実装検討しますので」


(中略)


湖「初期セットに仕掛けがあるのが僕らのコダワリです。Iさんの農民初期セットだと、携帯ストーブがセットになっている辺りとか。普通は初期セットに入ってないと思いますよ携帯ストーブ」


I「その普通がわからなかったのでセットに入ってることは疑問に思わなかったです」


湖「偶然スキルを引き当ててくださってありがとうございます。他の初期セットもこんな初心者の人がなにも疑問に思わずに仕掛けを見つけてしまうかもしれませんね」


(中略)


I「パースニップは素晴らしいんですよ。私みたいな現実で植物を枯らしまくる人間でも問題なく実ってくれて、それで美味しいとか満点じゃないですか?」


湖「他の作物も放置し過ぎなければ枯れたりしません。味もいいです」


I「味は買って食べてるので知ってます。なんでも美味しいですよねエルムジカ。ちょっと驚いてます。それでも私はパースニップを極めたいですね。まだ極めていない気がするので」


湖「その辺りはノーコメントで」


I「その反応はまだ先がありそうですね。これからもパースニップのために頑張ります!」


(中略)


湖「グッスリさんの技術は本当に凄くて、次々提案される変態技術に宮山が打ちのめされる姿を開発中によく見ました」


I「うちはただの寝具メーカーですよ! ユニークな発想をする社員が多いのは、社風かもしれませんが」


湖「またまたご謙遜を」


(中略)


I「睡眠カフェ『テトラゴナ』は仮眠で利用される社会人の方が多いのですが、今回の『エルムジカ』コラボレーションで若い方にも『テトラゴナ』を知っていただけるとありがたいですね」


湖「今回のコラボに留まらず、今後もリアルイベントを計画していますのでどうぞお楽しみに」


(後略)




 次世代VRエキスポのビジネスデーが終わり、いよいよ明日はパブリックデーだ。

 印刷所から届いた配布冊子の最終チェックも問題ない。


 去年のイベント時は開発真っ最中で正直全く余裕がない状態だったが、今回は実際の討伐イベントや料理祭のプレイ動画もある。



 このインタビュー記事の公開で、まだ取得されていない他の歌スキルも取得者が現れるだろう。

 歌スキルはエルムジカの世界地図の空白地帯、隠された聖地「el música」へ近付く最初の鍵だ。

 次の鍵についてはしばらく情報公開はしないけれど、今一番そこに近いプレイヤーが、戦わず動かないドードーさんなのは面白い。


 攻略メインプレイヤーが本気で探し始めたら、すぐに追い抜くとは思うが。



 インタビューの日のことを思い出す。


 アバターを通してなら対面しても平気だろうと思っていたが、中の人間の印象が強すぎて、アバターを通して透けて見えるようだった。

 それでも実際に対面するよりは落ち着いていられたと思う。


 ただ、鳥の名前でお揃い、という言葉は先輩にも言われたことがあるので動揺してしまった。

 もし対面で言われていたら血の気が引いて倒れていたかもしれない。


 重ねていけないと思う。雰囲気が似ていても、似た言葉を言われても、先輩は先輩で、あの人はあの人だ。

 それに口を開けばそこまで似ているというわけでもない。


 だからもし次に仕事で会うことがあるならば、先輩の影を重ねるなんて失礼なことはしないようにしよう。

 あの人は大事な協力会社の人なのだから。

夕方から母の付き添いで落語を聞きにいってました。

演目に「笠碁」があったのですが、緊急事態宣言下でゲーセンに行けず呻いていた友人たちを見ているようで、いつの時代もゲームに夢中になった人は変わらないんですね。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 将来旅に出るかもしれない野菜系冒険者マンドラゴラ達。大冒険の果てに空白地帯を発見したり(笑) 歩くキノコのモンスターとか昔から好きですね。何かとても愛らしく感じます。 だから可能性が溢れ…
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