第87章 守り人
『大丈夫ですか?』
「え? あ! はい!」
エレナは女の子を見ると黒髪で肩まで伸びた髪、巫女の様な服を着ていた。
大きな目に優しそうなおっとりした顔をしている。
エレナは老人に近づくと斬られた腕を治した。
「すまん……お主は?」
「エレナさん‼︎」
ハラント達がこちらに集まってくる。
「魔物達は全て倒した」
『じゃあ怪我人を治すので集めて来てくれますか?』
エレナは怪我をした人を治すと村長の家に呼ばれた。
「危ない所を助かった」
村長はエレナ達に頭を下げてお礼を言うと隣のアリシナも慌てて頭を下げた。
「じゃが何故こんな辺境の地に?」
エレナはグランタルであった事を話すと村長は驚いた表情で聞いていた。
「……そうか。それでこのドラゴス平原まで来たというわけじゃな」
『はい、魔物が何処から現れるのか調べに来ました』
「今から約1000年も前の話じゃ」
村長はエレナの言葉を聞くと昔話を始めた。
「当時この地は鉱山が多く非常に栄えていての、やがてオルタ王国という国ができたのじゃ」
王子達はその言葉に驚く、カイジスは歴史が好きだったが聞き覚えのない国に一番驚いていた。
「そんな国があるなど聞いた事がない……」
「1000年も前には国はここにしかなかったのじゃ、それに当時の資料も残ってはいない」
「話を続けるぞ、その1000年前にここで大規模な魔物との戦争が起こったのじゃ」
「魔物は数が少ないが圧倒的な力でオルタ王国を追い詰めていったがそこへある一族が現れたのじゃ」
「その一族はラーガスタ族と言ってマナの力が強い一族で色々な術を編み出していたそうじゃ」
『ラーガスタ……』
エレナはラーガ一族の名前に似た一族が気になっていた。
「魔物との戦いは何年にも及びラーガスタ一族は魔物が住んでいる大陸からこの大陸に繋がる道を発見し封印して来れなくすることに成功したのじゃ、その頃にはオルタ王国は滅ぶ寸前で残ったのはラーガスタ一族が僅かにいたくらいだったそうじゃ、この地に魔物が多いのはその頃流れて出てきた魔物がそのまま残っているからじゃ」
『じゃあ今回魔物が来るのはその封印したっていう道から?』
エレナの言葉に村長は頷いて答えた。
「間違いない、魔物がワシらを襲ったのも門の守り人なのを知っての事」
「守り人とは何ですか?」
ロイズは村長に質問するとそれに答えた。
「ワシらはラーガスタ一族の末裔。代々封印されていた門を監視して破られない様に守っていたのじゃ」
村長は俯き暗い表情をして重々しい口調で続きを話し始めた。
「長年守り続けてきたワシらだったが次第に疑問に思う村人が出てきた。何故こんな辺境の地でただ門を守り続けなければならないのか? とな」
「確かにそう思う人が出ても不思議じゃないですね」
ロイズは思った事を口にするとエレナも分かる気がした。
「そして使命を捨て村を去る者が増えていき今では数十人にまで減ってしまったのじゃ、門がある洞窟には魔物が多く住み着いてしまい行くことすら危うい状況で封印の効果も弱まっているはずじゃ、このままだといつ封印が解かれてしまっても不思議ではない状況……」
『どうすれば封印を強固にできるのですか?』
それを聞いた村長は隣にいたアリシナを見た。
「その術はこの子が受け継いでおるのじゃが……」
村長は悲しい表情を浮かべるとアリシナは強く頷いた。
エレナはその表情を見逃さなかった。
『その術は負担が凄くかかるのですか?』
「……大量のマナを必要とするんじゃ、恐らくこの子はまだ未熟ゆえ死に至るかもしれん」
エレナ達は言葉が出なかった。
アリシナは村長を見る。
「私やる……それがお父さんとお母さんの願いだから」
アリシナは既に覚悟を決めていた。
『マナは僕も使えるので分ける事が出来ます、それで何とかなりませんか?』
「すまんがどうなるかは分からないんじゃ……」
アリシナはエレナ達に頭を下げると大きな声で言った。
「皆さんお願いします私をあの封印の門まで連れて行って下さい!」
村長は辛いのかグッと堪えていた。
エレナはそんな村長を見ると力強く言った。
『村長さん娘さんは絶対に死なせません。』
「頼む……」
そうしてエレナ達は明日の朝に洞窟に行くことになり村長の家に泊めて貰うことになった。




