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第85章 旅路

 北に向かう馬車の中では王子3人とエレナがテーブルに地図を広げて魔物が通る場所を探していた。


「問題は何処から魔物が来るかだな」


『空を飛んでくるか、流石に海は渡って来ないと思いますけど』


「昨日の会議に俺達も参加したんですが、その時ちょうどサザーラン王国の側近でもあるドイアという100歳の老人が来ていて昔話を聞いたんです」


『昔話?』


「はい、その昔このラテアナ大陸で人と魔物による大きな戦いがあったそうです。当時は相当強いマナを使う一族がいて何とか魔物を追い返したそうです。その戦いの場所が北にあるドラゴ平原なのだとか」


 エレナはマナ使いの一族という言葉に反応した。


(ラーガ一族の様な人達がいたのか……)


『その一族の人達は今もいるんですか?』


「いえ、聞いたことがないですね。もしかしたら辺境の地で暮らしているかもしれませんが」


『そうですか、その話だと魔物が北の方から来ていたのは間違いなさそうですね』


「会議の中では北の何処かに魔物の大陸と繋がっている道あるいは洞窟等があるのではないかという意見もありました」


『その平原を調べてみましょうか』


「そうですね、あそこは魔物が多く住み着いているので危険なんです。なのであまり人も寄り付かない場所なんですよ」


「王国の戦闘訓練で平原の魔物と戦う事はあるんですが昔から奥に行くなと言われていて、もしかしたら奥に行った者はいないかもしれないな」


「もうすぐ日も暮れます野宿する場所を見つけましょう」


 近くの川が流れている場所を見つけると馬車を止めた。


 キン! ガッ‼︎


「ハッ‼︎」


 ガキン‼︎


「やるな‼︎」


 王子3人とアルトは川の辺りで剣を交えていた。


 ロイズとカイジスのペアとアルトとハラントのペアで訓練をしていた。


「お前とは戦ってみたかったんだ‼︎」


 ハラントはアルトに向かっていくと攻撃を繰り出していく。


 ギギギ! キン‼︎


 アルトはハラントの剣を弾いて仰け反らせると大きくジャンプしてハラントに斬りかかった。


 ガキン‼︎


「やるな‼︎」


「お前もな」


 それを見ていたロイズとカイジスもそれに負けじと訓練を始めた。


 空も暗くなり4人は訓練を張り切りすぎてゼエゼエ息を切らしながら地面に倒れていた。


「あー疲れた! もうクタクタだ〜」


 ハラントは地面に仰向けになりながら満天の星空を見ていた。


「いい訓練だったね! アルトさんも加わって得るものも大きかったよ‼︎」


 ロイズは満足な訓練ができて嬉しそうに星を眺めていた。


「そうだな、エレナ殿の力になる為にもっと強くならなければ……」


 カイジスは空を見ながら呟いた。


 すると何処からかいい匂いが漂ってくる。


「おい何かいい匂いがしないか?」


「うん! 俺も今言おうと思ってたんだ!」


「多分あいつが作ってるんじゃないか?」


「そういえばお前はエレナ殿とどういう関係なんだ?」


 カイジスがアルトに聞くとハラントとロイズもガバッと起きてアルトを見た。


「そうそう俺も気になってたんだよ」


 アルトは出会いを話すとハラント達は質問をする。


「アルトはエレナちゃんのことが好きなのか?」


「分からない……だがあいつの側に居たいとは思っている」


「それは好きというのでは……」


 話をしている間もいい匂いはどんどん彼らの腹を刺激してグ〜と鳴ると顔を見合わせて笑った。


「ちょっと見に行こうぜ!」


 ハラントは匂いのする方へ歩いていった。


「「「……」」」」


 ハラント達はコテージの前でウソだろ……と呟きながら立ち尽くしていた。


 その傍でエプロンをしたエレナがアルト達に歩いてくると笑って話しかけた。


『あはは! また同じ顔してる!』


「な、何ですか⁉︎ これは‼︎」


 ロイズは驚いてコテージを指差す。


『この指輪に収納でしていた家ですね』


「マジかよ……」


 驚いているハラント達にエレナは更に追い打ちをかける。


『もうお風呂が沸いているので入ってきて下さい』


「「「お風呂⁉︎」」」


 3人は驚くのも疲れると隣でアルトが一言放った。


「あいつがやる事だ……もう何が起きても驚かなくなったな」


 ハラント達はその言葉に納得した。


「確かにあのエレナさんだ。何ができても不思議じゃないな」


「うん、そう思わないと驚きすぎてどうにかなってしまいそうだ」


「そうだなもう俺もそう思うことにした」



 4人は風呂にから出てくると料理が並べられたテーブルに案内された。


『どうぞ! いっぱい作ったんで』


 王子達は目の前のいい匂いのする料理を食べ始めるとあまりの美味しさに手が止まらなくなっていた。


「どれも美味い‼︎ 肉も柔らかくてこのソースがよく合いますね!」


「エレナさん料理が凄く上手なんですね! 王宮の料理より美味しいですよ!」


「エレナ殿の手料理……感激だ」


 並べられていた多くの料理はあっという間に無くなりエレナは片付けると皆にお茶を出して言った。


『これからお風呂に入ってくるので休んでて下さい』


 ……3人は顔を赤くしていた。


『覗いちゃダメですよ?』


「はい! しません!」


 ハラントはそう言うと他のふたりも頷いた。


『まあ、この子がいるからできませんけどね』


 エレナはお腹を膨らませて寝ていたフェイをヒョイッと

 持ち上げた。


「見張りですか?」


『見張り兼護衛ですね。フェイ?』


 エレナがそう言うとフェイはエレナの腕から飛び降りると大きな魔物に変化した。


 いきなり可愛らしい動物が大きな魔物に変化すると皆驚いて椅子から転げ落ちていた。


「これには敵わなそうだ……」


『まあそう言う事でいってきますね』


 エレナが風呂に向かっていくと椅子に戻って座るとロイズは元に戻ったフェイに言った。


「君凄い強そうだね! 明日訓練に付き合ってよ!」


「おいロイズ、言葉が分からないのに何言ってんだよ」


「え? でも分かってるみたいだよ?」


 フェイは腰に手を当てて頷いていた。


「これはいい訓練になりそうだな……」


 ハラントは苦笑いをして言った。



 コテージの中では皆で寝ていた。


「何かドキドキして寝られない」


 ハラントは同じ部屋にエレナがいるので変に意識をしてなかなか寝付けなかった。


「そうだな、女性と同じ部屋で寝るなど考えられない事だ」


 カイジスも起きていた。


 ちなみにロイズは寝ている。


『まあ外は寒いしこうやって間隔を大きく分けてるんで気にしないで下さい』


 エレナが遠くの方から言うとハラント達は訓練の疲れもあって意識が薄れ気付くと眠っていた。




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