第48章 復活
エレナは戦闘が終わると力が抜けて地面に倒れた。
『終わった……』
「お疲れさま」
マイナが手を出すとエレナはその手を取って立ち上がった。
『マイナのおかげだよ、ありがとう』
ユギルが結晶石を持ってやって来る。
そしてエレナに差し出した。
『……』
しかしエレナは受け取る事が出来なかった。
「どうした?」
ユギルはエレナが受け取らないのをみて首を傾げる。
『ダメだ……出来ない』
「そうしないとラーガの力は復活しないぞ」
『だって……それにマナを流したらサラさんが消えちゃうんだよ‼︎』
ユギルは一瞬驚いた顔をしたがすぐにいつもの表情に戻すとユギルらしくない小さな声で言った。
「やってくれ……」
『いいの⁉︎ ユギルだってサラさんがこの結晶石にいるを知ってるんでしょ……』
エレナは夢で見たサラが最後に涙を浮かべた笑顔が忘れられなかった。
『できないよ……』
エレナはその場に泣き崩れた。
ユギルはゆっくりとエレナの前に来ると手に結晶石を握らせた。
そして優しい口調でエレナに言った。
「あいつが望んだ事だ。その為に何年も耐えてきたんだ孤独な時間をな……だからもう休ませてやろう」
『ユギル……』
エレナは泣きながらマナを流した。
サラの結晶石から光が放たれ族長の結晶石に流れていった。
それを見たユギルは目を閉じて言った。
「サラ……安らかに眠ってくれ」
サラは解放され白い世界にいた。
そこには久しぶりに見る父親の姿があった。
「サラ……久しぶりだな」
「お父さん……お母さんとクレイの力を受け取っています」
「そうか……ふたりに会えたのだな」
「はい」
「話してくれないか? その時の事を」
サラはナーラとクレイとの会話を話すと族長は嬉しそうに聞いていた。
「そうかクレイは幸せになったのだな」
「はい……」
サラは時間が迫っているのを感じた。
「お父さんもう時間がありません私たちの力を」
「待て」
「え?」
サラが力を託そうとした時族長はそれを手で制した。
「力を集めて復活するのは別に族長でなければならないということは無い。族長が1番マナが強いからそうなっているだけなのだ」
サラは知らなかったが族長が何故それを話すのか分からなかった。
「だがラーガ一族は本来男よりも女の方がマナが多い、お前でも十分資格はある」
「お父さん……」
「サラ……俺は父親としてお前とクレイに幸せになって欲しかった。だが使命という鎖で縛り結果こうなってしまった……だがクレイは幸せになれた。次はお前の番だ」
族長から光が放たれサラに流れて行く。
「サラ……あの男と幸せにな」
「お父さん‼︎」
エレナとユギルはサラを失った喪失感が襲いその場を動く事が出来なかった。
すると突然目の前に物凄い光が集まっていった。
エレナ達はあまりの眩しさに目を瞑った。
そして光が消えるとエレナは誰かが立っているのが分かった、しかし目が光で中々開けられずユギルの呼んだ名を聞いて耳を疑った。
「サラ……」
ユギルがそこに立っていた女性の名を呼ぶ。
「ユギル……」
サラは泣きながらユギルに答えた。
『サラさん……消えたんじゃ』
「お父さんがね私に譲ってくれたの……」
そうしてサラが復活し洞窟から脱出したのだった。
外に出るとまだお昼を過ぎた頃だった。
「ねえエレナ」
サラがエレナに話しかけた。
『何ですか?』
「深海の森……私たちが住んでいたラーガの里に行って欲しいの」
「そこに取りにいきたいものがあるのよ」
『じゃあ行きましょう』
「よろしくね」
ユギルは馬車を東に向けて走らせた。
馬車の中でサラは初めて会うセリアとマイナに自己紹介をするとふたりは信じられない事実に驚いていた。
「あなたがセリアね」
「はい!」
「ふふ、クレイに似て美人ね」
「あ、ありがとうございます」
「それであなたがマイナ」
「よろしくお願いしますわ」
「私は結晶石から貴方達の会話は聞いていたから色々知っているの、だから隠さなくても大丈夫よ」
サラはふふっと笑ってエレナ達を見た。
「「え?」」
セリアとマイナは固まっていた。
「は、恥ずかしいわみんな聞かれてたなんて」
「私もよ……」
『僕はもう考えないようにしたよ……』
セリアとマイナは顔を真っ赤にしてうなだれていた。
その内いつの間にかエレナ達は疲れたのか馬車で眠っていた。
サラは馬車から出るとユギルの隣に座った。
サラは結晶石からユギルの声は聞こえていたが顔は見えず100年振りに見る顔はあの時のままで自然と笑みが溢れた。
「まさかまたあなたに会えるなんて思わなかったわ」
「そうだな」
「ありがとうユギル約束を守ってくれて……」
「任せろと言っただろ?」
「うん!」
夜になると途中で野営地用と思われる場所を見つけたので野宿をする事にした。
「美味しい〜!これはみんなが言ってた事はあるわ!」
『これからいっぱい美味しい物を食べてもらいますからね!』
「ほんと⁉︎ 嬉しいわ!」
サラはエレナが作った料理を美味しそうに食べていた。
コテージでは女子同士でおしゃべりをして眠った。
朝になると再び馬車を走らせた。
「今日の昼過ぎには着くわね」
馬車の中ではサラがエレナ達にマナを教えていた。
流石ラーガ一族のトップレベルのマナ使いだけあってエレナ達が学べるものは多かった。
そして馬車は森に着き進んでいく。
少しすると馬車が止まった。
「着いたぞ!」
外からユギルの声が聞こえるとエレナ達は馬車を降りた。
そこには朽ち果てた門がありユギルとサラはそれを懐かしむように並んで見ていた。
「行きましょう」
サラに言われてエレナ達は瓦礫だらけの中を入って行った。




