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第41章 戦争

 マイナは城に向かって息を切らしながら必死に走っていた。


(魔物はみんながある程度倒して城近くまで守ってくれた……後は私が!)


 城の前に着くとマイナは大きな声で叫んだ。


「ここを開けなさい‼︎」


「王女様‼︎」


 兵士が声に気付き慌てて扉を開くと開ききらないままマイナは中に入って行った。


「ご無事でしたか!」


「お父様は何処?」


「今は大臣達と会議中です」


 マイナ王女は少し怒りが湧くと走って会議室に向かった。


 そして会議室の前に来ると扉を勢いよく開けた。


 中では王と大臣達が驚いた顔でマイナを見ている。


「マイナ!」


「王女様!」


「今聖女様とその仲間の方が魔物と戦って下さっています! 今すぐ応援を!」


 マイナは王に援軍を訴えた、早く戦っているエレナ達の力になりたかった。


 しかしマイナの期待とは逆に王は弱気な声で答えた。


「しかし相手は強力な魔物の軍団、兵もこの城を守らないと……」


 マイナは唖然とすると共に怒りが頂点に達しようとしていた。


「何を言っているんですか! 聖女様達はこの国の為に戦っているのですよ! それなのにこんな所で何をやっているのですか! 国民の為に死ぬ覚悟もないのですか⁉︎」


 それでも動こうとしない王達にマイナは失望すると扉を力強く閉めた。


 マイナは兵が集まる広間に向かう。


 マイナが部屋に入るとシーンと静まりマイナは説得する様に兵達に話しかける。


「兵士の皆さん、今聖女様がこの国の為に戦っています。それなのにこんな所でくすぶっていていいのですか? この国を守りたくないのですか⁉︎ 私は嫌‼︎ だから戦います‼︎ それが嫌ならついて来なさい!」


 そう言うと王女は部屋を出て城の門に向かって歩いて行く。


「聖女様が俺達の為に戦っているのか……」


「俺はいくぞ!」


「ああ! この国は俺達が守るんだ!!」


 兵士はひとりまたひとりと立ち上がり王女の後を追って行った。




 マイナが城から出ると外では魔物はほとんど倒されていた。


 空を飛ぶ大きな白竜に兵士達は驚く。


「何だあのデカい竜は‼︎」


「あの竜は味方よ! 恐らくこの後カダル王国の兵士が進軍してくるはず! みんなでここを守るのよ!」


「「「おお‼︎」」」


 マイナは兵士をまとめるとエレナに合流しようと街の入り口に向かって行った。





 魔物を全て倒すとセリアとユギルは一度エレナの元に集まった。


『これで魔物は全部倒したね』


「あれを見ろ」


 ユギルが向く方向には大勢の人影がこちらに向かっていた。


(カダル王国の兵士達か……)


『引いてはくれないよね』


 エレナはできれば戦争はしたくなかった。


(この世界は人間同士で戦っている場合じゃないのに……)


「向こうも必死だ躊躇するな、これは戦争だ」


「聖女様‼︎」


 振り返るとマイナが来ていた。後ろには大勢の兵士が集まっている。


「兵を連れて来ました。私達も共に戦います」


 エレナは頷くとマナをロッドに流して大きなメテオライトを相手の進行方向に落とした。





 カダル王国の兵士達はハーデルト王国の城を目指して進軍していた。


 魔物はもう姿が無く向こうには大勢の兵士が待ち構えていた。


「こちらの方が人数は多い‼︎ 勝てるぞ!」


 隊長はそう言って兵士達を鼓舞したがそれも無駄に終わることになる。


 前方の空が赤くなると熱気が吹いてくるとやがて大きな岩が幾つも現れ凄い勢いで降り注いだ。


 ドォーン!! ドォーン!! ドォーン!!


 カダル王国の兵士たちの前は進めなくなるほどの熱気と衝撃が襲う。


「何だあれは⁉︎」


「まさかハーデルト王国の仕業か⁉︎」


「あんなのがまたこっちに来たら……」


 兵士達に恐怖が襲った。


 そして急に辺りが暗くなり不審に思った兵士達が空を見上げると大きな白竜がそこに浮かんでいた。


 オオオオオーーー!!


 白竜は大きな咆哮を上げ兵士達を威嚇する。


「ヒィー!!」


「無理だ!」


「助けて!」


 完全に兵士達は戦意を喪失して逃げ惑う者も現れた。


 結局カダル王国の兵士達は野営地へ引き返していった。




 ハーデルト王国の兵士達はその光景に驚いていた。


「凄まじいマナの攻撃だ!」


「流石は聖女様!!」


「見ろ‼︎ カダルの奴らが逃げていくぞ!」


 周りが勝利を確信すると兵士は喜び騒ぎ始めた。


『ふぅ〜、何とかなったね』


 エレナは歓声の中ホッと息をついてロッドをしまう。


 白竜はエレナの元に戻って来ると光となって結晶石に吸い込まれていった。


『ありがとうサラさん』


「聖女様それにセリアさんユギルさんありがとうございます」


 マイナ王女は頭を下げた。


『さあ王女様行きましょう。国民が待っていますよ』


「はい……」


 エレナ達が城下町に着くと大勢の人に歓迎された。


「王女様!!」


「王女様ありがとう!!」


「聖女様ありがとう!!」


 そしてエレナとマイナは病院に行き怪我人を治していった。


 夜になるとエレナ達は病院の一室に集まった。


「聖女様、国民の為にありがとうございます」


『困っている人を助けるなんて当たり前のことですよ』


「聖女様……」


『カダル王国はこれからどう出るだろう?』


「恐らく今日いた兵士は使い物にはならないだろう」


「そうですね、後から合流する兵士にも影響は出ると思います」


『明日にはリンドラ王国から援軍が来てくれるかな』


「少し様子を見てカダル王国が一旦兵士を引かせたら最後の結晶石を探しに行くぞ」


「聖女様」


 マイナはエレナの前に来ると跪く。


「どうか私も旅に連れて行って下さい」


『でもこの国の再建はどうするんですか?』


「義兄に任せます。というかそうなるでしょう」


『お兄さんがいたんですか?』


「実は義兄は軟禁されているのです」


『何かしたんですか?』


「義兄は王の政策に異を唱えたのです。王はそんな義兄が邪魔だったのでしょう」


 マイナもこの国の政策には反対だったが心の中にしまっていたのだ、それは義兄に言われた事だった。


「高い税金や徴兵制度で国民は苦しい生活を余儀なくされていました……しかし今回の件の責任を取らされ王やその側近は失脚するでしょう」


 マイナは確信しているような口ぶりで話す。


「義兄を慕う者や同じ考えの者も多くいますので義兄が王となるのも時間の問題でしょう」


『そうですか、僕は良いと思うけどみんなはどう?』


 エレナはユギルとセリアに聞いた。


「私は構わないけど」


「まあ足手纏いにはならなそうだ、好きにしろ」


『分かりました。王女様行きましょう』


「ありがとうございます!私の事はマイナと呼んで下さい」


『じゃあ僕もエレナと呼んでください』


 そうしてまた一人パーティに心強い仲間が加わったのだった。





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