第27章 リンドラ王国
リンドラ王国に着いたのはお昼を過ぎたあたりだった。
大きな城が見え城下町と共に水で囲われている、まるで湖の真ん中に城が建っている様な光景にエレナは感激して見ていた。
(流石大金持ち国家だな)
入り口の橋に馬車が進むと人で溢れかえっていた。
「王女様の馬車が着いたぞ!」
「なんでも途中で魔物に襲われていた所を噂の聖女様に助けてもらったそうだ」
「ではあの馬車には聖女様も乗っているのか?」
「どんなお顔なのかしら」
「噂では相当な美人らしいが」
「見てみたいな」
「城の前で見られるかもしれないぞ!」
大勢の人の中を馬車は進んで行く。
『王女様は人気者なんですね』
そうエレナが言うと王女はクスっと笑う。
「今日はいつもより多いわ、きっと聖女様が目的な人もいると思いますよ」
やがて城の前に着き馬車の扉が開かれる。
「さあ参りましょう」
エレナは王女が出した手を取った。
城の前ではエレナと王女を一目見ようと沢山の人が詰めかけていた。
まず王女が馬車を降りるとそれを見た街の人達は歓声をあげる。
「ファレナレス様だ!」
「王女様ー!」
「相変わらずお美しい……」
その後エレナが馬車から降りると歓声がピタッと止み辺りは静まり返った。
ザワザワ
「あ、あれが噂の聖女様……」
「なんと美しい」
「あれは天使、いや女神様だ」
やがてざわつきは歓声に変わっていった。
「聖女様ー!」
「王女様を助けてくれてありがとう!」
(……めちゃくちゃ目立ってるな、これじゃあ市場にいけないよぉ)
その歓声が嬉しかったが同時に困るエレナは背に国民の声を受けながら城の中へ入っていった。
(多分この後はあの展開だよな……)
エレナは今から予想されるお約束的な展開に乗り気でない様子で通された部屋に入った。
そこへユギルが合流し、エレナの隣に座った。
『何か大事になっちゃったね、どうしようか?』
「カダル王国の事もある、この国に協力して貰った方がいい」
(確かに、カダル王国はもう戦争を始めるかもしれない……俺も早く虹色の結晶石を集めなきゃいけないし)
『そうだね、時間も無いし手伝って貰おう』
ドアが開くと正装した男がやって来る。
「お待たせしました、どうぞこちらへ」
男がエレナ達を案内した先は大きい扉の前だった。
「聖女エレナ様とその護衛ユギル殿が入ります!」
扉にいた兵士が大きな声で言うと扉が開いた。
そこは教会の様な雰囲気の広い部屋だった。
奥には王座がありそこには王様と思われる人物が座っていた。
周りには家臣やファルナレスと女性が立っておりエレナを見つめている。
王様は立ち上がると王座の前まで来たエレナとユギルを歓迎した。
「よくぞ我が国リンドラ王国へ来なさった歓迎するぞ!」
エレナは事前に教わった通り跪き自己紹介をした。
『初めましてエレナと申します』
「護衛のユギルです」
「まずは王女を救ってくれた事に感謝する。後ほど礼をしたいのだが要望はあるか?」
『ありがとうございます、2つ調べて欲しい事があります』
「分かった後で聞こう、だがそれだけで良いのか?」
『はい』
「それだけでは少ないな、後で何か送ろう。では後ほどまた会おう」
『ありがとうございます』
あっと言う間に謁見は終わりエレナ達はこの城の来客用の部屋に通された。
「本日宴を用意してありますのでご参加願えないでしょうか?」
『分かりました、あ、でも服を持っていなくて』
「では用意させますのでこちらへ」
服が沢山ある部屋に連れて行かれると服のサイズを測られる。
「お疲れ様でした。まだ時間があるので城を見学されてはいかがでしょうか?」
『そうします』
「では案内を出しますので少しお待ちください」
その頃会議室では王と王女に家臣5人がテーブルを囲って話しをしていた。
「ではファルナレスよ報告を」
王の言葉に王女は暗い表情で報告する。
「はい、ハーデルト王国へ協力を求めましたが残念ながら……」
王達はガッカリした表情を見せた。
「そうか、まったくあの国は危機感が無さすぎる。あそこはこの大陸で1番の軍事国家だ、自分の国は安全だと思っているのだろう」
王の隣に座っている中年の男は少しイラだった口調で話した。
「仕方ないポーラトールの冒険者ギルドと協力するしかないな」
王の言葉に皆同じ考えのようで頷いている。
「それはそうとファルナレスよまさか聖女様を連れて来るとは驚いたぞ!」
王はハーデルト王国との協力より嬉しい出来事に笑みが溢れる。
王女はドキッとして少し顔が熱くなる。
「どうした?」
「い、いえ何でもありません。私の窮地を救い兵士達の治療までやって頂きました」
皆その報告に驚いた表情を見せた。
「何と! マナでの治療は相当なマナの量や力が無いと出来ないまさに神業だ」
王の右手に座る大臣が信じられないといった表情をする。
「人柄も大変好ましく……」
王女は顔を赤くしている。
それを見た王は嬉しそうな顔をして言った。
「そうか王女も大変気に入っているようだな、できれば地位を与えてこの城に仕えて欲しいのだがな」
「聖女様は他の大陸から来たと聞いていますのでもしかしたらその大陸の貴族か王家の者かも知れません」
「確かにあの容姿とマナの使い手ではそうであろうな」
「聖女様は旅をしていて調べ物にこの国に来る予定だったそうです」
「先程の件か……」
「よし、明日聖女様にこの会議に参加してもらい調べ物とやらを聞こう」
少しザワザワしていたので王は手をパンパンと叩く。
「もう宴の準備が始まっている頃だこれでお開きにしよう」
そう言って会議は終わり皆楽しそうに宴の準備に向かっていった。




