第11章 一筋の光
ここ数日エレナは部屋で料理ばかりしていた。
色々な食材を料理してはレシピを作り続けている。
店を開くのが今の目標となっておりメニューを作っていた。
マナの装備が売っていたお店に再度寄った時、奥にまだ見てない部屋があり野営用のコンロのような物があった。
1回マナを流せば火がつき火力の調整も出来る優れもので宿屋の部屋に置いて料理をしている。
他にも冷蔵庫やパンを焼くオーブンを見つけると思わず声を上げて買っていた、これらは全てマナで動く機械のような物だった。
ステラはというと孤児院に遊びに行っている。
あれから子供達と仲良くなって毎日のように一緒になって遊んでいてエレナも助かっていた。
(今日もオヤツでも持って行こうかな)
そう思いクッキーを焼いて教会に向かった。
「エレナお姉ちゃーん」
ステラはエレナを見ると笑顔で手を振ってきた、服が泥だらけになっていたのを見ると夢中で遊んでいたようだった。
『みんなにオヤツ持ってきたぞー』
「「「やったー!!」」」
『いっぱい作ったからゆっくり食べなよ』
子供達は焼きたてのクッキーを夢中で頬張りエレナは微笑みながらそれを見ていると教会から若いシスターが出てきた。
「こんにちはエレナ」
『やあセリア』
どうぞとクッキーを渡すとセリアは1つ口にいれた。
「今日も美味しいわ」
『ありがと』
エレナが仲良くなったシスター見習いの子のセリアは年は同じくらいで整った美しい顔をしていた。
初めて会った時エレナはお嬢様みたいだなと思い顔が好みという事もあり少し心臓がドキドキと音を立てていた。
(顔もそうだけど性格がいいんだよなセリアって、一緒にいて安心するというか楽しい)
エレナはこの世界に来て初めて気が合う友達のような人に会えて嬉しかった。
(前の世界にいたら惚れてるなきっと……)
よくふたりで近くの景色のいい場所でたわいのないお喋りをしているが最近はそれが楽しみになっていた。
「今日も料理ばっかりしてるの?」
『まあね、また新しいのが出来たんだ。今夜また作りに来るよ』
「いいの?こっちは助かるけど」
『うん!料理の味見をして欲しいんだ』
「エレナの料理はどれも美味しくて普通の料理が食べれなくなっちゃうわ」
『ありがと、そう言って貰えると嬉しいよ』
「本当エレナはこの孤児院の救世主ね、色々援助をしてもらって感謝してるわ」
孤児院を訪れた日から料理を孤児院に持っていく事が多くなり最近は毎日のようにここに来ていた。
『いいんだよ、そうしたいからさ』
セリアはエレナを不思議そうな顔をして見ていると自然と口が動き質問をしていた。
「エレナのいた大陸の女の子はみんなそういう言葉使いなの?」
『え?』
「何かエレナと話していると男の子と話している気分になるの」
(まあ中は男だし、女の子のような話し方が出来なかったから、そう思わせているのかもしれないな)
「え〜と、なんでかな親がお父さんだけだったからかな』
エレナは本当の事は言えず適当にはぐらかしてしまった。
(本当は男だって言って変な奴だって思われても嫌だし)
「ふふ」
セリアは笑ってエレナを見た。
(ああ、可愛いな……)
『さてとちょっと冒険者ギルドに行ってくるね』
「分かったわ、ステラは任せて」
『ありがと』
冒険者ギルドにひとりで向かうと途中で何人かにナンパされた。
最近はだいぶ視線攻撃が和らぐともう慣れたくらいに声を掛けられるようになっていた。
(ステラがいないと話かけやすいのかな)
そう思いながらいつもどおり軽くナンパを断ってギルドに入る。
(断られても皆笑顔で離れて行くんだよな、あんまりしつこくしてこないのは助かる、もしかして俺と話したいだけなのかも)
受付に行くとギルド長から話があると言われ奥の部屋に通された。
「ちょうどいい所に来たな。実はさっきバルト村に関して情報が入ったんだ」
『え? 本当ですか!』
エレナに緊張が走るといい情報だと願って耳を傾けた。
「今日の朝にクルトの街から来た冒険者からの情報でバルト村から何人か逃げ延びて来た人がいるらしい」
(そうと分かれば早速そのクルトの街に向おう)
『情報感謝します。これからクルトの街に行ってきます』
すぐに行こうとするエレナをゼンが止めた。
「まあ待て、今日はもう日が暮れるから明日にしたらどうだ? 道も分からんだろ? 朝には馬車を用意しよう」
(確かにこれからはちょっとキツイか……場所も分からないし)
『ありがとうございます、ではそうします』
「明日の朝に門の前に来るといい」
エレナはその後宿屋に帰り料理の下準備をしてから孤児院に向かった。
孤児院に着き食事の準備を始めると料理の匂いを嗅ぎつけたのか皆が集まってきた。
そして全員でお祈りした後賑やかな食事が始まった。
神父やシスター達も一緒に食べている為子供を含めて様々な年齢層がいる、エレナは色々な料理を出して意見を聞きレストランを出す為にメニュー選びの参考にしていた。
食事が終わり帰る前にセリアに明日クルトの街に行くと話しておいた。
セリアは少し寂しそうな顔をすると「早く帰ってきてね」と返した。
エレナはその言葉が嬉しかった。
(セリアにとって俺は居なくなると寂しくなる存在になれたのかな)
次の日、朝起きるとステラはまだ寝ていた。
『この子の両親がいます様に』と頭を撫でながら呟いた。
ステラが起きてクルトの街に行くと告げるとなんで? という顔をしていたが元気に頷いた。
まだバルト村の人がいる事は話していなかった。
門から出た先に行くと馬車が停まっていた。
男が3人がエレナを緊張した面持ちで待っており近づくとそのうち1人が口を開いた。
「俺達はギルド長からの依頼でクルトの街まで送って行く事になった、俺はアレンだよろしく頼む」
(ギルド長に今度お礼しなきゃな、護衛も付けてくれるなんて)
エレナはゼンに感謝していると後ろの男2人が前に出てきて自己紹介を始めた。
「俺ヒースって言います! エレナさんの護衛だなんて光栄です!」
「俺はキリィです、ああ本当に目の前にエレナさんが……夢じゃないよな」
ふたりは信じられない現実に夢のような感覚でいた。
エレナは『宜しくお願いします』と頭を下げる。
『この子はステラです』
ステラは「よろしくね!」と元気に言うとアレンは「よろしくなお嬢ちゃん!」と笑顔で答えた。
「さあ行きましょう」
キリィに促され馬車に入るとクルトの街へ向かって行った。




