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52話 チンアナゴそうめん

「じゃあ魚を見に行きましょうか」

「ちなみに色音さんはなんの魚が好きなんですか?」


澤が質問をしてきたが、俺は特に好きな魚はいない。が、テレビのために嘘を言っておこう


「ペンギンなんかが可愛くて好きですね。お二人はどうなんですか?」


俺が聞くと2人は悩んだ表情を浮かべた


「チンアナゴかな?」

「確かに!可愛いですよね」


落ち着け、俺!チンアナゴが好きな人ももちろんいるだろう。変な意味で捉えるな


「そうですよね、とても可愛いです。見に行ってみましょうか」


そう答えている俺の顔は間違いなく引き攣っていただろう

そしてチンアナゴのエリアについた時には2人が悪い顔をしていたのは気のせいだと信じたい


「どんなところに可愛さを感じるんですか?」


これは一応聞いておくべきだろう


「特に、あの太さや長さが全て違うところが魅力ですね」

「一度握ってみたいですよね」


嘘だよな?本当にそういう意味で言ってるのか?そんな中学生男子が言って笑ってそうなことテレビで言わないよな?これ生放送なんだろ?


だがマサトは勘違いしていた、この世界での女性の頭の中など全て男子中学生と同じなのだ


流石に普段はテレビでそんなことは言わないが、普通男性に言ったらセクハラになることもマサトならばイジリとして使い反応を楽しむことができる


そして女性ならば、こんなことをしている番組があれば間違いなく視聴するだろう。ちなみに、今回の生放送は過去最高の視聴回数を記録することができたらしい


「一度食べてみたいですよね」


なんか結構まずいことになってきたから一回この話を終わらせよう


「そろそろ昼食を食べましょうか」

「もうそんな時間だったんですか」


10時くらいにきたはずだからもう2時間も経ってるんだな


「それならあそこに行きませんか?」


そう言って澤が指を差した先にはフードコート的なものがあった

普通そんなの水族館になくね?とも思ったが実際にあるのでどうでもいいか


「あ、それならあそこの4人席に座りましょう」

「でもあそこには男の人が・・・・・・・・」

「大丈夫ですよ、あの人は俺のクラスの担任なんです」


面倒ごと全てを俺に押し付け、何もしてくれないことの恨みを今、テレビに巻き込むことで晴らそうと思ったのだ


「すみませーん」


花梨ちゃんが先生の方へと走っていった


「あー、あなたはアイドルの花梨さん?ですよね。テレビの撮影ですか」

「はい、そうなんですよ。一緒に食べませんか?」


そう言われて先生は一瞬嫌そうな顔を浮かべた。まあこうなることは分かっていたがな


だからこそ・・・・・・


「いや、俺は教師で生徒たちのことを見ていないといけないので——」

「先生、そう言わずに引き受けてくれませんか?初めての生放送ってことで緊張してるんですよ。だから先生がいてくれたら心強いなと思いまして」


逃げ道を塞ぐ


生徒のことを見るからという理由で断ったので、俺のことを見ていてくれと言ったら逃げられないだろう


先生は俺のことを見て驚いた顔をしたが、不利なのを理解し諦めたような表情を浮かべた


「少しだけなら大丈夫です」


これには俺もスタッフさんたちもニッコリ

番組からしたら予定していないのに男性2人が出てくれるなどラッキーだと思っているのだろう


「なら、とりあえず何か頼みましょうか」

「なら私はチンアナゴそうめんで」

「あ、私もそれにします」


チンアナゴそうめんなんかあるんだ

綺麗な伏線回収だな・・・・・・・・

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