第24話「流れ星の花」
樹海の湿気は、まるで生きているかのようだった。ジメジメと肌にまとわりつき、肺を重くし、音を吸い込んで、森を静かで圧迫感のある聖域に変えていた。その静寂を破るのは、ミッコのハァ、ハァという荒い息遣いと、彼自身の服が下草に擦れるガサガサという音だけだった。ミッカの剣が、背中でズシリと重く、彼が自らに課した使命を絶えず思い出させていた。
狩人の目が樹冠をキョロキョロと見回した。その時、彼はそれを見つけた。小さく、素早く、ろ過された光の下で病的な緑色にキラリと光る鱗を持つ生き物。トカゲだ。完璧だ。
『今だ!』
巨大な木の幹の陰に隠れ、彼は重く、オレンジ色に輝く刃を鞘から滑り出させた。その重さは慣れず、バランスが悪い。彼はグッと身構え、筋肉を張り詰めさせ、**バッ!**と飛び出した。剣は不格好な円弧を描き、ブンッ!と虚しく空と数枚の葉を斬っただけだった。トカゲは「キィッ!」と怯えた鳴き声を上げ、ミッコが二度目の攻撃を考える間もなく、タタタッ!と幹を駆け上り、緑の広がりの中へと消えていった。彼はそこにハァ、ハァと息を切らして立ち尽くし、剣の先端が湿った土にグサリと突き刺さっていた。
『くそっ!使えねぇ…』
悔しさが、まるで拳のように彼を襲った。彼は戦士ではない。あの剣を握ること自体が、冒涜のように感じられた。一瞬、諦めて手ぶらで野営地に戻りたいという衝動が、圧倒的に押し寄せてきた。だがその時、ミッカの青白い顔、ダイアンヤの心配そうな瞳、レグルスとテセウキの険しい決意が、彼の脳裏に浮かんだ。
「…ダメだ」彼は静かな森に向かって囁いた。「今、諦めるわけにはいかない」
新たな決意が彼の顔を引き締め、彼は剣を鞘に収めると、木々と影の迷宮のさらに奥深くへと旅を続けた。
時間は引き伸ばされたように感じられた。汗が額を伝う。その時、彼はそれを見た。前方の開けた場所で、別のトカゲが巨大な根の窪みにできた水たまりで水を飲んでいた。だが、これは違った。巨大で、ほとんど人間ほどの大きさがあり、長く白い尻尾がゆっくりと揺れている。これなら、ミッカのお茶だけでなく、何日分もの肉になるだろう。ミッコの心臓がドキッと跳ねた。
ザッ…ザッ…
彼はゆっくりと、足音をほとんど立てずに動いた。しかし、その生き物は見た目以上に用心深かった。その頭がスッと持ち上がり、爬虫類の目が森をジロリと見渡す。ミッコは茂みの後ろに身をかがめたまま、カチンと凍りついた。
『気づかれた』
トカゲは逃げなかった。代わりに「シューッ」と威嚇し、体をこわばらせ、攻撃か逃走かの構えを取った。ミッコは自分の位置が最悪であることに気づいた。剣での攻撃は自殺行為だ。生き物は大きく、間違いなく速い。その時、ある記憶が脳裏に稲妻のようにピカリと閃いた。あの耳をつんざくような音、反動、ミッカを救おうとした時にアイアンが前にふらついた姿。カービンだ。
限りない慎重さで、彼はバックパックを背中から滑り下ろし、冷たい黒い金属の筒を取り出した。テセウキが緊急用に渡してくれたものだ。今がその時だった。彼は武器を肩に当て、ヒヤリとした金属が汗ばんだ肌に触れた。トカゲの頭に照準を合わせる。心臓が肋骨にドクドクと打ち付けていた。彼は深く息を吸い込み、テセウキを…仲間たちのことを思い出した。そして、引き金を引いた。
ズドオオオン!
その音は森中に爆発した。音に驚いたトカゲはビクッとして逃げようと跳んだが、遅すぎた。弾丸がその頭に命中した。悲鳴はなく、頭蓋骨が砕け散るグチャリという湿ったグロテスクな音がしただけだった。巨大な体はドサッと地面に倒れ、動かなくなった。
「やったぞ!」ミッコは叫び、その勝利の声が開けた場所に響き渡った。彼は獲物に向かって走り、勝利の笑みを浮かべていた。
ゴツン!
鋭い痛みが肩に走り、彼はよろめいた。石だ。何が起きたか理解する前に、別の石が腕に当たった。彼は顔を上げた。頭上の枝で、何十もの赤い目が、敵意に満ちた知性で彼を見つめていた。猿たちだ。何十匹もの猿が、キーキーと叫びながら、石の雨を降らせ始めた。
最初の反応はパニックだった。逃げろ!だが、振り返った瞬間、彼を待つ仲間たちの姿、彼を信じる仲間たちの姿が、彼をその場に縫い付けた。ダメだ。彼は再び向き直り、顔を守るために腕を上げた。別の石が、今度は額に命中した。生暖かい液体がタラリと流れ、新鮮で熱い血が彼の視界をぼやかせた。
猿たちは、彼が傷ついたのを見て、トカゲの死体へと近づきながら降り始めた。怒りが、痛みを上回った。ウオオッ!と叫びながら、ミッコはミッカの剣を抜き、突進した。猿たちの中で一番大きい一匹が、彼に向かって跳んできた。ミッコは斬った。オレンジ色の刃がヒュッと風を切り、その生き物の胸に深い切り傷を与えた。猿は痛みに**ギャアッ!**と鳴いて後ずさったが、他の猿たちは彼を取り囲み続け、その叫びはさらに鋭く、さらに怒りに満ちていた。
「この獲物は俺のだ!」ミッコは、アドレナリンでかすれた声で叫んだ。
彼らは退かなかった。別の一匹が跳びかかり、ミッコは本能的な動きでそれをかわした。「バジリスクに比べりゃ、こんなの!」彼は吠え、あの恐怖の記憶が彼に野蛮な勇気を与えていた。彼は回転し、刃が空を切り、別の猿を傷つけた。背後から、三匹目がトカゲを引きずろうと忍び寄ったが、ミッコはそれに気づき、回転してその腕を斬りつけた。猿は痛みに叫びながら逃げていった。
しかし、彼は彼らを殺さなかった。致命的な一撃を与える力が。食べるため、生きるために殺すこと、それはミッコが幼い頃から学んできたことだった。だが、本当の殺意…命を奪うという行為のためだけに殺すこと。彼にはそれがなかった。そして、彼はそれを知っていた。
彼は傷つき、血を流しながらも、その赤い瞳に獰猛な決意を宿す猿たちを見た。彼らは諦めないだろう。その時、彼は彼らが来た枝の上を見た。そして、見た。背中に子供を抱えたメスたちが、怯えた目で見つめていた。
その瞬間、ミッコはハッと悟った。肺から空気が抜けていくようだった。彼らは悪意で攻撃しているのではない。彼らは飢えていた。彼と同じように、ただ生き残ろうとしていただけなのだ。
彼が最初に傷つけた猿は、胸からまだ血を流しながら、トカゲの重い体がドサリと自分の前に投げ出されると、怯えて後ずさった。彼は、困惑してミッコを見た。
少年は、息を切らし、血にまみれながら、その生き物の切断された白い尻尾を掲げた。
「俺が必要なのは、尻尾だけだ…」
他の猿たちはすぐにトカゲの体に群がり、飢えた鳴き声の狂乱が巻き起こった。しかし、リーダー、彼が最初に斬りつけた猿は、じっと動かず、ミッコを見ていた。彼は、少年が背を向け、その狩りの重みと、芽生えたばかりの意識の重みを残して、ゆっくりと森の中へと消えていくのを見届けた。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
樹海の向こう、今や戦いの傷跡が刻まれたオアシスの中心で、レグルスはアンフィプテレと対峙していた。マグマが彼の腕をタラタラと伝い、濡れた肌に触れて蒸気がジュウウウと音を立てる。歪んだ、挑戦的な笑みが彼の顔に浮かんだ。なぜこんな気分になるのか、痛みと疲労と共に胸の中でブクブクと泡立つ、この暗い高揚感の理由は、彼には分からなかった。だが、今となってはどうでもいいことだった。
『俺様は戦いてえんだよ!』
グオオオオオッ!
アンフィプテレの叫びが空気を引き裂いた。その尻尾が鞭のようにしなり、見えない風の刃が、一秒前のレグルスがいた空間を切り裂いた。ビュオッ! 彼は足元からニョキリと生えた固まったマグマの手に乗り、高く跳んでそれをかわした。彼の腕から、溶岩の奔流が爆発し、巨大な腕の形となってその生き物へと飛んでいく。
だが、竜は俊敏だった。優雅な急降下で、それは白熱の手をかわした。レグルスは止まらない。彼の腕はマグマの創造物と同期して動き、空中での猛烈な追跡を導いた。しかし、竜の方が速く、その蛇のような体は、苛立たしいほど容易に攻撃の間を踊った。
焦れたレグルスは、ドンッ!と地面を踏みつけた。彼の真下からマグマの柱が噴き出し、彼を空へと持ち上げた。それは、周りの巨大な木の枝を模した即席の階段だった。彼はますます高く昇り、地質学的な怒りの腕をさらに、さらに多く創り出した。今や何十もの、溶岩の拳の群れがアンフィプテレを取り囲んでいた。だが、竜はただ回転し、尻尾が再び空を切った。風の刃がレグルスの柱を直撃し、それらは岩と熾火の雨となってガラガラと砕け散った。
彼は、落ちた。世界が緑と青の滲みとなり、彼は水面へと真っ逆さまに落ちていく。アンフィプテレが急降下し、緑の鱗の彗星となって彼に向かってきた。レグルスは、あの猿の、引き千切られた頭を思い出した。生き物の顎が開き、とどめを刺そうとする。その一撃が、来た。
顎が彼の頭に食らいついた、その瞬間、世界が爆発した。
カッ――ブウウウン!
純粋なマグマの爆発がレグルスの顔から噴き出した。アンフィプテレは**キシャアアアッ!**と鳴き、痛みと驚きで空中で回転する。怒りの発作の中で、それは自身の顎を使って少年を投げ飛ばした。それは単なる押し出しではなかった。投石機のような力での投擲だった。
レグルスの体は弾丸のように撃ち出され、**ドパン!ドパン!**という鈍く痛々しい音を立てて水面を二度跳ね、オアシスの湖を横断した。そして、対岸の巨大な木の一つに、**バキィッ!**という最後の、破壊的な衝撃と共に叩きつけられた。古い木が割れる音と、レグルスの苦痛の叫びが響き渡り、体中の骨が抗議の声を上げた。彼は幹を滑り落ち、顔から血を流していた。頭を溶岩に変えたにもかかわらず、噛みつきの力は彼の皮膚を引き裂いていた。
アンフィプテレは湖の対岸で滞空し、その口はレグルスが与えた火傷で血を流していた。それでも、体に脈打つ痛み、手足に鉛のようにのしかかる疲労にもかかわらず、レグルスは拳を握りしめた。挑戦的な笑みが戻り、額の切り傷から流れる血が目の中に流れ込んだ。
『なぜだ?なぜ俺はこんな気分なんだ?なぜ…俺様は、こんなにも戦いたいんだ!?』
彼の腕に、何かが新しく生まれた。まるで彼自身の肌から芽生えるかのように、黒くガラス質の岩の鱗がゴツゴツと形成され、その下をマグマの血管がオレンジ色の光でドクドクと脈打っていた。アンフィプテレが再び突進してきた。レグルスは空気を殴り、今度はマグマの腕は地面からではなく、何もない空間そのものから現れた。通常は動かないはずの手が開き、そして閉じた。燃え盛る怒りの拳となって。
竜はかわしたが、小さなマグマの手がその尻尾に食らいついた。まるで創造物が自分自身の延長であるかのように、レグルスは流れるような動きで回転し、その生き物を巨大な枝へと投げつけた。湿った木がバキバキと砕ける音が響いたが、それと共に聞き慣れた音がした。空が切り裂かれる音。レグルスは横へ身を投げ出したが、遅すぎた。風の刃が彼の顔をかすめた。そして、彼は感じた。自分が立っていた枝が、断ち切られたのを。彼は、再び落ちた。
破壊された枝の中から、アンフィプテレが現れた。傷つき、焼け、血を流していた。だが、その顎は開かれていた。とどめの一撃が、来た。
「しまっ…!」
牙が彼の脚に食い込み、竜は目も眩むような螺旋を描いて上昇し、彼を木々の海の天蓋の上へと引きずり出した。空気が薄く、冷たくなった。そして、締め付けが消えた。彼は解放され、恐ろしい静寂の中を落下していく。一瞬、彼はアンフィプテレがさらに高く昇り、その姿が満月を背にした完璧な黒いシルエットになるのを見た。荘厳で、恐ろしかった。
『獲物が対等に立ち向かってきたら、捕食者は逃げるべきじゃないのか?なんであいつは、こんなに俺を殺したがるんだ?なんで…俺は、こんなにあいつと戦いたいんだ?』
その思考は、生き物が急降下してきた時に断ち切られた。空からの鷹のように、それは信じられない速度で降りてきて、翼を閉じて空気を切り裂いた。目標は、レグルスの胸。少年が純粋な痛みに叫んだのは、顎が空中戦の真っ只中で彼を捕らえた時だった。
だが、彼の赤い瞳は、自然な色ではなく、彼のマグマの炎でカッと輝いた。レグルスの血が沸騰し、その濃い赤が鮮やかで熱い赤へと変わる。彼の岩の鱗に覆われた腕が、竜の頭を掴んだ。生き物の爬虫類の目は、彼が説明できない決意で彼を見つめていた。なぜなら、彼もまた、同じようにそれを見つめていたからだ。
レグルスがピカッと輝き、そして、もう一度マグマが爆発した。そして二人は、炎と鱗の彗星となって、オアシスへと墜落していった。その音は水に飛び込む音ではなく、隕石が大地に衝突する音だった。ゴガアアァァン! 湖の水が蒸気と泥のカーテンとなって上空へと爆発した。地面は衝撃の力で震え、裂け、岸辺に小さなクレーターを開いた。レグルスは体中の骨が悲鳴を上げるのを感じ、意識が暗闇の縁でチカチカと明滅した。
彼は立ち上がろうとした。疲労は錨となり、彼の体を完全にマグマに変えることを妨げた。変えられなかった部分に目をやった時、彼の目は恐怖に見開かれた。右腕が、折れていた。骨折は開放性で、白く不規則な骨がグロテスクに皮膚を突き破り、おぞましい光景を晒していた。痛みは、もはや熾火ではなく、地獄そのものだった。それは白く、目が眩むほどの苦悶で、彼が今までに負ったどんな傷よりも酷かった。彼は、切り刻まれた腕を抱えながら、叫び声を上げて倒れた。
彼の視線が破壊されたオアシスを走り、そして硫黄と煙の匂いが彼の注意を引いた。彼の周りに灰が舞い落ちる。森で、彼のマグマが何百もの小さな炎となり、広がり始めていた。
『ダイアンヤ…あいつ、気をつけろって…』その記憶が、罪悪感の重みと共に彼を襲った。『最初は、俺に慎重になれって意味だと思った…でも、あいつのことだ、何か理由があったに違いない…』
腕の痛みは苦悶の白い太陽となり、彼に地面に留まれ、諦めろと叫んでいた。だが、友人たちの姿、ダイアンヤの、ミッコの、テセウキの…彼女の…姿は、それよりも強かった。顎が痛むほど歯をギリリと食いしばり、彼は壊れた自分の体を無視することを自らに強いた。
筋肉を引き裂くかのような努力で、彼は左腕を上げた。それは純粋な意志の行為、守護者が失敗を拒む最後の身振りだった。森の炎は揺らめき、そして、彼の力の最後の呻きと共に消え去り、乾いた岩が空から降ってきて残りの熾火を窒息させた。
最後の力を振り絞り、彼は立ち上がった。
「…花を…取らなきゃ…」
だが彼は、恐怖にピタッと動きを止めた。アンフィプテレも立ち上がろうとしていたが、その翼は折れていた。焼かれ、傷つき、それはただ引きずるようにしか動けなかった。
「…しぶとい野郎だな…」レグルスは呟いた。
彼はその生き物へと歩いていった。それは怒りに吼えた。「俺はもう、お前を傷つけたくない」と彼は言った。アンフィプテレは後ずさったが、レグルスが近づき、その頭に手を置いても攻撃はしなかった。「…助けてやる…」
しかし、彼がよく知る音が、耳に響いた。それは綺麗な切り口の音ではない。肉が穿たれ、引き裂かれる、湿った吐き気を催す音だった。
グチャリ!
アンフィプテレの翼は引き裂かれたのではない。水の中から爆発した黒い触手によってグサグサと突き刺され、その膜を裂き、バキバキと乾いた病的な音を立てて骨を砕いた。生き物は純粋な苦悶の、喉の奥から響く叫びを上げた。その血が湖面に噴き出す中、泡立つような音だった。レグルスは恐怖に駆られ、深淵から現れる、あの姿、ぬるぬるした肌、濃い緑色の体、そして何百もの目を見た。例の怪物だ。
その触手がアンフィプテレに食い込み、引きずり込んでいく。ぬるぬるとした病的な体が開き、生き物の暗い核を晒した。何百もの歯を持つ螺旋状の口が開き、喰らおうとする。
だが、湖から別の触手が現れ、その生き物の核を打った。湖から、もう一体の怪物が現れたのだ。二体の生き物は触手で互いを打ち始め、やがて、苦悶に叫ぶアンフィプテレを引っ張り合う綱引きが始まった。そして、湿った吐き気を催す音と共に、それは真っ二つに引き裂かれた。
レグルスは、恐怖に麻痺してそこに立っていた。二体の生き物はそれぞれの獲物を喰らい、そして、何百もの目が、彼に固定された。
触手が来た。だが、決して届かなかった。それらは凍りつき、動かなくなり、彼の顔からわずか数センチのところで、死の約束が空中に吊るされた。彼はそれらを見た。二体の生き物はもはや地面にはいなかった。奇妙で力強い生命力で振動する水球の中に囚われ、持ち上げられていた。
牢獄を形成する湖の黒い水が、沸騰し始めた。だが、熱ではない。カッと眩しい青い聖なる光が、泡の中心からほとばしった。闇は追い払われ、水は清らかに、水晶のようになり、不純を許さない本質へと変わった。そして、怪物たちにとって、その清らかさは絶対的な毒だった。
それらは身悶えし、ぬるぬるした肉が清めの光の下で泡立ち、冒涜的な煙となって消えていく。その口が開き、叫びが響いた。空気中ではなく、レグルスの心に直接。それは甲高く耳をつんざくような悲鳴、冒涜的な魂が分解される音、水に抑えられてさえも正気そのものを引き裂くほどの強烈な苦悶だった。
その体は聖水の中の塩のように溶け、目は病的な光の閃光となって爆発し、水晶のように澄んだ水と、その絶滅の後に続いた静寂以外、何も残らなかった。
安堵し、しかし残る恐怖にまだ震えながら、レグルスは一体何がそれをしたのかと訝しんだ。そのような忌まわしきものを、圧倒的な純粋さで絶滅させることができる力とは何なのか?次に、自分は何と対峙しなければならないのか?
しかし、新たな脅威はなかった。代わりに、彼は魂に響く、音なき聖歌を感じた。彼は振り返った。小さな湖の上に浮かんでいたのは、完璧に水晶のような水の球体だった。それは自らの光で振動し、何百もの滴がその強烈な青い核の周りを、水生の太陽の周りの小さな液体の惑星のように周回していた。この感覚…この穏やかで、古の存在感…
「…水のエレメンタル…」
敵意はなかった。ただ、純粋で力強い好奇心だけがあった。球体は彼の方へ浮かび、その優しい脈動は、そのような壮大な存在にしてはコミカルで無垢な仕草のように思えた。レグルスは右腕、骨が皮膚を突き破るグロテスクな光景に目をやり、そしてその生き物を見た。彼に言葉は必要なかった。「これか?」彼は傷ついた腕を掲げて尋ねた。
エレメンタルはより頻繁に振動し、明確な肯定を示した。心臓をドクドクと鳴らし、躊躇いながらも、彼は腕を球体の中へと沈めた。水は液体ではなかった。氷のように冷たく、密で、そして、火のように熱かった。痛みが来た。生き物の本質そのものに抑えられた叫び声と共に、彼は魅了され、そして苦悶しながら、奇跡が起こるのを見た。銀と緋色の糸が織りなされ、神経と血管が再接続していく。鮮やかな筋肉が芽生え、再整列する骨を覆っていく。それは創造の痛み、恐ろしくも美しいものだった。
痛みが引いた時、彼は腕を引き抜いた。完全だった。完璧だった。息を切らし、痛みと安堵の涙が顔を伝う中、彼はエレメンタルを見た。「…ありがとう…」
水でできた存在は、応えるように振動した。それを周回していた滴が踊り、レグルスの右手へと飛んでいった。それらは合体し、純粋な水の小さな球体となった。そしてその中に、宝石のように吊るされていたのは、「流れ星の花」、完璧に保存された姿だった。
オアシスの岸辺から、水の橋が架かり、その階段は月光の下で輝いていた。「これは…あいつらの元へ?」エレメンタルは、同意するかのように優しく揺れた。
彼はまだ躊躇いながら、橋に近づいた。最初の段に足を置くと、沈むことを予想したが、その表面は固く、同時に液体で、彼の体重を支えた。去る前に、彼は最後にもう一度振り返った。水のエレメンタルは湖の上で静かに浮かんでいた。小さな動物たちが隠れ家から出てきて、もはや恐れてはいなかった。そして、折れた木々、砕かれた枝から、生命そのものが新しい芽の緑の囁きとなって戻ってきていた。
心からの、久しぶりの本物の笑みが、レグルスの唇に浮かんだ。「ありがとう!」
そして、希望を手に、奇跡を心に、彼は友人たちの元へと駆け戻った。




