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【連載開始3ヶ月でPV10万達成!&第三部開始!】病弱だった俺が謎の師匠に拾われたら、いつの間にか最強になっていたらしい(略称:病俺)  作者: 佐藤 峰樹 (さとう みねぎ)
第一部【王都クーデター編】

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第二十七話:決戦の朝、それぞれの戦場へ【後編】

 ***


 俺は静かに目を覚ました。

 いや、眠ってはいなかった。ただ、意識を深く、深く沈めていただけだ。


 ギギギギ……と、重い石が擦れる音が響き、独房の鉄格子の扉が開けられた。

 松明の光と共に、数人の屈強な衛兵が入ってくる。その先頭に立つのは、騎士の階級章をつけた、見知らぬ男だった。

「……時間だ。立て」

 男の、感情のない声。


 俺は、静かに立ち上がった。枷をはめられた両手が、じゃらり、と音を立てる。

 衛兵たちに両脇を固められ、俺は、十日間過ごした死んだ闇の中から、再び冷たい石の階段を上へと導かれた。


 奇妙な感覚だった。

 衛兵たちの気配が、ひどく張り詰めている。だが、その殺意の『線』は、俺だけに向けられているわけではない。あちこちに、無数の見えない敵を警戒するかのように、乱雑に張り巡らされている。

 城全体が、熱病に浮かされたように、不穏な『濃い』気配に満ちていた。

(……何か、起きるのか)

 俺は、ただ、その事実だけを感じ取っていた。


 長い、長い通路を抜け、巨大な観音開きの扉の前にたどり着く。

 扉が開けられた瞬間、凄まじい歓声と、眩い光が、俺の全身を包んだ。


 目の前に広がっていたのは、円形の、巨大な闘技場だった。

 すり鉢状の観客席は貴族と、王都の民衆で埋め尽くされている。その熱気が、肌を焼くようだ。

 そして、正面の中段の場所にある貴賓席には、きらびやかな衣装をまとった王侯貴族たちが居並び、その中には不安げな顔でこちらを見つめる、小さな少女――ロッテの姿もあった。

 観客席のどこかからは、でギデオン殿とセレスの気配と、俺を憎悪の目で見つめる、ユリウスの気配も感じられた。


 俺は衛兵に促されて、闘技場の中央へと、ゆっくりと歩みを進める。

 そこには俺以外にも二人の人間がいた。一人は怯えきった様子で立ちすくみ、もう一人はつまらなそうに観客席を見やっていた。

 万を超えるであろう観衆の熱気と喧騒が、観客席から振るように浴びせられ、重なり合ったそれは、まるで遠い世界の音のように聞こえる。


 これから、俺をこの国の『礎』にするための何かが始まるらしかった。


(第二十七話 了)

お読みいただき、ありがとうございました。

「面白い」「続きが読みたい」と少しでも思っていただけましたら、ブックマークや、ページ下の【★★★★★】から評価をいただけますと、大変励みになります。


次回は本日の23時の更新を予定しております。またお会いできると嬉しいです。

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