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 制服を着ているので完全にこの学園の生徒だ。

というか女子生徒の髪の色が特徴的すぎるピンクブロンド。

 ラナメリットだ。

 クラバルトもぽかんとした目で見ている。

 それにしても。


「何です。あの堂々とした犯行」

「だよねえ」


 人目もはばからずだ。

 いくら放課後とはいえ、絶対に人が来ない保証なんてないだろうに。


「追いかけなきゃ!学園の外に出ちゃう。クラバルトは誰か呼んできて」


 きゅっと緊張した顔になると、リッテはクラバルトに素早く指示を出した。


「役割が逆でしょう!私が足止めしますから、誰か呼んで来てください。さすがに俺一人で二人を相手は荷が重いので」

「クラバルト、武闘派じゃないもんね」

「いいから早く人を」

「駄目だって。私じゃ走っても遅いし、それに私が相手じゃ話訊いてもらえるかわからないし!」


 正論を言われて、ぐっとクラバルトが喉を詰まらせた。

 いまやリッテは聖女をいじめた人間として認識されている。

 助けを求めたところで話を訊いてもらえる可能性は低い。


「あ、外出ちゃう。ほら、急いで。命令!」


 ずるいけれど命令だと言えば、クラバルトは思い切り顔を顰めた。

 あきらかにあとで説教案件だ。


「ああもう!絶対に何もやらかさないように!」


 言うや否や、クラバルトはしゃがんで土を手にとった。

 何をしているんだろうと思っていると、ぐっと一度土を握った拳に力を入れる。

 そして無理やりリッテのスカートにそれをねじ込んだ。


「何?何したの?」


 さっぱりわからずポケットをパタパタ叩くと、クラバルトが半眼になってリッテを見つめた。


「言ったでしょう、土属性だと。自分の魔力なら追えますから」


 つまりさっきのは魔力を込めていたらしい。

 なんて便利なのだ。

 これがあれば、と思っていると。


「いいですか、これはリッテ様が勝手に動いたらわかるということですからね」


 つまり勝手に動くなよ、動いたら説教だからなということだ。

 でも非常事態だし、ちょっとくらいなんて考える。

 それを見越したようにクラバルトが口を開けた。


「馬車が外にあるでしょうから、二人組が外に出るまで大人しく。どっちの方向へ出て行ったかだけみてください」

「でも」

「復唱!」

「ハイ!どっちの方向へ出て行ったか見るだけ」


 リッテのハキハキした宣言に、とりあえずいいだろうといった顔でクラバルトが来た道へと走りだす。


「すぐに戻りますからね!」

 クラバルトが来た道を戻って背中が見えなくなると、リッテは二人組の方へと目を向けた。

 距離があるから、どちらの方向に行くのかいまいち見えづらそうだ。


「方向は見なきゃよね」


 うんと拳を握ってそろそろと学園の外へと向かって行った二人組を小走りで追いかけた。


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