氷冷
氷柱におもちゃ入ってて取り出すというイベント、あったよね…。
つい二週間ほど前、世の中は、いきなり魔法世界になった。
なんでもポールシフトが起きたとかで、一気に世の中の仕組みがおかしくなったんだってさ。
世の中はとんでもない混乱に見舞われた…なんてことにはならなかった。
意外とさ、電気の仕組みの再利用?
そういうのがサクッとできてさ、まあ、ぶっちゃけほとんど変わらない。
パソコンも使えるし、スマホも使える。
ただ、魔法が使えるようになっただけ、それだけなんだよ。
意外なことにさ、魔法が使えるようになっても、いきなりファイヤー撃ち込んだりするやつっていないの。そこらへんさあ、人って遠慮がちっていうかさ!!
まあね、普通の人だったら、知らん人にいきなり攻撃とか、しないよね。
世界はなんだかんだで平和だったってことさ。
僕は世界が変わった時、何をしようかなって思ったんだけど、特に何も思いつかなくて。
自分の魔法も、特に希望がなくてさ。
どうしようかなあって思ってたんだ。
自分の魔法を決める時さ、めっちゃ暑かったんだよね。
最高気温43度の日で。
ついついさあ!!
氷系の魔法選んじゃったんだよね!!
あの日氷系選んだやつ、マジ多かったと思うよ?
「ふわ雪!!」
僕はふわっふわのかき氷を呼び出した。
手の平に、ふわふわの氷がこんもりできた。
うーん、サクサク、ふわふわ、冷たくて気持ちいい!
鞄の中からかき氷シロップを出して、振りかけていただく。
スプーンなんていらないや。直接かぶりつく。
まだまだ暑い、日本の夏。
ジャワジャワ鳴いてる蝉も全然静まりそうにない。
涼を得た僕は、公園を一巡りする。
噴水か。涼しげだけど気温40度越えじゃあなあ…。
ああ、そうだ!!
「完全!零結!!」
僕の目の前で、噴水がみるみる凍っていく。
おお、すげえな!!
辺り一面に涼しさが広がる。
「ちょっと!!なにしてんの!!!」
げげ!!
公園の管理人が来た。
「す、すみません、暑かったので。」
「いますぐもどして!!」
「ええと、戻し方、わかんないんですけど」
ヤバイ、僕は凍らせる専門で溶かす方はさっぱりだ。
炎で溶かすとか?いやダメだ!噴水内部が破壊される!
まずい、僕とんでもないことしちゃったんじゃないの…。
冷汗が垂れる。
垂れた汗が、ピキピキと、凍る。
おお、こんなところにも、氷魔法の影響が…って!!
おおお!!マジでどうするよ!!
ピキ…パキ…ピキキ…
なんか、噴水が??
ズズピキッ!!キィっ!!ブワッシャアアアア!!!
ものすごい音をたてて、氷が割れて、元の噴水に、戻った。
「もう!!こんなことしちゃだめだよ!!わかった!!!」
「はい、すみません…。」
マジやばかった。
僕みたいな小心者はだめだな、すぐ動揺しちゃう。
もう派手なことはやめよう…。
冷汗はすっかり引いて、真夏の暑さが僕に降り注ぐ。
あー、あっちい…。
「氷冷!」
僕は燦燦と降り注ぐ夏の日差しを和らげるために、小さな冷たい塊を出して涼をとった。
うん、僕にはこれぐらいが、ちょうどいいや。
良い魔法、選んだよホントに。
僕は、冷たさに感謝しながら公園を後にした。




