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反映ーreflectionー  作者: たかさば


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119/135

重み

ずいぶん重い、言葉をもらった。

ずいぶん身勝手で、調子のいい言葉は、相当軽いものだったけれど。


私にとっては、とても、重い、言葉であった。


重い、重い言葉が、私を押しつぶす。

重い、重い言葉が、私の自由を奪う。

重い、重い言葉が、私の思考を停止させる。


私は重い言葉につぶされたまま、ただ、言葉をポンと投げてよこした存在の、面影だけを見た。


・・・見上げる事すら、できない。

身勝手な存在を、私は見ようと思わなかった。

私は、身勝手な存在と同じステージには立ちたくないと思ったのだ。

私を押しつぶした存在が見る世界など、見たいとは思えなかったのだ。


視点を変えよう、そう決めた私は、見る世界を変えた。


見たくないものを見なければ、見たくない現実は見えてこない。

思いのほか、見たくないものを見ない暮らしは、快適だった。


重い言葉につぶされながら、私は違う世界を見て、ゲラゲラと笑った。

私を押しつぶしている重い言葉など、一度も見ない日々が続いた。

笑い飛ばすことに必死で、自分がつぶれていることなど忘れる日々が続いた。


ずいぶん、笑い続けていた、ある時、ふと、気が付いた。


・・・私、今、つぶれてないな。


私は確かにつぶれていたはずなのに、つぶしていたはずの言葉が、転がっている。

やけにホコリまみれの、汚い言葉が、仁王立ちする私の横に、転がっている。


ころんころん、ぱさ、ぱさ。


やけに軽い言葉が、私の横に転がっていた。


私は、いつの間にか、立ち上がっていたのだ。

私は、いつの間にか、ステージに立っていたのだ。


たくさんの目が、私を見守っている。


「がんばってるね!」

「だいじょうぶだよ!」

「ありがとう!」

「楽しみにしてる!」

「見てるからね!」


私を見守る、たくさんの人が、私が何をするのか、見守っている。


「どうなるんだろう。」

「どうしたいんだろう。」

「どうするんだろう。」


期待感にあふれる、たくさんの、私を見守る、目、目、目、目…。


私は、かつて私をつぶしていた、重い言葉を、蹴り飛ばした。


ひゅるん、ひゅるん。


私をぺちゃんこにつぶしていた言葉は、ずいぶん軽ーく、飛んで行った。

やがて、軽い言葉は、言葉を吐いた人の頭に、ぽさりと落ちて、崩れて散らばった。

まるでほこりを払うように、パンパンと、払われる、かつて私をつぶしていた、重い言葉。


ああ。なんだ。


私は、あんな軽い言葉に、つぶされていたのか。


私を見守る、たくさんの人が、私が何をするのか、見守っている。


私は、私のステージを、手に入れた。

私のステージは、私が主役。

私が何をするのか、たくさんの人たちが注目している。


私の言葉を、たくさんの人たちが、待っている。

…舞台は、整った。


私は、私のステージに立ち。


口を開いて、軽い言葉を吐きだした。


たくさんの人たちが、私の言葉を笑い飛ばした。

たくさんの人たちが、私の言葉に涙を浮かべた。

たくさんの人たちが、私の言葉に憤った。


私はずいぶん気軽に、言葉を吐き続けた。


私の吐く言葉は、どれもこれも、ずいぶん軽くて、それはもう、遠くまで飛んで行った。


風に乗って、どこまでも。

風に乗って、どこまでも・・・追い詰める。


たった一言で私をつぶした、重い重い言葉を吐いた誰かに、私の軽い言葉が届き始めた。


私の軽口は、止まらない。

私の貯め込んでいた思いが、次々にあふれだす。


私が何もできないと決め込んで、自由気ままに軽い言葉を吐いていた誰かの元に、私の言葉が届いている。


私の軽口は、止まらない。

私の貯め込んでいた思いが、次々にあふれだす。


私が吐き出した軽い言葉が、どんどん押し寄せてゆく。


私の軽口は、止まらない。

私の貯め込んでいた思いが、次々にあふれだす。


私の軽い言葉は、誰かにとっては、ずいぶん重たいようだ。

私の軽い言葉が、誰かをずいぶん、追い詰めているようだ。

私の軽い言葉で、誰かが少しづつ、つぶれ始めたようだ。


私の軽い言葉で、つぶれていく誰かを見ても、なんとも思わない自分がいる。

私が軽い言葉でつぶれたように、この人もつぶれるのだなとぼんやり思う。


つぶれたところで、いつかは立ち上がることができると私は知っているから。

今はただ、つぶれておけばいいんじゃないのかなあ…。


ただ。


私は、立ち上がる気力を、残してあげようとは、思わない。

立ち上がれなくなるような、決定的な大ダメージをお見舞いしたいと、思っている。


やり返せるわけないって、言っていたのを、覚えているのだ。


「ううん、やり返せるよ」って、教えてあげないといけないと、使命感に燃える。


私をつぶした誰かが、私の軽い言葉でつぶれるのは、もう間もなく。

私をつぶした誰かに、私の軽い言葉が届くのは、もう間もなく。


私をつぶした誰かが、私の語る真実の物語につぶされて、全てを失うまで、あとわずか。


気軽に投げつけた、軽い言葉の重さを、知るがいい。

言葉の重みを、心行くまで、味わうがいい。


私は、大勢の人たちが見守るステージの中心に堂々と立ち。


ずいぶん、軽くなった、口を、開いた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 119/119 ・おおこわいこわい、でもわかる。気持ちがわかってしまう [気になる点] 軽い言葉で色んな感情を煽るのすごい。なんかすごい [一言] 使命感に燃える、そして炎上
2020/12/30 19:27 退会済み
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