クソ鳥コラム前編〜キルハルピュイアは何故ぶっ壊れなのか〜 by夜ノ神
「キルハルピュイアは何故クソ鳥と呼ばれるのか?」
コレについては様々なプレイヤーの中で議論が交わされてきたことだろう。
今回はそれらについての疑問を解消するため、私ことゲーム開発担当の夜ノ神がこうしてコラムを執筆することにした。
それにあたり、まずはキルハルピュイアのステータスを確認してみることとしよう。
《キルハルピュイア》✝
ギア2 ヘル・ディメンション/マシン
POW5000 DEF5000 RUN5
◆《進路妨害》
◆『このカードの破壊時』カードを一枚引く。
攻守5000の走力5。ターゲット集中に該当する進路妨害も所有し 、退場時にカードを1枚ドローする能力を持っている。
これらの何が問題なのか。
プレイヤーの中では「進路妨害しつつ退場時にドローする」流れが問題なのではないかと思われている方も多いだろう。
しかし実際はそうではない。進路妨害など「一番の問題」の前ではどうでもよいのだ。
このカードの問題は「POW5000のギア2であり、退場すれば1枚ドローできる」という点に尽きる。
考えてみて欲しい。本ゲームにおいてギア2は非常に軽く、出し安い。所属クラスを問わず、センターがギア2でさえあれば横に置けるため、ヘル・ディメンション以外の盤面にも平気な顔で出張できる事だろう。
その上で、場に出た瞬間に手頃な相手の主力めがけて自爆特攻させたらどうなるか。
DEF5000のラインは多くのマシンが超えている。自爆特攻は平然と通過し、退場時のドロー効果が起動する。
効果発動前と発動後で手札の枚数に変わりはなく、それでいて墓地アドバンテージ1枚増え山札の総数は一枚減っている。
つまりキルハルピュイアとは、一切のデメリットも制約もなく山札を圧縮してしまうカードだったのだ。
カードゲームに少しでも詳しい方であるなら「万能のデッキ圧縮」がいかに恐ろしいか、39枚の初期山札が実質35枚に減ることがどれだけ恐ろしいかは理解できるだろう。
制約を破壊する権限が、このカードにはあるのだ。
この時点で入れ得のカードであり、現状入れない理由が無いとさえ言えるほどである。
しかしおぞましい事に、ここから山のように『オマケ』が乗っかるのである。
まずは件の進路妨害。
DEF5000はギア1の打点を超えているため、相手は嫌でもこのカードに主力を向けざるを得なくなる。上手く行けばこのカードでギア4さえ拘束する事ができ、それでいて損失は一切無い。
次に攻め手として。
POW5000は単体では心元無いが、攻撃の足しとしては優秀である。特にギア3、POW10000ラインとつるむと相手のギア4にもそうそう負けない。
またハルピュイア二枚でDEF10000ラインに突っ込むと「相手の主力を一切なにもせず消した」のと同じとなり、アドバンテージしかなくなる。
最後にコストとして。
各種「場札を疲労させて払う」タイプのコストはもちろんのこと、ヘル・ディメンション特有の「自分マシンを破壊する」タイプのカードともすこぶる相性が良い。実質コストを踏み倒して異様なアドバンテージを得られるのだ。
特に、これらのカードとは冗談のような好相性を誇る。
《バトン・グリップ》
ギア1 ヘル・ディメンション/チューン
『使用コスト・自分マシンを任意の枚数破壊』
◆コストカードの枚数分ドローする。
《バリアブルグリップ》✝
ギア2 ヘル・ディメンション/チューン
◆《使用コスト・自分マシンを任意の数選択》
◆コストカードをエンドフェイズに破壊する。また、選択枚数によってこのカードは以下の効果を得る。
●一枚以上・コストカードのうち一枚の走力を5追加する。
●二枚以上・自分は破壊したコストカードの枚数分ドローする。
●三枚以上・次の自分ターン開始時、山札から名前に『大悪魔』を含むマシン一枚を選んでセンターに重ねる。この効果はセンターがギア3以上でなければ使用できない。
これらのカードでハルピュイア二枚を破壊すれば、三枚使って四枚ドロー。各種サポートカードを駆使すれば八枚ドローも夢ではないほどだ。
あまりにもアドバンテージの回りが良すぎて、バリアブル・グリップの『三枚以上破壊で起動する大悪魔召喚』の効果が逆に足を引っ張りかねないほど。それだけハルピュイアの性能が凄まじいという事である。
これらもろもろのメリットを投入するだけで得られるのだ。どうあがいても規制は免れないと言えよう。
しかし、それでもその強さの認識にはプレイヤーによってブレがある。
それはなぜか……それはキルハルピュイアが抱える「二種類のマイナス要素」にある。
運用に慣れてしまえば気にならないが、いったん躓くとハルピュイアの強さを感じとるのが非常に困難になってしまうような欠点。
それについては、是非とも後編にて語る事としよう。




