表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
カードレース・スタンピード!!  作者: 能登川メイ
Episode.3 開戦の狼煙。シルヴァーズvsマアラ!
27/190

結束……オール・クリア・エピローグ!

チエカのカード紹介コーナー。本日紹介しますのは《赤塗りのパトライド》。



《赤塗りのパトライド》✝Red_color_police_car…

ギア1 スカーレット・ローズ/マシン

POW2000 DEF2000 RUN5

『コスト・このマシンをセンターの下に重ねる』自分のセンターを回復する。この効果は一台のマシンに一度しか使えない。



何度も何度も彼の助けになったこのカード。多数のギア1サーチから出て来ては、スカーレット・ローズの走りを底上げしてくれる強力なサポーターです。なんだか前にも紹介した気がしますが……改めて。


なんだかしんみりムードでお送りするこのコーナーですが……それについてはお察しいただければ幸いです。

では…………本編にどうぞ。


壮観な光景に負けないように、ハートが語気を強める。


「これはこれは……がん首揃えてどーも」


ハートは、信号先にコンビニを見つけたような目で彼らを見た。


『ハッ!! ずいぶん威勢のいいガキが第一号になったもんだ』


夜桜色の風景の中、一軒家程の光のゲートを背負う影。


機嫌良さげに答えたのは、電子轟かす巨大鎧だ。


影の群れは五。そこへ、マアラとチエカが歩き加わる。


七の影が揃う。


大小様々。個性的すぎるシルエットが威圧する。


「…………ッツ!」


『此度の賞与……《敗者決定! ディザスターキャノン!!》からは、わっぱが乗るそれと同じ綿雲が出る』


解説するのは、一際巨大な全身鎧だ。


中へ入れば、一度出向いた領域の中心街に出ることが可能だ』


話を聞いて、かつてチエカが領域のレアカードを『ゲームを楽しむ為の必須カード』と呼んでいた事を思い出す。


「七枚の必須アイテム……ね。なるほど『そらをとぶ』は必須だわ」


『さよう。まずは我らの天地に出向きその地を踏みしめよ。趣向を凝らした歓迎がお前を待つであろう』


「ふふっいきなりボス戦やっておどろかせちゃったらごめんね?」


「ワシはそんな事せんから安心せい。丁重にで迎えようぞ」


「んんー? 私はむしろ歓迎してもらいたい側なんだけどぉ?」


「ともあれ、男気を見せることだ。それが試練の突破の助けになる」


彼らが口々に語る。


いずれも劣らぬ威圧感。さぞ険しい試練が待ち構えていることだろう。


『……さて』


そして鎧が上を向き。


『聞けェ! 皆の者ォオオ!!』


叫ぶ。


「宣戦を、布告する」


橙色の髪の魔女が切り出す。


「我々はAi-tuba!」


白衣の少年が続く。


「七の領域を統括し!」


桃色の、短髪の姫君が


『電子を統べる長の群れッ!』


電光を滾らせる巨大鎧が締め。


「討ち勝って見せよ、我らの試練……!」


爺そのものの声のあやかしが突き付け。


「こ、これより続く試練の旅路、今日(こんにち)の比ではないと知れ!!」


白く幼い獅子を思わせる少年…………マアラが声高く叫ぶ。


そして。


「旅の果て、我ら総員を打ち破れたなら……その者、得難き宝をその手に掴む事であろう!!」


金色の髪を靡かせるレースクイーン少女、チエカが締める。


ハートをしっかりと見据える。


「楽しみにしてますよ? アナタ方が私の試練までたどり着くのを」


「おう! 」


そうして、彼らもろともジッパーはしまっていく。




そこから、輝ける風が吹き出す。




「……………!?」


『餞別兼、名刺代わりだ。受取っておけ!!』


それは。



《勝利の導き手チエカ》


《魔弾の撃ち手マアラ》


《極上の乗り手ユリカ》


《試練の与え手ホムラ》


《豪鬼の狩り手ルイズ》


《死骨の愛で手シイカ》


《科学の伝え手アルジ》



それはレジェンドレアの風だった。


これから挑むべき強敵達が描かれた風だった。


体が震えた。


ジッパーが締まり風が収まり切ったとき、彼らは影も残さず消えた。


まるで、全てが夢だったように。


だが。


辺り一面のレアの輝きが嘘ではないぞと言っていた。


「なあ……ファイア。パール」


振り返り、頼もしい同士達を見やる。


ワクワクが止まらない。


この興奮を伝え合いたい。


可能な限り深く。


深く!!




ブラウザの電源を落とす。


現実に復帰。


階段を降り一階へ。


センリは駆け出していた。


彼女らのもとに向かいたかった。



だがそこに。



「どこへ行く気だ?」



「あ、アニキ……」


夕焼け色の腰の下まで届く髪を、首の後ろで結んだ青年が居た。


彼の名は先駆借夏(カルナ)。先駆千里の兄である。


スタンピードを千里に勧めたのは彼なのだが……


「と、友達と一緒に……えーとえーとえーとえーと……」


「《スタンピード》関連か?」


「そうそれ! ……ハッ!?」


しまった……と思ったが、彼は中性的な笑みを崩さない。


「良いよ。行っておいで。大切な仲間なんだろう?」


「……………!」


無言で頭を下げ。


千里はかけていくのだ。





彼らの話は少し時間がかかるだろう。今のうちに、風呂にでも浸かっておくのが賢明か。


そう思い、先駆借夏は髪を解く。


腰下まで届く髪が広がる。


中性的な前面は。


特徴的な後ろ姿は。


……何故か、途方も無く見覚えがあるのはどうしてだろう?




丁場家はそう遠くない。


「シハ!! アルハァ!!」


勢いよく訪問する。


「……来たにござるか」


「……!!」


出てきたのはアルハと……見知らぬ、男とも女ともつかぬ人物。


だがすぐにわかった。


「シハ…………なんすね?」


「ああ……お前がセンリなんだな……!!」


そして思いの丈を綴る。


「なあシハさんよ! あの時から! の真っ直ぐな叫びを聞いてから思ってたんだ! そんで今日迷いは吹っ切れた!

だってそうだろ? ここにあるこんな真っ直ぐな思いはよぉ!」


「ああ! この思い、矯正するなんてとんでもない! アルハ!」


「ウム! 二人の思いは聞き遂げた!!」




そして。


気づけば。


彼らは互いの全てを認めていた。





自然と、三人は手を重ねて居た。


「言っておくが」


詩葉は言う。


「このゲームの裏を『疑う』ってことに変わりは無いぞ。このゲームの未来を守ることは、お前にとって重要な事だからだ」


「ウム。わかっておる」


「詩葉さんよ。どーやらこいつは全部全てまるっとお見透しみたいっすよ?」


「…………フン」


詩葉はため息一つ、役割を配る。


「或葉。お前はこのゲームを『信じろ』。配信等のコミュニティーに今までどおり参加するだけでいい。その感想が俺たちの力になる」


「ウム、心得た」


「お前は……言うまでも無いな。オレは勝者にはなれないし、コイツにトドメはちょっと辛いだろう。

なにより風はお前に吹いている! 千里!お前がこのゲームを『攻略する』んだ!」


「オッス!!」


もはや多くの言葉は要らない。


誓いが始まる。


「ーーーーー我ら、思惑は異なれど目指す終着点は同じ!!」


「挑戦は既に受け取った!」


「そして言葉を突き付けた!」


「そこな妹を救う為!」


「電子の姫の期待に沿うため!」


「理想郷の安寧を保証するため!」


「誓え。共にあの世界を『攻略』すると!」


手を上げる。


「チーム《シルヴァーズ》、行くぞォ!!」


「「オウッツ!!」」


深夜。一つの叫びがこだまする。


ここに、新たなる旅路が始まった。







これより先の物語をなんと呼ぶべきだろう。




『御旗チエカの企み』?


違う。主役は攻略するシルヴァの群れ。最後の強敵である彼女が必要以上に目立つべきではない。


『カード屋が無ければネットで戦えば良いんですよ♪』?


惜しい。その目的は既に果たされている。ここまでの物語になら相応しいかもしれないが……これより先をしら示すには不適格だ。


であれば。


これより先の物語には新たなる、そして新しい名が必要だ。


ならば今の名を掲げる物語はここでおしまい。


一人の少年がゲームと姉妹に邂逅し、それぞれの目的の為攻略を誓い合う……そんな物語は一度終わる。






「ーーーー物語は第一幕を超え、既に第二幕に踏み込んでいる」


だからワタシは、暗闇から提供する。


ほかでもない……この物語を眺める貴方達へ。


「思惑の整理は完了。これよりご覧いただくは、個性豊かなAi-tuba(ボスキャラ)達との楽しい楽しい戦いの記録」


背面に背負うは白磁の扉。


ワタシが守るべき開かずの城門。


「どこかの誰か。ろくでもないカミサマが紡ぐ物語はぼちぼち加速していきます。

……が。それを表現するにはもはやこの表題では不適格。新たなる場所で、新たなる名を以て再び始めるのが的確でしょう」


暗闇の中、ワタシ達だけが浮かび上がっていた。


「ですので、ここで、一旦はお別れです。ちょっぴり寂しいですが……でも大丈夫! またそう遠くないうちに会えますから」


歩き、あるき、アルク。


未来への道を踏みしめるように。


「だから……その時までお元気で。さよならとは言いません。また会いましょう!」


笑顔で手をふり、帰りかけ……止まる。


「ところで」


振り返る。


「……貴方がたの中にも、近所のカードショップが潰れて悲しい目にあってる人が居ませんか? 居ますよね?」


少子に不景気。現在の逆風の中で維持が叶う店は少ないだろう。


「でも大丈夫。案外なんとかなるモノですよ? だって彼ら劇中の方々をご覧なさいな。あんなに熱中できるなら。デジタルのカードゲームも捨てたものじゃないと思いませんか?」


嘘は無い。


「だからワタシは、初志を貫徹して言うのです!」


そして。


総括するようにワタシは言うのだ。




「カード屋が無ければネットで戦えば良いんですよ♪」






































だが。


人の世とは、思いのほか狭いもので。




「ハロー。マイバディ」


「ハロー。鳥文良襖。いいえ………」


画面のナカのワタシは言い直す。


Yagami123(ヤガミヒフミ)。マイ・ゲームマスター」


ワタシは、その少女をいつものように読んだ。




ーーーー交友関係など、狭きもの。




周りは誰も気付かない。企みの大概は静かに遂行されるのだ。


「グランドクエストの発表は概ね成功。さて…………次の手は?」


「そうね…………次のパックの発表を進めるわ。テストデータも十分集まったし…………ここらでドカンとユーザーを増やすのよ」


「仰せのままに♪」


ーーーー嗚呼、なんと素晴らしい日々か。


何かを発表し、反応が返ってくる。そのサイクルのなんと美しいことだろう。


「……わかってると思うけど」


少女君主は確認するように告げる。


「私が貴女を世界にプロデュースして、貴女が私の世界を牽引する。それで私達はギブアンドテイクなのよ。くれぐれも変な気は起こさないようにね」


「ハーイハイ、わかってますって♪」


「……どーだか」


呆れ口調で拗ねる所がまた可愛らしい。


「それと。貴女にゾッコンの私の知り合いだけど」


「ハイ?」


「兆候はあったけど……最近脱皮しやがったわ。アレは交渉が意味を持たないリアルモンスターよ。気をつける事ね」


「……了解♪」



企みは……続く。



いつか誰にも秘密の願いを果たすまで……この日々は続くのだ。



TO BE CONTINUED……


……NEXT「カードゲーム・スタンピード!!」

最終回! なんと今回最終回ですよもう! 打ち切りじゃないのかって? とんでもない、リニューアルしてリスタートですよ! もちろん本エピソードの続きから!


次シリーズ《カードゲーム・スタンピード!!》

10月19日12時頃投稿開始!! ちょっくら待ってて下さい皆さん! Ai-tubaは、永遠に不滅ですからねええええええ!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ