結束……オール・クリア・エピローグ!
チエカのカード紹介コーナー。本日紹介しますのは《赤塗りのパトライド》。
《赤塗りのパトライド》✝Red_color_police_car…
ギア1 スカーレット・ローズ/マシン
POW2000 DEF2000 RUN5
『コスト・このマシンをセンターの下に重ねる』自分のセンターを回復する。この効果は一台のマシンに一度しか使えない。
何度も何度も彼の助けになったこのカード。多数のギア1サーチから出て来ては、スカーレット・ローズの走りを底上げしてくれる強力なサポーターです。なんだか前にも紹介した気がしますが……改めて。
なんだかしんみりムードでお送りするこのコーナーですが……それについてはお察しいただければ幸いです。
では…………本編にどうぞ。
壮観な光景に負けないように、ハートが語気を強める。
「これはこれは……がん首揃えてどーも」
ハートは、信号先にコンビニを見つけたような目で彼らを見た。
『ハッ!! ずいぶん威勢のいいガキが第一号になったもんだ』
夜桜色の風景の中、一軒家程の光のゲートを背負う影。
機嫌良さげに答えたのは、電子轟かす巨大鎧だ。
影の群れは五。そこへ、マアラとチエカが歩き加わる。
七の影が揃う。
大小様々。個性的すぎるシルエットが威圧する。
「…………ッツ!」
『此度の賞与……《敗者決定! ディザスターキャノン!!》からは、わっぱが乗るそれと同じ綿雲が出る』
解説するのは、一際巨大な全身鎧だ。
中へ入れば、一度出向いた領域の中心街に出ることが可能だ』
話を聞いて、かつてチエカが領域のレアカードを『ゲームを楽しむ為の必須カード』と呼んでいた事を思い出す。
「七枚の必須アイテム……ね。なるほど『そらをとぶ』は必須だわ」
『さよう。まずは我らの天地に出向きその地を踏みしめよ。趣向を凝らした歓迎がお前を待つであろう』
「ふふっいきなりボス戦やっておどろかせちゃったらごめんね?」
「ワシはそんな事せんから安心せい。丁重にで迎えようぞ」
「んんー? 私はむしろ歓迎してもらいたい側なんだけどぉ?」
「ともあれ、男気を見せることだ。それが試練の突破の助けになる」
彼らが口々に語る。
いずれも劣らぬ威圧感。さぞ険しい試練が待ち構えていることだろう。
『……さて』
そして鎧が上を向き。
『聞けェ! 皆の者ォオオ!!』
叫ぶ。
「宣戦を、布告する」
橙色の髪の魔女が切り出す。
「我々はAi-tuba!」
白衣の少年が続く。
「七の領域を統括し!」
桃色の、短髪の姫君が
『電子を統べる長の群れッ!』
電光を滾らせる巨大鎧が締め。
「討ち勝って見せよ、我らの試練……!」
爺そのものの声のあやかしが突き付け。
「こ、これより続く試練の旅路、今日の比ではないと知れ!!」
白く幼い獅子を思わせる少年…………マアラが声高く叫ぶ。
そして。
「旅の果て、我ら総員を打ち破れたなら……その者、得難き宝をその手に掴む事であろう!!」
金色の髪を靡かせるレースクイーン少女、チエカが締める。
ハートをしっかりと見据える。
「楽しみにしてますよ? アナタ方が私の試練までたどり着くのを」
「おう! 」
そうして、彼らもろともジッパーはしまっていく。
そこから、輝ける風が吹き出す。
「……………!?」
『餞別兼、名刺代わりだ。受取っておけ!!』
それは。
《勝利の導き手チエカ》
《魔弾の撃ち手マアラ》
《極上の乗り手ユリカ》
《試練の与え手ホムラ》
《豪鬼の狩り手ルイズ》
《死骨の愛で手シイカ》
《科学の伝え手アルジ》
それはレジェンドレアの風だった。
これから挑むべき強敵達が描かれた風だった。
体が震えた。
ジッパーが締まり風が収まり切ったとき、彼らは影も残さず消えた。
まるで、全てが夢だったように。
だが。
辺り一面のレアの輝きが嘘ではないぞと言っていた。
「なあ……ファイア。パール」
振り返り、頼もしい同士達を見やる。
ワクワクが止まらない。
この興奮を伝え合いたい。
可能な限り深く。
深く!!
ブラウザの電源を落とす。
現実に復帰。
階段を降り一階へ。
センリは駆け出していた。
彼女らのもとに向かいたかった。
だがそこに。
「どこへ行く気だ?」
「あ、アニキ……」
夕焼け色の腰の下まで届く髪を、首の後ろで結んだ青年が居た。
彼の名は先駆借夏。先駆千里の兄である。
スタンピードを千里に勧めたのは彼なのだが……
「と、友達と一緒に……えーとえーとえーとえーと……」
「《スタンピード》関連か?」
「そうそれ! ……ハッ!?」
しまった……と思ったが、彼は中性的な笑みを崩さない。
「良いよ。行っておいで。大切な仲間なんだろう?」
「……………!」
無言で頭を下げ。
千里はかけていくのだ。
彼らの話は少し時間がかかるだろう。今のうちに、風呂にでも浸かっておくのが賢明か。
そう思い、先駆借夏は髪を解く。
腰下まで届く髪が広がる。
中性的な前面は。
特徴的な後ろ姿は。
……何故か、途方も無く見覚えがあるのはどうしてだろう?
丁場家はそう遠くない。
「シハ!! アルハァ!!」
勢いよく訪問する。
「……来たにござるか」
「……!!」
出てきたのはアルハと……見知らぬ、男とも女ともつかぬ人物。
だがすぐにわかった。
「シハ…………なんすね?」
「ああ……お前がセンリなんだな……!!」
そして思いの丈を綴る。
「なあシハさんよ! あの時から! の真っ直ぐな叫びを聞いてから思ってたんだ! そんで今日迷いは吹っ切れた!
だってそうだろ? ここにあるこんな真っ直ぐな思いはよぉ!」
「ああ! この思い、矯正するなんてとんでもない! アルハ!」
「ウム! 二人の思いは聞き遂げた!!」
そして。
気づけば。
彼らは互いの全てを認めていた。
自然と、三人は手を重ねて居た。
「言っておくが」
詩葉は言う。
「このゲームの裏を『疑う』ってことに変わりは無いぞ。このゲームの未来を守ることは、お前にとって重要な事だからだ」
「ウム。わかっておる」
「詩葉さんよ。どーやらこいつは全部全てまるっとお見透しみたいっすよ?」
「…………フン」
詩葉はため息一つ、役割を配る。
「或葉。お前はこのゲームを『信じろ』。配信等のコミュニティーに今までどおり参加するだけでいい。その感想が俺たちの力になる」
「ウム、心得た」
「お前は……言うまでも無いな。オレは勝者にはなれないし、コイツにトドメはちょっと辛いだろう。
なにより風はお前に吹いている! 千里!お前がこのゲームを『攻略する』んだ!」
「オッス!!」
もはや多くの言葉は要らない。
誓いが始まる。
「ーーーーー我ら、思惑は異なれど目指す終着点は同じ!!」
「挑戦は既に受け取った!」
「そして言葉を突き付けた!」
「そこな妹を救う為!」
「電子の姫の期待に沿うため!」
「理想郷の安寧を保証するため!」
「誓え。共にあの世界を『攻略』すると!」
手を上げる。
「チーム《シルヴァーズ》、行くぞォ!!」
「「オウッツ!!」」
深夜。一つの叫びがこだまする。
ここに、新たなる旅路が始まった。
これより先の物語をなんと呼ぶべきだろう。
『御旗チエカの企み』?
違う。主役は攻略するシルヴァの群れ。最後の強敵である彼女が必要以上に目立つべきではない。
『カード屋が無ければネットで戦えば良いんですよ♪』?
惜しい。その目的は既に果たされている。ここまでの物語になら相応しいかもしれないが……これより先をしら示すには不適格だ。
であれば。
これより先の物語には新たなる、そして新しい名が必要だ。
ならば今の名を掲げる物語はここでおしまい。
一人の少年がゲームと姉妹に邂逅し、それぞれの目的の為攻略を誓い合う……そんな物語は一度終わる。
「ーーーー物語は第一幕を超え、既に第二幕に踏み込んでいる」
だからワタシは、暗闇から提供する。
ほかでもない……この物語を眺める貴方達へ。
「思惑の整理は完了。これよりご覧いただくは、個性豊かなAi-tuba達との楽しい楽しい戦いの記録」
背面に背負うは白磁の扉。
ワタシが守るべき開かずの城門。
「どこかの誰か。ろくでもないカミサマが紡ぐ物語はぼちぼち加速していきます。
……が。それを表現するにはもはやこの表題では不適格。新たなる場所で、新たなる名を以て再び始めるのが的確でしょう」
暗闇の中、ワタシ達だけが浮かび上がっていた。
「ですので、ここで、一旦はお別れです。ちょっぴり寂しいですが……でも大丈夫! またそう遠くないうちに会えますから」
歩き、あるき、アルク。
未来への道を踏みしめるように。
「だから……その時までお元気で。さよならとは言いません。また会いましょう!」
笑顔で手をふり、帰りかけ……止まる。
「ところで」
振り返る。
「……貴方がたの中にも、近所のカードショップが潰れて悲しい目にあってる人が居ませんか? 居ますよね?」
少子に不景気。現在の逆風の中で維持が叶う店は少ないだろう。
「でも大丈夫。案外なんとかなるモノですよ? だって彼ら劇中の方々をご覧なさいな。あんなに熱中できるなら。デジタルのカードゲームも捨てたものじゃないと思いませんか?」
嘘は無い。
「だからワタシは、初志を貫徹して言うのです!」
そして。
総括するようにワタシは言うのだ。
「カード屋が無ければネットで戦えば良いんですよ♪」
だが。
人の世とは、思いのほか狭いもので。
「ハロー。マイバディ」
「ハロー。鳥文良襖。いいえ………」
画面のナカのワタシは言い直す。
「Yagami123。マイ・ゲームマスター」
ワタシは、その少女をいつものように読んだ。
ーーーー交友関係など、狭きもの。
周りは誰も気付かない。企みの大概は静かに遂行されるのだ。
「グランドクエストの発表は概ね成功。さて…………次の手は?」
「そうね…………次のパックの発表を進めるわ。テストデータも十分集まったし…………ここらでドカンとユーザーを増やすのよ」
「仰せのままに♪」
ーーーー嗚呼、なんと素晴らしい日々か。
何かを発表し、反応が返ってくる。そのサイクルのなんと美しいことだろう。
「……わかってると思うけど」
少女君主は確認するように告げる。
「私が貴女を世界にプロデュースして、貴女が私の世界を牽引する。それで私達はギブアンドテイクなのよ。くれぐれも変な気は起こさないようにね」
「ハーイハイ、わかってますって♪」
「……どーだか」
呆れ口調で拗ねる所がまた可愛らしい。
「それと。貴女にゾッコンの私の知り合いだけど」
「ハイ?」
「兆候はあったけど……最近脱皮しやがったわ。アレは交渉が意味を持たないリアルモンスターよ。気をつける事ね」
「……了解♪」
企みは……続く。
いつか誰にも秘密の願いを果たすまで……この日々は続くのだ。
TO BE CONTINUED……
……NEXT「カードゲーム・スタンピード!!」
最終回! なんと今回最終回ですよもう! 打ち切りじゃないのかって? とんでもない、リニューアルしてリスタートですよ! もちろん本エピソードの続きから!
次シリーズ《カードゲーム・スタンピード!!》
10月19日12時頃投稿開始!! ちょっくら待ってて下さい皆さん! Ai-tubaは、永遠に不滅ですからねええええええ!!




