おまけ
退院して、その後にも色々あった末に森谷さんから招待状が届いて、僕と小桜さんは結婚式に出席した。生まれて初めての結婚式は全てが驚きの連続で、純白のドレスに身を包んだ森谷さんは本当に綺麗で幸せそうだった。
「森谷さん、別人みたいに綺麗だったね」
コクコク(首を縦に振る)
「って結婚して苗字が変わったから、もう森谷さんじゃないのか」
名前が、呼び方が変わるってどういうことなのだろう。
結婚では大抵女性の呼び方が変わる訳で、呼び方が変わると一体何が変化するのだろう。
「小桜さん、さっきの…」
ぷいっ(そっぽを向く)
「って、ごめんなさい。……美夜」
僕は小桜さんに、最近やっと告白をした。
その時の小桜さんはいつも通り何も言わずに、僕の手を握ってくれたのだ。
お互いの指と指を絡め合う、恋人繋ぎで。
小桜さ…、美夜は恋人になると名前呼びにやたらこだわっていて、こちらとしては小桜さんをもう小桜さんと呼べないのは寂しいけど、諦めるしかないか。
この縁がどこまで続くかは分からないけど、ずっと続いてほしいし、続けていく為の努力は惜しまないつもりだ。無口で、頑固で、ホラー好きで、だけど優しくて、義理堅い美夜が、どうしようもなく愛おしいから。
「美夜、これからもずっと一緒にいようね」
そんな照れくさい台詞を、小桜さんから貰った手作りマフラーを一緒に巻き付けながら答えると、小桜さんはいつも通りの反応で、こう答えてくれたのだ。
コクコク(首を縦に振る)
2人が無事に恋人同士になれて、小桜さんを小桜さんと呼べなくなる。それがこの物語の結末として相応と思ったので、こんなおまけを追加しました。




