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64話 推理パート

「森谷さん、僕が入院する前に小桜さんと会ってますよね?」

「ん~、なんのことかな~」


 この病院ではこの部屋の消灯準備が最後の仕事になっている。理由は消灯準備が一秒でも遅れたら文句を垂れ流すせっかちな入院患者とのトラブルを避ける為で、作業効率とトラブル回避が考慮された結果、融通の利くココが後回しとなり、そして仕事が一段落したこのタイミングで森谷さんと雑談をするのが日課になっているからだ。

 そしていつも通りのタイミングで部屋にきた森谷さんに質問をしているところである。


 森谷さんと小桜さんは仲良しだ。

 だけど思い返してみると、仲が良すぎるのだ。


 小桜さんの警戒心は相当で、僕も最初はギクシャクして距離があったけど、美羽ちゃんの件と本好きな趣味の一致で奇跡的に仲良くなれたのに、森谷さんはすんなりと気の置ける関係になっていて、いくらコミュニケーション能力が高い森谷さんでも、これはおかしい。

 だけど過去に面識があったとすれば話は別だ。


「前に森谷さんに懺悔しましたよね? 僕はあの日、小桜さんが中学生の時に入院していたことを知りましたが、病名や入院場所までは分かりませんでしたが、どの病院に入院していたかは、ちょっと考えれば誰にだって分かります。自宅から近い病院に入院するのは、自然な流れですから」


 小桜家がこの病院の近くなのは確認済みで、美羽ちゃんも近所だからこそ一人で出歩いて、事故に巻き込まれてしまったのだ。


「他に根拠はあるの?」


 否定せずにそう聞いてくるのが何よりの証拠だが、そんな無粋な追及はぜずに続ける。


「僕が懺悔した時に森谷さんは“二年もたてば”と答えましたが、どうしてそんな具体的な数を知っていたんですか? それに病院食の話題をした時にも小桜さんに“久々に食べてみる?”と言っていましたよね?

 そして極め付けはついさっき、美羽ちゃんの迎えを呼ぶために小桜家に連絡できたことです。入院患者ならまだしも、お見舞いの連絡先を知っているのは変ですよね?」


 そう言い切ると、森谷さんが拍手をしながら答える。


「見事な推理ね~。本好きな羽生くんにはこう褒めた方がいいのかしら? 『大した推理だ。君は小説家にでもなった方がいいんじゃないか?』って」

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― 新着の感想 ―
[一言] 病院の中で完結する話だったのですね。 動けない主人公はある意味車椅子探偵みたいなものなのかな。
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