48話 ピエロ
「あー、そういうことかー。ごめんねおにーちゃん」
「美羽ちゃんは何も悪くない」
「でも美羽がお願いしたことだし」
そう答えてくれたけど、こっちはもう不甲斐なさ過ぎて消えてしまいたい。
美羽ちゃんを思っての隠しこごだったのに、そのせいで小桜さんとギスギスして、挙句の果てに小学生に気を遣ってもらう有様だ。
そんな残念なおにーちゃんに幻滅されたと思ったら、
「ありがとう、おにーちゃん」
「え、なんで?」
「だって美羽の為におねーちゃんと喧嘩してくれたんだよね?」
「そうだけど、結果はこの通り残念だよ」
「んー、確かに残念おにーちゃんだけど、残念だからこそ嬉しい」
意味が分からない。
あと、どんだけ残念なんだよ僕は。
「てゆーか、ほんとに秘密にしてたんだね。美羽はもう全部バレてると思ってたから」
「そうなの!?」
「うん。だって裏でコソコソやるのが大人だよね? なのにおかーさん達から何も聞かれないなー、おかしいなーって」
なんということでしょう。
つまり小桜さんとギスギスして、森谷さんに謎の身の上話を聞かされて、そして徹夜で悩み抜いた今までが全てムダで、もう独り相撲で千秋楽まで駆け抜けてしまったレベルの醜態でしかなかったのか?
そんなピエロにさえも爆笑されてしまいそうな道化っぷりに、もう顔が火炎放射器で焼き払われたレベルで恥ずかしいのに、美羽ちゃんはにへへ~とニヤつきながら、まるで懐いた猫のように顔を擦りつけてくるオーバーキルに、もう心がへし折れてからハンマーで粉々にされた気分だ。
「もう一度言うね。ありがとう、おにーちゃん」
「……どういたしませんでした」
「お礼に美羽のできることなら何でもするよ?」
「……じゃあ、小桜さんとの仲直りに協力して下さい」
そう呟いてから程なくして小桜さんが到着。
隠しごとを全て打ち明けて、心配をかけてごめんなさいと2人で謝罪となったのである。




