39話 お見舞いルール
「おにーちゃん、私の友達が来たいって言ってるんだけど、連れてきていい?」
「別にいいけど、なんで?」
「おにーちゃんのこと話したら、一緒にお見舞したいって」
成程、病院の個室はまず入れないし、生の患者を見てみたいという好奇心からの要望だろう。実に子供らしい意見だ。見たければ好きなだけどうぞと思ったが、そもそもお見舞いって誰でもOKなのだろうか? 親族以外は無理って話もあるし、お見舞いにもルールがあるのかもしれない。
「それで私が呼ばれたの?」
「はい。こういうことはプロに聞くのが一番かなーって」
森谷さんが暇そうなら連れてきてと小桜さんにお願いして、来てくれたので事情説明をしたら呆れ声でぼやかれる。そんな森谷さんに小桜さんが持ってきてくれたお見舞い品のパイナップルを渡すと「仕方ないな~」と言いながら答え始める。
「お見舞いは親族・友達なら基本的にOKだけど、患者さん要望で設定も可能よ~。誰でもOKにもできれば、元彼は絶対に入れるなって設定も可能よ~」
「あの、その元彼出禁な彼女さんは一体何があったんですか?」
「禁則事項よ~。だけどお見舞いトラブルって珍しくないのよね~。受付で口論になったり、無関係な私たち看護師に八つ当たりしてくる人までいるから」
おおう、また森谷さんの毒吐きが始まってしまった。
看護師という職業の闇の深さの底が見えない。
「だから羽生くんがOKなら構わないけど、ちゃ~んと日時を指定してね~。せっかく来たのに検査時間と重なって何時間も待ちぼうけって残念なお見舞いになる場合があるからね~」
成程と頷き、これで説明終了と思ったが、森谷さんの解説は終わらない。
「あとこの病院は小さいからいいけど、初めてお見舞いに来る人には患者さんの名前だけでなく病室番号も伝えてね。最近は病室番号だけで名前が表記されないから自力で探すのは不可能なのに、勝手に迷って勝手に怒りだす人がいるから。あと……」
「森谷さん、こっちには桃缶もありますけど、これも食べます?」
「……ありがとう。前の病院で色々あったから」
そう力なく答えてから、森谷さんに桃を食べてさせて労ってからナースセンターに帰還。
こうして美羽ちゃん友達お見舞いのは、万全体制でお出迎えとなったである。
一般的なお見舞いルールは、午後2時~3時頃がベスト。面会時間は20分程度が妥当。相手が寝ていたら起こさず帰る。相手の症状が悪い時は帰る。食事時間や入浴時間に行くのは避ける。リハビリや診察時間に行くことを避ける。だそうです。




