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36話 姉妹

 この発言に、今度は僕と森谷さんが硬直。

 そうして小桜さんを見ると、ポツリと呟いたのだ。


「…………美羽みう?」

「やっぱりおねーちゃんだ! すごい! おねーちゃんなのにおねーちゃんじゃない!」

「…………どうして?」

「私もお見舞いに来たかったから! あとおにーちゃんが臭かったから拭いてあげてたの」

「えっ? 羽生くん臭いの?」


 この発言に森谷さんが反応。

 看護師として患者の異臭は見過ごせず、すぐに匂いチェックを始める。


「別に臭いとは思わないけど……、まさか薬品臭に慣れて鼻が変になってる? 職業病が多いのは自覚してたけど、まさか鼻までおかしくなるなんて」


 そう嘆きながらショックで立ちすくむ森谷さん。

 なんてゆーか、かける言葉が見つからない。


「あの、小桜さんも臭いって感じてました?」


 この問いに小桜さんは首を横に振ると、美羽ちゃんが不思議そうに言葉を返す。


「えー、でもおにーちゃんから湿布みたいな匂いするよ?」

「え? ってそういえば今日、足のギプス交換したっけ」


 病院では衛生管理は何よりも大切で、新しく交換されたギプスにも当然消毒がされているから多少の消毒臭が残るのは仕方がなく、それを子供が異臭と勘違いしても不思議ではないだろう。


「ええっと、おにーちゃんは怪我を治している最中で、バイ菌が入らない様に消毒しているんだ。だから湿布臭いかもしれないけど、我慢してくれないかな?」

「へぇー、そうなんだ」


 素直に納得して頷く美羽ちゃん。

 そして今は僕よりもイメチェンした姉の方が気になるらしく、小桜さんの前に駆け寄ってからクルクルと色んな角度で凄い凄いと連呼しながら回転し続けている。

 そしてその間に、森谷さんが小声で尋ねてくる。


「大体の事情は分かったけど、どうして気づかなかったの? あの子は美夜ちゃんの妹で、羽生くんが助けた子じゃないの?」

「それが自分でも小桜さんの妹って気付けなかったことに驚いているというか、初対面にしか思えない感覚です」


 はね飛ばされたとはいえ、あの時に少女の顔をしっかりと見たはずなのにどうしてなのだろう? そんな僕の反応に森谷さんが小さく頷いてから、後ろでキャッキャッ騒いでいる小桜姉妹の方に向かう。


「初めまして。私はココで看護師をしている森谷です。あなたは小桜さんの妹かな?」

「はい! 小桜美羽、10歳です!」


 森谷さんの自己紹介に美羽ちゃんがハキハキと回答。

 物静かな小桜さんとは正反対の天真爛漫な女の子って印象で、全然似てない姉妹だなと思った瞬間、とある情報を思い出す。


「ふ~ん、美羽ちゃんか~。美夜ちゃんと違って元気ね~。似てない姉妹って言われたりするのかな?」


 と、森谷さんがいつも通りの冗談を言い、美羽ちゃんが回答に詰まる。

 この反応で保志先生の教えてくれたとおり小桜さんと美羽ちゃんは血縁関係のない義姉妹で間違いないと確信した後、この話題はNGっぽいので強引に割り込む。


「それはそうと美羽ちゃん、今日は僕のお見舞いに来てくれたの?」

「はい! おにーさんは美羽を助けてくれたので!」


 そう言ってくれると、体を張って守った価値があったというものだ。

 一時期は嫌われているのではと誤解したけど、そういえば小桜さんがこんなこと言ってたっけ。


「そういえば、準備が終わったからお見舞いに来てくれたの?」


 この何気ない質問に、美羽ちゃんはこう答えたのだ。


「え? 準備ってなに?」

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