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27話 病院の福袋

1話完結エピソードはこれで一旦終了

次から本編に戻りますので

「その大きな紙袋は一体?」


 小桜さんが到着と同時に大きな紙袋を渡されて、確認するとクラスからのお見舞い品らしいけど、なんで今さら? もう入院から一ヵ月以上たってますけど?

 だけど折角のご好意を粗末にできないので、とにかく中身を見てみよう。


「まずは千羽……、いや、このサイズは百羽鶴か」


 病人に利くって俗説があるけど、鶴の首部分は折ってはいけないというルールは意外と知られていない。首を折る=不吉って理由だけど、そんな細かい所にケチを付ける人はまず居ないだろう。

 てゆーか、これの作成でお見舞い品の贈呈が遅れたのでは?

 数も千じゃなくて百だし、もしそうだとしたら本末転倒もいいところだ。


「次はクロスワード、数独のパズルセットか」


 入院生活で暇潰しになるアイテムは貴重なのでありがたい。

 うんこ漢字ドリルまであるよ。


「次はツナ缶。……なんで?」


 なせここでツナ缶?

 お見舞いで贈る缶といえば桃じゃないの?


「次はワンダースワン。うっわ懐かしい!」


 ひま潰しに携帯ゲームって発想は分かるけど、チョイスが古過ぎる。

 てゆーかなぜ今時の高校生が持ってるの? 雑誌か何かで存在は知っていたけど、実際に見るのは初めてだよ。


 それからも缶ジュース、ラノベ、ジャンプ、じゃがりこ、アンパン等があり、何かもう手元にあったものを手当たり次第にこのお見舞い袋に詰め込みましたって感じになっている。

 そんなネタっぽいお見舞い品だけど、それでも嬉しく思えるから不思議だ。


 そうして小桜さんに頼んで百羽鶴を窓際に飾ってもらい、その他諸々も整理して紙袋が空になったと思ったら、まだ一つ残っていたのだ。


「毛糸玉と編み棒だ」


 確かにベッド上でやれるけど、編み物なんてやったことがない。

 流石にこれはどうすればいいか分からず、捨てるのも忍びないので、


「小桜さん、よければどうぞ」


 体のいい在庫処分だけど、こういう物は使ってくれそうな人にプレゼントするに限る。

 そうして小桜さんに差し出すと、編み物セットをマジマジと見つめながら慎重な手つきで受け取ると、そのままピクリとも動かなくなる。


「小桜さん?」


 僕の声にも無反応で、もしかして間違えた?

 女の子なら料理・裁縫・そして編み物ができて当然ってイメージだけど、それを押し付けがましく強要は気分を害するだろうし、もしかしたら小桜さんは編み物が苦手なのかもしれない。


「すみません。やっぱり僕が引き取りますので」

「…………あっ」


 え? あれ?

 手を伸ばして編み物セットを取り戻したら、小桜さんがとっても名残惜しそうで、しかも目線が僕の手元にある編み物セットをロックオンしたままで、もしかしてさらに間違えた?


「ええっと、やっぱり受け取って下さい」


 そうして強引に返却。

 もう完全にグダグダだ。


「…………ありがとう」


 小桜さんが小さくお礼を言ってくれたけど、気を使わせてしまったという申し訳ない気持ちで一杯だ。


 女の子へのプレゼントは難しい。

 それを痛感しながら今日の勉強会が始まったのである。

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