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ピンチな時は (高校生編)

15禁内容表現あり。苦手な方は飛ばしてください。

皐月家に香の遺品を受け取ってから、1週間。

部活は、2,3年が試合に出るが、人数が多いので、1年は試合がある日で

人数制限がある場合、外される。


土日と空きが出来て、蒼真は何をしようか考えていた。

友人と映画へ行くとか、1人でどこかへ遊びに行くとか。

そこへ妹のくるみがお願いしてきた。


「くるみが、お願い?これで何回目かなあ」

「いいじゃない」

彼女は、蒼真の部屋まで押しかけ、土曜日にF高で行われる地区大会の1つを見学するから

一緒に着いてきて欲しいと言っているのだ。


「それに、それって、高校の大会だろう?お前には関係ないじゃないか」

妹に付き合うと、いろいろ強請られたりするので、蒼真としては

少し反省させたいのだ。

「だって、里羅ちゃんにお願いされたんだもん」

(出た。もん。可愛い子が男性におねだりする時に使う言葉の武器)


「どういう話になってるんだ?」

「うん。里羅ちゃんは、お兄ちゃんの事が好きなんだって」

「あ、そう」

(顔だよね、それ)

「それで、試合を見学するというデートがしたいって」

F高の瑠璃の試合の応援も兼ねているので、試合は見たい。

蒼真にも会いたい。

くるみとは、友達なので普通に会いたい。

今時の中学生は、なんなんだ。

「くるみもいるのに、デート?」

「だから。妹付のデート」

「・・・・。お前の頭の中は、どうなっているのか見てみたいなあ」

こめかみ辺りをぐりぐりさせると、ベシベシと胸を叩かれる。

「痛い、痛い。お兄ちゃんの意地悪」


結局。ごり押しされて、F高でのテニスの大会を見学する約束していないのに、された。

「絶対に、約束だからね。あ、お弁当もお願いしま~す」

「なんて妹だ」

お弁当3人分。そして、妹とその友達のお守で土曜日が終わることに決定したらしい。

なんだかなあ。

それでも、血の繋がった妹が可愛いので、兄である蒼真は、許してしまうのだった。




そして、当日。

試合会場のF高に行き、里羅ちゃんと合流して、観客席で見学。

「もごもご(していたはずなのに、この状況は一体)」


3人で見学しているうちにトイレに行きたくなった。

くるみと里羅ちゃんにその旨を伝えて、トイレに行った。

その帰りに何があったのか記憶がない。

そして気が付くと。


自分の口にSMで使う猿轡がされて、声が出ない。

(うそだろ)

薄暗い中、目を凝らすと、どうも体育館倉庫か部室?何故そんなところに。

しかも、頭を殴られたようで、後頭部あたりが痛い。

鼻の辺りにプラモデル作りに使うあの匂いがまとわりついていて

(たぶん、殴ってから気持ち悪くなるように嗅がされたようだ)

気分が悪い。


体を動かそうとして、手が後ろで縛らていることに気付いた。

(ええ~、動かせない?)

足も足首に紐が縛られている。

(誘拐?もしかして誘拐?)


そこに外から女性の声がする。しかも複数。

「ねえ、人数いる?」

「6人いるよ」

「いい、皆共犯だからね。裏切らないでよ」

「分かってる」


そんな会話が終わる。

ガラリ。引き戸が開き、縛られている蒼真の前に、夏の制服を着た(それぞれ違う)

女生徒が6人入ってきた。薄暗いが、蒼真視点では6人とも美人系と可愛い容姿だと思う。

「誰も見てない?」

引き戸を閉める1人に、もう1人がきょろきょろ周囲を確認している。

「いない」

ガタン。

完全に閉まり、カチャンと内側からの鍵が掛かる。

(内側に鍵なんて付けるなよと言いたい)


そして、6人の女生徒の目が、蒼真に向けられた。

「格好良い~」

「本当、イケメン」

「こんなに近いところで見ることが出来るなんて」

2人がマットを敷き、蒼真はその上に転がされた。


「F高って、イケメン多いよね」

「そうそう。桂木君て、1年で10位のイケメンだって」

「それ、A高が出している学生新聞でしょ。見た見た。F高はイケメン特集だったよね」

(なんだそれ、知らないぞ)


話をまとめると、A高校の新聞部が、自校だけでなく近辺の他校の情報も新聞ネタに

しているらしい。

近辺は、5校。学校の生徒情報が多い新聞で

それぞれ学年ごとに10位の男女のランキングとか、個人情報に触れるか触れない程度の内容が

載っている学生新聞があるそうだ。1部200円。

それを販売している場所が、A高の正門前。

そこへ他校の生徒までもが、買いに行くとか。

毎月15日前後に販売されるという300部しか出さない新聞。

(知らなかった。蒼真の関する情報があちこちに出回っているのか)


蒼真が興味深々で内容を聞いていたので、その新聞を鞄から取り出してくれて

広げて自分の順位と写真を見せてくれた。

「もう、桂木君素敵なんだもん。この写真、凄く写りがいいよ」

S高の練習試合の時の試合をしているところ、汗を拭いた後のアップだ。

カメラマン、腕がいい。蒼真から見てもイケメンに見えた。

プロフィールは、学年とクラス。名前に誕生日、好きな物、趣味等。

住所まではないので、ホッとした。

趣味、料理とバレている。誰が調べたんだ。探偵並じゃないか?


6人がそれぞれ感想を述べながら、蒼真の近くにより、体を触れる。

蒼真は、怯んだ。

女子生徒が、それぞれ触る場所が問題なのだ。


今日は薄い緑のカッターシャツ。そのボタンを1つづつ外される。

止めろと首を振って抵抗するが、6人で共同作業で、体もマットの上に寝かされていて

身動きが出来ない。

この時ばかりは、シャツを着て来なかったことを後悔。

前は全開に広げられ、女子生徒達の手が這い回る。物凄い恐怖だ。

ジーンズも脱がされ、これは逆レイプじゃないかと半泣きだ。

もごもごしか言えないので、彼女達の耳には入らない。


「もごもごもご」

「何言っているかわからないよ~」

腕を頬ずりしていた女子生徒が、蒼真の顔を見てから

「う~ん。涎が凄いわね。これじゃあ、可哀想」

他の女子生徒達は、それぞれ自分のしていることに夢中だったので、彼女は単独で

頭の後ろで縛られている紐を外した。

口の圧迫が取れ、蒼真は「はあ」と息を何度か浅い呼吸をして口の麻痺を取ろうとした。

(胃カメラ飲んでいる感覚だな。口がうまく動かせない)

「桂木君、涎が出てる」

外してくれた彼女は、自分のハンカチで、蒼真の口元を拭き始めた。

綺麗に拭ってくれて、不快感がなくなる。

有難いので、お礼をと思ったが、その彼女がハンカチを見てうっとりしているのに

言葉も出なかった。

「うわあ、大事にしよう」

(へ、変態だ。美人なのに、ここに変態がいる)


それでもこの危機をなんとかしないと、ヤられる。2人は、ボクサーパンツに手をかけようと

している。

「あ、あのさ」

「え?私。私を呼んでいる?嬉しい。マリです」

「・・・・。マリさん、手首の紐もお願い出来ないかな」


「でも・・」

「マリさんにしか出来ないから」

こんな時に使うのもおかしいが、イケメンスマイルに賭けてみた。

「もう1回」

「え?」

「マリしか出来ないって」

(この女子、おかしい。変態だ)

「・・・。マリさんしか出来ないことだから。マリさんにお願いしたい」

「え、でも」

(こいつ。手強い)

どうしようかと次の対策を考えていると、男としては最低な事を思いついた。

(本当は使いたくないけど。ごめんなさい。心の中で謝らせてね)


「マリ。頼む」


きょとんとした顔をさせて、その美人な女子生徒は固まった。

「え、・・え」

顔が真っ赤だ。ようし、もうひと押し。顔が近くにあるので、耳の近いところを

低く甘い声で。

「マリ」


「はい」

幻のハートが飛び交っている彼女が見える。

彼女は、嬉しそうに手首の紐をはさみを取り出して切ってくれた。

チャキ。


パラリと紐が落ちる。

その音に他の5人がようやく気付いた。

蒼真が手首を摩る時には、下半身全部何もなしの状況で、ズボンやパンツを持っている

女子生徒達と目が合った。

「え・」(5人の声)


6人とも夢中になり過ぎて、マリの行動を止めるものがいなかったという話。

「悪いけど。その持っている物、返してくれるかな。君達のこと、物凄く嫌いになるよ」

好きな男から嫌われるということは、彼女達には怖いのだろう。

泣き出す者が3人。後の2人は、服を恐々返してくれて、蒼真は無言で着ていく。

蒼真の紐を取ってくれたマリという女子生徒は、ひとり花が咲いていた。

余程、自分の名前を囁かれたことが嬉しいのだろう。


「ちょっと、聞くが。俺に何をするつもりだった」

ぼそぼそと小さい声でその内容を聞くと、本番をするのじゃなくて、蒼真自身の体に触れたいという

欲求を満たすだけとのことで、ホッとする。

(いや、そうじゃない。触れるって考えることがおかしい。美人な癖に変態か?)


新聞を見せて欲しいと言うと、先ほどの学生新聞を渡してくれた。

「確かに、近辺5校の綺麗どころもあるな」

「私は、7位です」

と、6人が自分達もそれぞれの高校で10位以内に入っていると話してくれる。

確かに、全員美人と可愛い。

こんな彼女がいたらと思うようなスタイルもいい。

「・・・。その君達が、何故こんなことを。拉致監禁にならないか?」

「ごめんなさい」

「だって、桂木君に触れたかった~」

またもや泣き出す。

「それぞれ学校が違うのに、どうして知り合ったんだ?」

「それは、この新聞の4月から桂木君のファンで」

「F高の観客席で、共通の人を応援していると分かって」

「6人でファンクラブを作りました」


「・・・。携帯持ってるか?」

全員が頷くので、2人以上でなら写メOKと伝え、3人づつ、7人全員で撮影会をすることになった。

とりあえず、バカな事をさせないようにと考えてだ。

「もう、気が済んだか?」


「本当にごめんなさい。でも、皆桂木君が好きなんです」

(他にもイケメンランキングの男がいるじゃないか。何故俺なんだ?)

6人対1人で対峙するが、蒼真の方が先に牽制する。

「ファンクラブとか、勝手にしてくれていいが。俺が誰を好きになろうと嫌がらせをするなら

警察に行ってもらうからな。2度とこんなことするなよ」

6人が土下座をしたので、蒼真は仕方がないと許すことにした。

男子生徒なら、拳骨のお返しはしただろう。


倉庫から出ると、テニスコートの反対側に来ていることが分かった。

慌てて6人を置いて走っていった。

観客席に戻ると、くるみと里羅が待っていた。

「遅いよ~」

「もう休憩で、お昼だよ」

「え・・、そうなんだ。ごめん、ごめん」


持ってきたクーラーボックスを開けて、作ってきたお弁当を広げると

くるみも里羅も歓声をあげて喜んだ。

「美味しそう。流石、お兄ちゃん」

「蒼真君の手作り~、嬉しい。食べてもいい」

「どうぞ」

3人で、ランチを食べ始めたところで、携帯が数回鳴った。

「誰だろう?」


不思議に思って、携帯を取り出すと未読メール6通。

全部6人の女子生徒達の写真とプロフィール付。

(やられた。いつのまにアドレスを)


それを見てしまったくるみと里羅は、茫然。

「お兄ちゃん、ナンパしたの?美人ばっかり~」

「蒼真君、凄い。私も負けないから」


「いや、ナンパしてない。負けないって・・・何を」

(もう、いいよ。お腹いっぱい)

まだ危機は続くのかと蒼真がガッカリしたことは、いうまでもない。






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