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異世界満喫冒険譚  作者: GDKK
最終章・蘇った帝国と新たなる王
332/359

322、野菜の価値観

皆さんこんばんは。

いつもご高覧くださりありがとうございます。

前回、またたび発言をしたケイに一同が疑問を浮かべたあとからの話です。

「ケイさん、またたびってなんでしょうか?」


疑問を浮かべたギエルが口を開いた。


またたびは日本語でシルバーバインのことを示す意味で、地球のものはマタタビ科マタタビ属の葉つる性植物と言われている。また意外かもしれないが、果物のキウイの仲間でもある。

日本では山地に自生し、大体6~7月の初夏あたりに白く小さな花が咲き、果実はドングリの形をした黄色の実をつける。少し補足をすると、猫が好む以外に生薬・酒・化粧品など私たちの生活に取り入れられていたりもする。


「またたびは、シルバーバインのことで俺が育った国の言葉を示している。ちなみに俺は、またたびを猫が食うモンだと思っていたが・・・」

「ケイさん、わたしは猫ではありません!」

「まぁまぁ~話は最後まで聞けって。ちなみに一個聞くが、今までシルバーバインを食って、酔った感覚とか異常に食欲が増えた、とかあったか?」

「えっ?えぇ・・・たしかに暑い時期とかは食欲がなくなり、それを補うために自分の家では口にしていましたが・・・」


ケイの問いになんで知っているのかと驚きの表情を浮かべるギエルに、またたびを食べた猫も似たような症状やマードゥックが指摘した行動をすることがあるというと、再度猫ではないと訂正を入れられる。


「あの、だからわたしは猫では・・・」

「この際だから言うけど、猫も虎も先祖は元々一緒だぞ?あと似てるところはジャンプ力があることと、瞬発力はあるけど持久力がないし、一日の大半は寝て過ごすところはかなり似てるぞ?」


ケイの言葉に自分は猫だったのか・・・と洗脳されるかのように頭を悩ませるギエルだったが、冷静に考えると、ダジュールの生物起源は動物と獣族の生態系からするに大分違う可能性もある。

たしかに猫も虎も猫じゃらしが好き・狭いところ好き・またたびも好きという共通はあるが、だからといって獣族もそうかと考えるとちょっと違う気もする


「あの~ケイさんの国では、シルバーバインを“またたび”と呼んでいるのですね?でしたら危険性についても認知されている、ということでしょうか?」


パーシアの問いに、そうだなと腕を組み考えてからケイがある話をする。


「俺の国では虎は飼えねぇから猫の方での話なら聞いたことがあるけど、やっぱり与えると酔ったりする様子はあったみたいだ。猫を飼ってた知り合いの話だと、ストレスを軽減したりするために与えてたこともあったけど、過剰に摂取すると中枢神経がヤラれて呼吸困難とか最悪死ぬ可能性もあるって言ってたな」


ちなみに、猫全般にまたたびが効くかというと実はそうでもない。


個体差にもよるが、子猫や発情期を迎えていない猫にはあまり効かないという話もあるようだが、どちらにしろあまり多くは与えない方が良いというのは間違いないだろう。


「動物の猫と種族である獣族の方を比べるのはなんとも言えませんが、その辺りも実は関わっている可能性があるということでしょうか?」

「生物学的にということなら共通点はあるかもしれないな。もちろん、俺は専門家じゃないから分からねぇことが多いけど、さっき言ったパーシアの話はあながち間違いじゃないと思う」

「シルバーバインを摂取した人が死んだ話のことですか?」

「そいつがそうかはわからないが、そもそもまたたびが効くのは猫系動物だけだ。そうなると死亡した奴も実は同じ系統だったから・・・なのかもしれない」


ちなみにまたたびには【ネペタラクトール】という成分あり、それが猫に作用する話がある。だが、なぜ猫系に効果があるのかは未だ解明されていない。

しかし現段階で分かることと言えば、このままギエルがシルバーバインを口にし続けていれば変調をきたし、ひいては彼に続いて摂取し続けている猫系統の種族・生物の存続にも関わるかもしれない。


「ケイさん、なんとかギエルさんがシルバーバインを口にしない方法はあるのでしょうか?」

「ん~~荒療治になるけど、あるにはある」


ケイがマードゥックの方を向き、許可を貰えるなら考えてみると目線で訴えると、本人には悪いが“是非”やってくれ、とお墨付きをもらう。

了承を得たケイは、パーシアにコップに水を注いでくれと頼み、彼女から受け取ったコップにエンチャントを施した。



「【エンチャント!・味覚矯正】」



コップ全体にパッと淡い光りが宿ると、消失した時には透明な水が鮮やかな紫と緑が混じったマーブル色の液体へと変化する。

エンチャントが施された液体に顔を近づけたマードゥックは、何かの匂いを感じ取ったのか、苦い顔をしながらギエルに悟られないよう指で鼻の穴を隠す。

グドラとバメットも興味を示していたが、何かを察したのかケイ達から少し距離を置き、ブルノワと少佐もマードゥックと同じ反応を示している。


「ケ、ケイさん・・・この飲み物大丈夫なのでしょうか?」


コップを受け取ったギエルからそんな言葉が自然と洩れる。


この場にいるケイとパーシアだけは、その匂い(臭い?)を感じず、臭いのかと尋ねると、本能的にちょっと・・・というギエルの嫌そうな顔が浮かぶ。

現に若干毛並みが逆立ち、人でいう鳥肌現象が起こっているのだが、ちょっと可哀想だと思いつつも、これもギエルの為だと飲み物を勧めた。



「おぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」



腹を括り一気に飲み干したギエルの様子はというと、想定通りのたうち回った。


毒よりマシと言えるほどの苦みが口内を蹂躙しているのか、のどごしを味わった数秒後には床でゴロゴロと悶絶をしている。


「ケイ!ほ、本当にギエルは大丈夫なのか!?」

「さっき俺が試食した時の腹カーニバル具合よりかはマシだろう。しばらくすれば落ち着くから待つしかないな。ちなみに俺が施したエンチャントの液体は、強制的にギエルの味覚を戻す方法だけど、今後は食事療法で食生活をなんとかした方がギエルの今後のためだと思う」


自分の部下であるギエルの様子に顔を引きつらせ、心配そうに見守るマードゥックだが、これまでに思うところがあったのか、辛抱してくれと言わんばかりの表情をみせる。


「ところでパーシア、さっきグドラ達も調味料を味見して貰った時、なんであいつらは砂糖に苦い顔をしたんだ?」

「たしかなことは言えませんが、恐らく生まれ育った環境が一因かと思います」


はじめに四人が調味料の味を確かめた時、グドラとバメットが砂糖に対して苦い表情を浮かべたことに疑問を抱いたケイが質問をすると、人魚族を取り巻く環境要因が関係しているのではとパーシアが答える。


「実際に人魚族の方を見るのは初めてなんですけど、お二人の国は海の中にあるとのことしたから、そもそも海の中には砂糖のような甘味を作り出せる環境になく、甘いという感覚がわからないせいもあるのかと。それに、元の体質が水の魔素を主軸としたものなので、その要因も関係はあるかもしれません」

「水の魔素を主軸にした、ってどういうこと?」

「塩は海からでもできるのはご存じですよね?実は塩にはいくつかの種類があるのですが、私たちが普段口にしている塩は、地下水や山から流れてくる水を加工して作っています。もっと簡単に説明しますと、大気中の魔素の中で暮らしている私たちが水の魔素と交わると、人によっては体調不良になってしまうことがあります。それを防ぐために海で生産できるものは、なるべく地上で作ろうというのが一般的な考え方になります。ですが、人魚族の方は普段から海底で暮らしているため、海の魔素を吸収しやすいため該当しない可能性があるのではないかと思います」


パーシアの話によると、大気中の魔素と水の魔素はそれぞれ性質が異なり、人によっては体内に双方の魔素を取り入れると、希に体調不良を起こす人が出てくる事がある。

しかし港町で活動している漁師や海に囲まれたルフ島の人々は、元からその環境に適応できる体質を持ち合わせている反面、その影響からか味覚の違いという症状で現れている。このことから、実は獣人族の中でシェフになれる人材が限りなく少ない一因ではないかと噂されているが、正式な発表等はされていない。


「人魚族の方はどんな食生活をされているのかはわかりませんが、少なくとも私たちとは異なっているのは想像ができます」

「たしかにルバーリアは、海の中にあるから野菜とか肉を食う習慣はないのはわかるが、俺が見た限り、ジュランジはルフ島と似たような感じだったから、少なくとも農業するぐらいの環境はあるはずなんだよな~ もしかして、草とか実がなっていれば全部“野菜”という認識をしてるわけじゃないよな・・・?」


ケイが何気なくマードゥックの方を向くと、なぜか目線が合わない。


むしろわざと合わせようとしない風にも取れるが、冗談だよな?と尋ねると肯定とも否定とも取れるような表情を向けてくる。

はい!アウト!と心の中で声を上げたくなったケイは、パーシアと庭の一角にある家庭菜園のコーナーを見せた方がいいかもと判断し、四人を庭の方へと案内した。



庭に案内された四人の反応は様々だった。


野菜の仕組みを知らないグドラとバメットは、パーシアからこのような工程で野菜が作られることを教えて貰い、いたく感動している様子をみせた。

聞けばマードゥックからパーシアと違った話を聞かされていたようで、時折グドラがマードゥックに『嘘つくな!』という、ちょっとした喧嘩もあった。


『ここにある野菜はかなり種類が多いんですね?』

「庭師をしているルトという子が野菜を作っているんです。元々は贔屓にしている店の人から種を貰って、それを育てていたみたいで」

『なるほど!ぜひ今度その人にも会って話を聞いてみたいものです』

『ここまで立派に育てているとなると、かなり力を入れているみたいだな。嘘ばかり言っておるマードゥックとはえらい違いだ』


バメットがこの場にいないルトのことを聞き、是非会ってみたいと興味を示し、グドラは今度からパーシアとルトから話を聞いた方が良いなと、マードゥックをバッサリ切り、メンタル的に心を折られているマードゥックをギエルが慰めると、なんとも言えない状況が形成される。


「パーシア、今度ルトにも四人を紹介させてくれねぇか?野菜の栽培とかならアイツも知っているだろ?」

「そうですね。そういえば最近ではローゼンさんも家庭菜園に手を付けているみたいで、もう少ししたらスペースを整備すると相談してましたよ」


時折、ルトと庭で何かをしていると思ってはいたが、ローゼンも家庭菜園に挑戦しているとは思わなかった。

使用人の中では最年長なこともあり、言ってはなんだがジジ臭い発言も聞いた覚えはあるものの、それもいつの間にか口にしなくなったなと考える。


やはり行動範囲が広がったことにより、考え方も変わってきたのだろう。

いずれは大陸外の人々とこの大陸の人々が本格的に交流することを考えると、本当にこの先どうなるんだろうかと、ケイは抱っこをせがむブルノワと少佐を抱えながら、パーシアと四人の様子を遠巻きに観察していたのであった。



余談になるが、この日シンシアとレイブンを迎えに行ったアダムが戻ってくると、ダイニングルームでケイとパーシアが獣族と人魚族を交えて食事している様子を目にする。

ギエルが困惑するパーシアに弟子になりたいと床に頭をつけながら懇願し、酒を口にしたマードゥックとグドラが上機嫌にこの大陸の人々は幸せものだな!と盛大に笑い合い、膝の上で疲れて寝てしまったブルノワと少佐をどうしたら良いかと、オロオロした様子でケイに尋ねるバメットと、なんともカオスな状況に揃って頭を抱えたのは言うまでもなかった。

パーシアから野菜について教えて貰った四人の交流がここから始まりました。

いきなり訪問~ジュランジ&ルバーリア編~は、一旦ここでおしまいです。

次回は、いきなり訪問~ドゥフ・ウミュールシフ編~になります。


閲覧&ブックマーク&感想などありがとうございます。

細々とマイペースに活動していますので、また来てくださいね。

※誤字脱字の報告、または表現の提供をありがとうございます。

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