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NOAH ~希望と地上の守護神~  作者: 地理山計一郎
最終章「希望<ノア>」
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最終話「永遠の希望」

「デヤァア!!」

僕は構えを取り、かけ声を上げながらシヴァに向かっていった。腕のブレードを振りかぶり、シヴァに向かって振り下ろす。しかし、シヴァは瞬間移動で攻撃をよけた・・・・が、生まれ変わった僕は今、シヴァと同等の力を手にしている。瞬間移動だってできる。

僕も瞬間移動をし、シヴァと同じ場所に現れた。

「なに!?」

シヴァは驚き、慌てて攻撃してきたが、僕はそれを受け流すようによけ、裏拳をシヴァの後頭部にたたき込んだ。シヴァはよろめきながらも体勢を整え、回し蹴りを繰り出した。僕はそれを瞬間移動でよけた。

「チィッ!!」

シヴァも瞬間移動する。

僕とシヴァは瞬間移動をしながら攻撃を交わらせていった。互いに一歩も譲らず、一心一体の攻防が続く。

「デヤァア!!」

「トアァ!!」

僕の拳とシヴァの蹴りがぶつかり合い、衝撃でお互い大きく後ろに吹き飛んだ。

「オオオオオ・・・・デヤッ!!」

僕は右手にオレンジ色の光を輝かせ、光の弾丸を発射した。シヴァはバリアでそれを防いだ。そして今度はシヴァが僕に向かって光弾を連射した。僕はそれを走り回りながらよけ、よけながら僕は、両手に光を溜め、その間で丸鋸状の刃を形成し、それをシヴァに向かって放った。

「!!」

シヴァは咄嗟に刃を蹴りではじき飛ばした。

「クッ・・・・!」

「まさか人間とできそこないがここまでやるとは・・・・褒めてやろう・・・・」

今の僕の力はシヴァとほぼ同等・・・・しかし、このままじゃいつまで経っても決着がつかない。それに、このまま戦っていたら、いずれこの街は壊滅寸前。ここだけじゃなく、他の場所も壊れ、やがて日本自体が壊滅する恐れもある。それだけは絶対に避けなければいけない。だけど、シヴァを倒すための決定打が足りない。

『何か1つ・・・・何か1つ、決定打がありゃあ・・・・』

僕の中で猛が呟いた。僕の中にいる三人もこのままじゃ埒があかないことは分かっているみたいだ。しかし、決定打がない以上、このまま地道に戦うしか道がない・・・・と、僕がそう思ったその時、

『頑張れ・・・・!!』

僕の頭の中に声が響いた。だけど、聞こえたのは僕だけじゃなかった。

『お、おい・・・今の声・・・・』

『空耳じゃない・・・ですよね・・・・?』

中にいる猛達にも聞こえていた。

そして、また・・・・

『負けるな・・・・!!』

今度は声が増えた。やがて、その声は大きくなり、数も数え切れないくらいに増えていった。

『負けるな、ノアー!!』

『頑張れ・・・頑張れ!ノア!!』

『私達もついてるわ!!だから負けないで!!』

その声は、世界を包むほどの多く、大きな声が、僕達を包んでいった。その声の正体は、生きたいという人々の思い、願いだった。

「みんなの・・・みんなの声が聞こえる・・・・こんなに暖かい声は・・・・初めてだ・・・・」

やがてその声は粒子になり、アースエナジーに乗り、僕の体に吹き込んで入ってきた。

「な、なんだ、この光は・・・・!!?」

シヴァはこの光を見て驚いている。無理もない。でも、胸を張って言える。これが、人の思いと願いの集まり・・・・すなわち、希望なのだと。

「シヴァ・・・・お前に見せてやる。人間の・・・・強さを!ウオオオオオオオオオッ!!」

アースエナジーとなったみんなの声が僕の体に入り、溢れんばかりの力が僕の体にみなぎった。

体に走るオレンジ色のラインから、光が溢れ、背中に描かれた三本の輪が実体化し、宙に浮遊する。今の僕は、限界突破<オーバードライブ>した。もう、シヴァに負けることはない。

「ちっぽけな人間の力が集まった程度で、我は越えられん!!」

シヴァは右手に光と力を溜め、光線を発射した。僕はそれをよけず、正面から受けた・・・・が、僕の体には傷1つつかなかった。

「バ、バカな・・・・」

今の僕に、シヴァの攻撃は通じない。いや、どんな攻撃にだって、僕には通じない。みんなの光が僕の力になり、僕を最強にしてくれた。

「シヴァ・ドラス・・・・これが、人々の思いと願い・・・・そして、希望だ!この力は・・・・永遠だ。」

「え、永遠だと・・・・!?笑わせるな!我を越える力など、存在してはならない!!」

シヴァは僕に向かって叫ぶと、全身にどす黒い光を纏い始めた。

「な、なんだ!?」

「我が全能力を使い、この大地全体を崩壊させてやろう!!」

シヴァがそう言うと、全身の黒い光がどんどん大きくなっていった。しかし、その時・・・・・シヴァの背中にミサイルが直撃した。

「!?」

シヴァは驚き、後ろを向いた。ミサイルを撃ったのは自衛隊の戦闘機だった。

「に、人間ごときがぁ・・・・・!!?な、なんだ!?急に体が・・・・・!!」

その時、シヴァの体が痙攣を始めた。それを見たジャックが思わず指を鳴らした。

『よっしゃ!あれが自衛隊と米軍の技術の結晶・・・・スタンミサイルだ!!あのミサイルは、当たった相手に超高圧の電流を流して、動けなくするんだ。ノア、やるなら今だ!!』

「わかってる!!オオオオオオオオオオオオオッ!!!」

僕は右手に拳を作り、そこに体のアースエナジーを溜める。そして、溜まった光は炎となり、拳と腕を覆い尽くす。

「くらえ、シヴァーーーー!!!」

「!!」

僕はシヴァの腹目掛けて拳を繰り出した。僕の攻撃で、シヴァは上空に向かって勢いよく吹き飛んだ。

「まだだ!!」

僕は周囲に浮遊する輪を背中に装着した。すると、輪がブースターのように変形し、僕を空へと導いた。

僕は大空へと舞い上がり、体をドリルのように回転させ、吹き飛ばされたシヴァをさらに蹴り飛ばし、さらに遠く・・・・・宇宙まで吹き飛ばした。

僕は胸の装甲を開き、砲門を伸ばした。さらに、砲門の発射角に三本の輪を遠くに配置した。

「これでとどめだ!ガイア・ノヴァ・ブラスト!!」

僕は宇宙にいるシヴァに向かって光線を放った。

「させるかぁ!!」

シヴァも負けじと胸に赤い光を溜め、光線を放った。だが、僕の方の光線は、輪を通るとその太さが増していった。三本目を通った時にはシヴァの光線とは比べものにならないくらいの大きさの光線となっていた。

やがて僕の光線はシヴァの光線を飲み込み、そのままシヴァに向かっていった。

「バ、バカな・・・・なぜ・・・・我が人間に・・・・・!!?」

シヴァはそのまま光線に飲み込まれ、宇宙の闇に消えていった・・・・・

「お前にはわからないさ、シヴァ・・・・殺戮と破壊を繰り返してきたお前に・・・・人間の本当の力は・・・・」

『これで・・・終わったんだな。』

慎也は安堵のため息を吐きながら呟いた。それに対し、僕は首を横に振った。

「いや、まだ終わってない。」

僕はそう言うと、壊れた街に向かって、溢れんばかりのアースエナジーを振りまいた。すると、壊れた街がアースエナジーによって元通りに直っていった。

『すげぇ・・・・壊れた街が・・・・』

『ありがとう、ノア!』

「いや、僕だけの力じゃ、あいつは倒せなかった・・・・倒せたのは、人間達の力があったからだよ。」

僕はそう言って、中にいる三人をアースエナジーに乗せて外に出した。すると、三人を出した途端、僕の体は元の姿へと戻った。

その時、猛の携帯に着信がかかった。

「はい・・・・ええっ!?本当か!?うん・・・・うん・・・わかった!すぐ病院行くからな!!」

猛は喜びながら携帯を切った。

「美咲から電話があって・・・・今、俺の息子が病院で生まれたって!!」

「本当かよ!」

「おめでとうございます、猛さん!」

「よかった・・・・本当によかった・・・・」

今、ここに新しい命が生まれた。そして、その後にも、きっとまた新しい命が生まれる。その命を守るためにも、僕も頑張らないといけない。

「みんな、今までありがとう。僕はまた戦う日まで、海の底で眠ることにするよ。」

「そっか・・・・寂しくなるな・・・・」

「大丈夫。きっと、また会えるよ。だから、その時まで・・・・さようなら。」

僕はそう言って、海の方へと足を進めた。三人に背中を向けながら、僕は小さい声で呟いた。

「ありがとう、素晴らしい人間達。」

そう言って、僕は三人の元を後にした。


「・・・・なあ、猛。子どもの名前、決めてるのか?」

「はい、もちろん!」

「どんな名前にしたんですか?」

「名前は、ノアから取ろうと思ったんだ。ノアは、俺達人間にとって、希望。"希望"から取って・・・・"望"。」



その後、ノアと怪獣達との戦いは、後世に残ることとなった・・・・だが、三人の人間が、ノアと共に戦ったことを、誰も知らない・・・・

世界に絶望が覆われても、そこには希望がある。その希望の光は、世界を包むだろう。その光は、永遠に輝き続ける・・・・




最終章 完  

「NOAH ~希望と地上の守護神~」 完



無事完結しました!今までこの作品を読んでくれた方がいたら、本当にありがとうございます!正直、読んでくれる人がいなかったら、やめてたと思います。しかし、読んでくれる人がいてくれたおかげで、完結することができました。本当に・・・・本当にありがとうございます!!

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