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エッセイ・その他(フィクションとは言えないもの)

クマ駆除に対して前向きになっている今だから考えたいこと

作者: 瑞月風花

ただ単なる私の思いの丈です。真っ向反対されても「そういう考えもありますよねぇ」な感じで、あまり良い反応は出来ないと思います。それでも良ければ聞いてやってください。

感想欄にも様々な考えが書かれてあります。他人事ではなく、考えることが大切だと思います。

クマ被害が連日報道されています。

襲われた方のことを思うと、本当にやるせない気持ちを抱え、ご冥福をお祈りして過ごしています。

飼い犬だって襲われているということも、飼い主の気持ちを考えると、本当にやるせない気持ちになります。


太ったクマ、やせたクマ。

クマにも様々な事情があるのでしょう。今年はどんぐりの凶作だったそうですし。

山に食べ物がないというのも一つでしょうし、私たち人間が、クマという獣の恐ろしさを忘れ、クマの距離が縮まっていた、ということも一つでしょう。山に実をつける広葉樹が少なく、人間が植樹した材木としての針葉樹が増えた結果だという人もいます。もしかしたら、良かれと思って作っていた山林にあるソーラーパネルだって、その木々を失わせる一端を担っていたのかもしれません。


だけど、私たちはクマの事情のために命を落とすわけにはいきません。

私たちは『人間』だから。種を守ることは悪いことだとも思っていません。


ただ、私は野生動物の被害と人間の関係を考えるたびに、いつも思うのです。


戦争のことや、かつての絶滅種のことを。何か過剰になってしまう、そんな性質のことを。


過去の戦争も「やりたーい」と思う方はほぼいなかったでしょう。

命を懸けてお国を守るということを自分自身に言い聞かせなければ、命をかけた戦いなどできなかったことでしょう。そこに『正義』を見つけなければ、歩めず、次第にそれが完全な正義にすり替わって、過激な考えに至ってしまったのだと思っています。


過去に絶滅してしまったニホンオオカミは、人間の生活の変化からくる駆除過多から絶滅に至っています。

もともと日本に存在しなかった狂犬病もその一役を担っています。

狂犬病を持ち込んだのは、海外の犬です。おしゃれだと思った当時の日本人がたくさん飼うようになり、オオカミとの接触から広がったという考えもあります。

狂犬病の免疫がまったくなかったニホンオオカミ、人里の家畜被害、あと、オオカミ信仰のための骨を得るために殺傷していたというものまで。

たくさんのことが重なったと言われています。

誰もが、絶滅してしまうなど、思ってもみなかったことでしょう。


だけど、人里の家畜被害の駆除以外は、人間が持ち込んだ原因です。そして、過剰に信じたがために起きた不幸な過去でもあります。


そして、このオオカミはクマを襲う唯一の獣であり、またクマの食べ物ライバルであるシカやイノシシを食べる肉食獣でした。

もし、このオオカミがいれば、クマの個体数は森の中で完結できていたかもしれません。


人間は自然界のルールから完全に外れてしまった、唯一の生物だと思っています。

窮鼠猫を噛むのネズミのような、ふとした瞬間に何をしでかすか分からない存在が私たち人間。

力は弱いくせに、すべてに影響を及ぼす力を持っている生き物です。


今、クマの駆除は仕方のないことだと思っています。

命が脅かされる存在を助ける必要はありませんから。私たちはヒトですから、ヒトの安全を優先すべきでしょう。さらに町に出てきてしまい、食べ物の旨みとヒトの弱小さを知ってしまった個体は、毎年やってくるでしょうから。


だけど、もし、クマがいなくなったら。

シカやイノシシが増えるのでしょう。また、それを駆除するのでしょうか?

次は、山の木々、草花が自由に伸びすぎて、山の地面への光を遮り始めるでしょう。

地面は腐り始めます。木々も草花も、枯れることでしょう。山を奪われた虫たちが、都市へとやってくるかもしれません。あらたな疫病が人間に降りかかってくるかもしれません。


そうなったら、神話のように方舟を作り、必要な動物たちだけを乗せて、自分たちが汚してしまった土地を捨てて逃げるのでしょうか。いえ、今は肉ですら3Ⅾプリンターで作れると言います。タンパク質さえあればいいのです。野菜だって日光がなくても育ちます。

彼の大手コンピュータ開発者が温暖化で人間の生活は脅かされないというように考えを変えたそうです。

理由はエアコンがあるからと衛生状態を保てるから。

もちろん、可能でしょう。


ただ、それは人間以外の動物たちは排除し、衛生的で空調の利いた快適な箱の中で生き続けることを意味します。それが幸せなのでしょうか?

私たちは、そんな未来を望んでいるのでしょうか。

私は望みたくありません。

多種多様な生き物がいる地球のなかで、それぞれが必死に命というものをつないでいるということがあるから、人間も進化できると思っているからです。多様な生き物があるからこそ、変化に対応できると思うからです。生き物は不思議の宝庫で、人間の知的好奇心をくすぐる最大の宝物です。


そして、檻に掴まった親子グマ、母クマが捕まってしまった檻のそばにいたコグマの駆除のニュースを聴くたびに、思うのです。


これは、いったい誰がもたらした結果だったのか。

もし、クマを人間に置き換えたのならば。

彼らの住む社会を脅かしてきた『人間』が、彼らの爪にかかり子を守ろうとする母の努力むなしく、ともどもに殺されたのなら。


また絶滅危惧になってから、コウノトリ(渡り鳥でもあったらしいので、日本にいた同じ種のものが野生化で増やされています)やトキ(完全な日本のトキはいません)のように人工的に増やすのでしょうか?


『今』を生きることは大切です。だけど、クマは敵で殺すべきものだということだけを信じず、全体の問題として冷静にもっと先のことを考える必要はあるのではないか、と思います。だから数の取り締まりをすべきだという専門家、自治体がある事も知っています。オオカミのいない日本。数の取り締まりをするのは、人間の役目になってしまっているのでしょう。


だけど、目の前で何度も危険報道されていると、人だって刷り込まれてしまいます。

人里に下りてきたらいつだって殺せばいいんだと。

これは、安全なところから見ているだけの、過剰なクマ駆除反対と同じ感覚だと思います。


だから、考えることをやめてはいけないと思うのです。


クマは恐ろしいもの。仲良くなることはない。だけど、本来ならば人間を襲うものではない。そして、私たちは、彼らの生活を変えるだけの力を持つ、とても強い存在。


山を変えてきたのであれば、元に戻すための行動はとるべきでしょう。だけど、山の木々を変えることは、個々ではできませんし、時間もかかります。国が動くか、広葉樹植樹のための募金に参加するか。金銭が関わってくることが、自身の生活を脅かす方もいるので、難しいこともあるでしょう。


だけど、秘境と言われるような山奥へ行って人間のごみを落としてくること、捨てに行くこと。キャンプでのマナーを守らずに、食べ物くずを置いて帰ること。餌付けすること。

ルール違反ですよね。これらのほとんどは、山間部に住む方の問題ではなく、都市部のさらに一部の方が癒しを求めた結果だと思います。実際私も都市部の人間で、自然の癒しを求めて、低い山には行きますし……、なんなら、クマに襲われそうなところをハンターさんが仕留めてくれたらヒーローに思えますし(これ、今はできないんですよね? 人がそばにいるときは発砲できないから)(まぁ、物語のヒロインじゃないので、こんな事ないでしょうけど)。


癒しは必要。

だけど、小さなルールを守るというそれだけでも、人間との距離はひらくはずです。私たちが生きているということは、動物たちもそこで生きているということを忘れてはいけないと思います。


どうか、通り一遍に偏ってしまう世の中ではなく、空調の利いた作り物の箱の中で人間だけが快適に生きる世界を望むのではなく。


生きとし生けるものが、相応のバランスを持って生きていけることを祈っています。

人間だから、それに気づいて、バランスを保てるのですから……。


……とにかく、連日のクマ報道を見ると本当に辛くなってくるのです。

人間が襲われるのも、飼い犬が襲われるのも、クマを駆除したと報道されるのも……。

お腹いっぱいになったクマには、本当に早く冬眠してください……と言いたい。

まだ暖かいから無理とか言わずに……。


どうかお願いします。

参考文献「ニホンオオカミの絶滅理由とは? 原因と生存の可能性を解説」

https://ecotopia.earth/article-9623/

「ニホンオオカミ全滅とその影響」

https://knowledge.awaisora.com/2025/09/24/dce65870-b2ef-46a6-abe6-834e08aa93a9/


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― 新着の感想 ―
 私は、熊が闇バイトを襲うホラー連載を投稿していまして、数年前の構想段階から構成し続け、本年01/01の投稿に至るまで、熊についてを随分と調べていました。  構想段階の数年前は熊被害の話題は殆ど無く、…
初めまして。熊問題。本当に大変なことになっていますよね。 私も熊駆除に関しては反対の立場ではありません。 ただ、本来鹿や猪を狩る。趣味と言えば彼らは心外と思うかもしれませんが。 猟友会の力を借りて駆除…
瑞月風花様、私の文章こそ誤解を招いてしまったようです。 私が言いたいのは、現場は頑張っているので指導ではなく応援が欲しいという趣旨です。 私は熊保護に反対の立場ではありません。 ホームページをご覧に…
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