表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
-from simplex-  作者: @篩獅師(ふるいしし/shi_shi)
【夏の唄】

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

62/433

夏と案山子とキミと僕

 トウモロコシの葉が揺れる頃

 小麦色したキミの素肌を思い出す

 麦わら帽子頭に載せて

 案山子のように片足上げて立つキミを

 

 虫取り網を肩に担いで、兵隊みたいに歩いた道

 少し離れてついていく僕、ふわり黒髪に惹かれていた

 キミはどこへ連れて行こうとしたんだい?

 時々振り向いて手招きをしながら


 決まって見せるキミの笑顔に、僕はドキリとさせられた

 そんなキミには嘘つけないけれど、言葉が出てこなくて

 少しだけ寂しそうな視線、きっと気のせいじゃないよね

 わかっていてもわからないふりして、背伸びして空を見上げた


 トウモロコシのさざなみ抜けて

 空の色した海を遠く探しにいった

 頭の上には入道雲

 案山子のように僕らはとても小さくて


 歩き疲れて足を止めたら、僕らを包む蝉の鳴き声

 とても近くそばに立つキミ、触れた肩が熱く伝わった

 ボクに何を伝えようとしていたんだい?

 シャツの袖をギュッと掴んで放さずに


 困った僕は何も言えずに、大きく息を吐いただけ

 キミの視線は空を見つめたまま、何か言おうとしてた

 少しだけ横に向けた視線、僕の反対側の方

 言葉が出ない何か言いたくても、似合わないなこんな二人


 案山子の上に、麦わら帽子をかぶせて

 僕ら二人の、麦わら帽子を重ねて

 目が合う僕ら、おかしくて笑い出したね

 精いっぱいの、それが出来ることだったよ


 キミが見せてくれた笑顔が、何より大好きだったんだ

 いつの間にか僕らは遠く離れて、それぞれの道を行く

 あのときの物語は今も、あのときのまま未完成

 夏が来るたび思い出すキミのこと、案山子の上の麦わら帽子


(未発表)

 色々と調べていたら、未発表と思しき作品を発見しました。

 これは2013年頃らしいことがメモされていたから2015年頃にかけて書いたものの、一度未完成でとん挫したもの。

 その後、2016年7月から2017年8月と、更に一年かけてやっと形にしたものです。


 静かな夏の農村。

 トウモロコシ畑の中で戯れる男の子と女の子、小学生くらいの子のイメージですけれど、二人の小さな恋物語です。

 

 これで夏をテーマにした作品は恐らくおしまいと思います。


 もう一度探してみて、見当たらなければ、次のテーマに入ります。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ