夕涼み
薄い空の青さに、浮かぶ雲は赤く染まり
ある夏の一日が、無事に終わってゆくところ
ヒグラシの鳴き声に、耳を澄ました縁側で
蚊取り線香の煙、うちわを扇いで崩して
星が空に、輝きだします
風が頬を、撫でてゆきます
何よりも、美しく、何よりも、穏やかに
この瞬間が、いつまでも、このままで
今日も暑い一日でした
今日もせわしい一日でした
だから、ちょっと、のんびりと、夕涼み
お風呂上り、火照った身体を休めながら
古い友人たちに、暑中お見舞い書かなくちゃ
大切な夏の日が、終わってしまう前にでも
キミと過ごした夏は、遠く遠く昔のこと
そんなこと思い出す、今年はちょっと違うボク
星の空に、打ち上げ花火が
風に乗って、弾け飛びます
何よりも、華やかに、何よりも、勇ましく
この瞬間を、いつまでも、焼き付けて
明日も暑くなるそうです
明日もせわしくなりそうです
だから、ちょっと、ぜいたくに、夕涼み
夕暮れ時、浴衣なんて着こなしながら
夏は、まだまだこれからです
夏は、まだまだ続きそうです
だから、ちょっと、今くらい、夕涼み
流した髪、風に揺られて精霊みたい
(-simplex.269g.net-、2006年8月9公開)
近年は日が暮れても暑いので、夕涼みどころではありませんね。
私が子どもの頃は、日が暮れるとす~っと涼しくなって、普通に過ごせました。
野山が多かったからかも知れません。
熱帯夜もあまりなかったと思います。




