夏の日の幻燈
ムキになれるくらい
夢中になったこと、思い出して
好きになれるくらい
コバルトの空一杯、気持ち、飛ばすよ
はしゃいで駆け回った
砂利道、小川のせせらぎ、聞きながら
雲の切れ間、そそぐ陽射し
小さな身体に、溢れるくらい、しみこませ
風が、樹々が、時がボクらを
笑わせたり、泣かせたり、怒らせたりした
願っても、もう、帰れない
無邪気で、無茶苦茶だった、夏の日の幻燈
あれから季節が巡り
変わる景色に、取り残されて、ここにいる
壊れることのない気持ち
今の心に、飛び出すぐらい、弾ませて
少年たちの、夢は終わり
いつの間にか、魔法が解けて、大人になっていた
手を伸ばしても届かない
純粋で、まぶしかった、夏の日の幻燈
(-simplex.269g.net-、2005年8月10公開)
短い作品ですね。
これは自分が子供の頃、だいたい40年くらい前を思い出して書きました。
近所はまだ砂利道だったし、小川や沼も多く残っていて、色々な生き物がいました。
カエルやドジョウ、ザリガニなどもいました。
カブトムシやクワガタも当たり前でした。
古い昔のお墓もありました。
今ではすっかり、その名残もなく、住宅地になってしまいました。
沼を埋め立てて家を建てたり、お墓を潰して家を建てたり。
その場所がどこだったか、買った人たちも、売った住宅会社も知らないだろうなと思います。




