One for the road
これから長い旅路へと、歩き出すキミ
ボクの目の前にいるのは、これが最後だ
だってキミは、だってキミは
もう二度と、ここには戻ってこないんだ
キミがどこへ行きたいのか
ボクは尋ねたりしないよ
言葉代わりに贈るのは
キミのための祝杯
あれほどボクら、同じ時間を過ごしても
あっという間に消え去って
これからボクら、違う時間を過ごすけど
ずっと同じ気持ちのまま
別れの言葉は似合わない、何もいらない
キミの目の前に立つのは、ボクも最後だ
明日、キミは旅に出る
遠く、遠く、僕の知らない世界へと
いったい何を探すのか、知らないけれど
キミの瞳に映る意志、とても素敵だ
この指先、この指先
伸ばしても、もうどうにも遠く離れて
ボクはどこへも行けなくて
キミを想う空の下で
足踏みだけを繰り返す
靴の裏すり減った
いつの間にボクは、歳を重ねて老いていた
ホッとする間も無いままに
あれからキミは、どんな時間を過ごしたの?
多分同じ気持ちのまま
キミの旅路が、今までも幸運でありますように
キミの旅路が、これからも幸運でありますように
続いている空に、祝杯を上げるよ
どこかにいるキミへ、届きますようにと
あれほどボクら、同じ時間を過ごしたね
とっくにそれは、色あせた
これまでボクら、違う時間を過ごしたけど
ずっと同じ気持ちなんだよ
いつかはボクも、老いて死んでしまうのだろう
きっと気が付くこともなく
その先はまた、同じ時間を過ごせるのかな?
変わらない気持ちのままで
(-simplex.269g.net- 未発表)
「one for the road」という言葉は、旅立つ前の最後にかわす盃のことのようです。
元々は英国のバンド、THE KINKSのライブアルバムのタイトルから。
これ、格好いいなって思って、意味を調べて、途中まで書いたのが2017年のこと。
未完成で終わっていたものを、2025年になって書き足して、完成させました。




