鼓動 / crowd
「鼓動」
瞳を閉じて
耳をすますと
身体の底から
鼓動が響く
それはまぎれも無く
ボクが生きている証
それは偽りの無い
キミが生きている証
打ち鳴らされる鼓動は
まるで運命の鐘のように
ボクに生きることを与え
キミに生きることを与えた
このエネルギーに
勝るものは存在しない
どんなに人が知恵を得ても
作り出せない尊いもの
だから鼓動は止まらない
その役目を終えるまで
それがたった一つの
生きている証なのだから
(-simplex.269g.net-、2005年5月28日公開)
* * *
「crowd」
群集の中に埋もれて
自分自身の存在すら
今にも消えてしまいそうな
そんな怖さに取り付かれる
人波はいつも冷たくて
自分のことしかわからない
押しのけながら進んでゆく
自分ひとりが生き残るため
どんな先へ向かっているか
思う余裕はわずかも無く
誰かに支配されるがまま
自分を削り歩いてゆく
立ち止まることも許されず
振り返ることも許されず
意思を持つのも許されず
抗うことも許されない
彼らはきっと迷子のように
今もさまよい続けている
群集の中に埋もれて
消えて無くなるその時まで
(-simplex.269g.net-、2005年5月29日公開)




