追憶 / 不思議が不思議でなくなるとき
「追憶」
忘れたいことは
どっさりあるさ
忘れたくないことは
もっと、どっさりあるさ
机の引き出しのように
大切にしまっては
そっと持ち出して
その時間に戻る
ある日の自分の姿に
だから僕は
今日も生きていかれる
(-simplex.269g.net-、2005年2月26日公開)
* * *
「不思議が不思議でなくなるとき」
不思議が不思議でなくなるとき
僕はいったい、どんな寂しさを感じるのだろう?
きっとそれは、
生まれたときからずっと約束されていて
いつか誰もが訪れる、
子供から大人へと変わる瞬間なのかも知れない
だけど
それはいったい、何時どこからやってくるのだろう?
ある日突然、訳もわからずに
強引に押し付けられて
僕は子供の世界を追い出されて
大人の世界に連れて行かれるのかも知れない
そうしたらきっと
不思議だったことが
単純で当たり前のことに変わってしまい
輝きを失った石ころのように
何もかもがそう見えて
僕の人生は退屈な見世物になってしまうだろう
だから僕は
不思議が不思議であり続けるために
僕の中にずっと、
少年の僕を閉じ込めて
不思議が不思議であり続けるように
変わらない気持ちで、いつまでもずっと
(-simplex.269g.net-、2005年3月6日公開)




