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Old Book
随分と色あせて
埃をかぶった古びた本
そう言えばお前が
昔、一番の友達だったんだ
お前を手に取るのは
一体、何年ぶりのことだろうか
私はとっくに大人になり
お前のことをすっかり忘れていたな
埃を吹き払って
懐かしい表紙をめくると
あのときと同じ
胸の高鳴りが始まったんだ
たったそれだけで
私はまたお前に心を奪われてしまった
一文字一文字、一枚一枚、先へ進むたびに
時のたつのを忘れたあの頃に
私の心は戻っていったんだ
私はお前に命を吹き込んだ
お前は私にそれ以上の恵みを与えてくれたんだ
長い時間が過ぎてしまった
この物語の続きはまた明日にしようか
お前の残像を抱え込んで
私は夢の中へもぐりこむとしよう
(-simplex.269g.net-、2005年3月12日公開)




