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星くずの旅立ち
漆黒の森の中
ランタンのほのかな明かりをぶらさげて
私は歩き続けた
人知れずこれから天へ帰るために
肉体は、もう直ぐ終わりを迎えて
魂は、苦痛から解放される
そして、私は再び星になる
そう、星になるのだ
どうか、哀れむことはしないでくれ
私は幸せだったのだから
次の日になれば、多分私はもうここにいない
私にとって代われるのは、あなただけなのだ
それでも懐かしんでくれるのかい?
かつて『星くず』と呼ばれた私のことを
何か得られることでもあるのかい?
過去はやがて時に消えていくというのに
星が無数の星くずとなり
この地に降り注いだ
それはもう遥か昔の出来事
誰の記憶にも残ってはいない
私はその最後のひとかけら
どこか知らない、遠い世界へ
長い旅に出て行くのだ
今このとき、永遠の旅路へと
永遠の、永遠の、永遠の、永遠の・・・
(-simplex.269g.net-、未発表、2016年10月頃)




