Mr.ROBOT
ボクにはたくさんの、パパとママがいるんだ
設計者や技術者、みんながそうなのさ
生まれはこの星で、一番のファクトリー
たくさんの兄弟と、一緒に生まれたんだ
ボクは一体、何のために生まれたんだろう?
誰も教えてくれないまま
ロボットとして生まれたことだけが
たった一つの本当のこと
ベルトコンベアーに、揺られて流されて
少しずつボクらは、組み立てられていく
子守唄の代わりに、金属音を聴いて
甘いミルクの代わりに、オイルを飲んで育った
ボクは一体、どこへ連れて行かれるのだろう?
選ぶことも出来ないまま
ロボットとして生きてくことだけが
たった一つの許されたこと
そのときがやってきて、ボクは売られていった
どんなご主人なのかは、まだわからないけれど
新しい家族のもと、昼も夜も働いた
考える暇もなく、休む暇はもっとなく
ボクは一体、いつまで働かされるのだろう?
答えなどわからないまま
ロボットとして働くことだけが
たった一つのボクの役目
いつか壊れて、動かなくなって捨てられたとき
きっと何もかも忘れられる
ロボットだったことも忘れられれば
人に生まれ変われるかも知れない
(-simplex.269g.net-、2005年5月8日公開)




