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夕暮れ
夕暮れ、一人歩いた、田んぼのあぜ道を
自転車降りて、私の影、長く、連れながら
稲穂は今、収穫の時を待つ
風に揺られ、輝きをあふれさせ
われ先へ、あかねの空、舞うとんぼに
過ぎてゆく、季節の早さを重ね合わせた
私、ほんの少しだけ、背が伸びたかも
それに気づいた、ちょっと大切な秋
夕暮れ、帰ってゆこう、想い集う我が家
自転車乗って、夕日もほら、沈む、西の空
山の形、群青の影浮かべ
彩られる、ほのかな赤を背にし
北風を、感じさせる、落ち葉の舞い
変わりゆく、景色の装い見守る地蔵
揺れる、長い髪のゆくえ、なぜか楽しく
めぐり出会えた、終わりゆく秋の中
すぐそこに、待ちわびている、冬の姿
忘れない、夏の面影もどこにも無くて……だけど
私、たくさん思い出、見つけられたから
ありがとうって、何度もつぶやいたよ
(-simplex.269g.net-、2008年11月30日公開)




