skecth book
久しぶりだね、こんな晴れた日
風の香りに、誘われたから
退屈そうに、立てかけられた
スケッチブック、片手に取った
むぎわら帽子、かぶった、長い髪
ふんわりなびく、このひと時が
それが一番、何より、好きなのと
呟く言葉、風に贈った
空が見えたよ、雲が流れる、そして、とけて消えてゆく
いつもと同じ、変わらないけど、何か、楽しくなるよね
夏の景色が、まぶしく見えて、だけど、恵みを与えて
揺れる水面の、稲の緑が、とても、輝いていたよ
描けないことが、増えてばかりで
スケッチブック、白いままだね
開いて閉じて、閉じて開いて
持った鉛筆、くるりと回した
時間の流れ、今だけ、ゆっくりと
流れて欲しい、無理なお願い
描き切れない、それだけ、あり過ぎて
だから瞳に、焼き付けたんだ
やがていつかは、大人になって、でもね、忘れたくないよ
まぶた閉じれば、いつでも会える、景色、いつまでもずっと
風に吹かれて、答え探して、いつか、聴いた唄のように
焦らなくても、時間はあるよ、今は、そのままにしよう
空が光って、降り出した雨、それも、何かステキだね
雨が止むのを、待っていたんだ、一人、バスの待合所
虹が見えたよ、優しく光る、はるか、遠い空の中
スケッチブックに、描き切れないこと、一つ、また増えたんだ
(-simplex.269g.net-、2008年9月13日公開)




