147/433
雑踏の中で
久しぶりに、街らしい街に出かけてみると
休日ってことで、やたら、人、人、人……
多すぎて数え切れない、当たり前だけれど
今まで、色んな時代を生きてきた
そして、これからも生きてゆく人たち
そんな人たちに圧倒されて
何だか自分なんて、どの程度の存在だろうって
ちょっと投げやりな気分になったりした
雑踏が、その一瞬限りのリズムを刻んで
それが延々と、いつまでも続いてゆく
色んな笑い声や、感情をぶつける大声
迷子が泣いている声や、感情のない声
などなど、様々な声が唄のように乗っかって
混ざりに混ざった、不思議な音楽を奏でていた
その中の一つが、ボクの足音で
ボクの耳にも、どれがそれなのかわからないほど
だけどきっと、何か意味があるのだろう
だけどきっと、誰かの耳に届いているのだろう
意味の無い人間が、本当は誰一人いないように
雑踏の中にある自分の雑踏も、きっと、そうなんだ
(-simplex.269g.net-、2006年10月29公開)




