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まずはお嫁さんからお願いします。  作者: 桜庭かなめ
特別編7

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後編『口移しをしたいです。』

 夕食は優奈が作ってくれたチンジャオロース。美味しいし、バイトもあってお腹がとても空いていたので、ペロリと完食することができた。

 俺が夕食の後片付けをして、いよいよデザートタイムに。

 俺は冷蔵庫に入れておいたドーナッツと飲み物を取り出し、リビングのローテーブルに運ぶ。優奈の隣でソファーに腰を下ろす。

 優奈へのお土産なので、まずは優奈に選んでもらった。ドーナッツを選ぶときは優奈らしく迷っていたけど、


「では、まずはチョコレートドーナッツにしましょう」


 と、チョコレートドーナッツを選んだ。飲み物はアイスティーを選んだ。その後に、俺はドーナッツはオールドファッションを選び、飲み物はアイスコーヒーを飲むことに。


「では、チョコレートドーナッツをいただきますね!」

「ああ。オールドファッションいただきます」


 俺はオールドファッションを一口食べる。

 優しい甘さと香ばしさがいいな。本当に美味しい。やっぱり、オールドファッションがドーナッツの中で一番好きだ。


「美味いなぁ」

「和真君、オールドファッションが一番好きですもんね。チョコレートドーナッツ美味しいです! 和真君、ありがとうございます!」

「いえいえ」


 俺がそう言うと、優奈はニコッと笑ってチョコレートドーナッツをもう一口食べる。美味しいと言うだけあり、優奈は「う~んっ!」と可愛らしい声を漏らしながらモグモグと食べている。本当に可愛いなぁ。あと、今の優奈を見ているとお土産でドーナッツを買って良かったなって思うよ。

 美味しそうに食べる優奈を見ながらオールドファッションをもう一口食べると、一口目よりも甘く感じられた。

 コーヒーを飲むか。そう思って、俺はアイスコーヒーを一口飲む。……うん、苦味がしっかりとしていて美味しいな。マスタードーナッツのコーヒーは結構好きで、バイトの休憩中に飲むのはコーヒーが多い。

 優奈を見ると、優奈はアイスティーを飲んでいた。ちゅーっ、とストローで飲む姿が可愛らしい。


「あぁ、アイスティーも美味しいです」

「良かった。アイスコーヒーも美味しいよ」

「そうですかっ。……お家で美味しいドーナッツと飲み物をいただけて幸せです。和真君、買ってきてくれてありがとうございます!」

「いえいえ。優奈が幸せになってくれて嬉しいよ」


 お土産で買ってきて本当に良かったって思うよ。

 俺はアイスコーヒーをもう一口飲む。さっき飲んだ一口目よりも美味しく感じられる。


「……あ、あのっ、和真君。一つ……和真君とやってみたいことがあるのですが」

「どんなことだ?」


 優奈……頬をほんのりと赤くしながら俺のことを見ている。いったい、どんなことをやってみたいと考えているんだろう?


「和真君と飲み物を一口交換したいです。……口移しで」

「く、口移し?」


 お互いに飲んでいるものが違うし、飲み物の一口交換は結構するので、そこまではよくあるお願いだと思っていた。ただ、最後の口移しという言葉は予想外だったので、思わずオウム返ししてしまった。

 優奈は頬を赤くしながら頷き、


「はい。和真君と口移ししたいです」


 と、俺の目を見つめてそう言った。

 飲み物を口移しか。お互いに口を当てて、直接相手の口に飲み物を流し込むってことか。優奈の頬が赤い理由も納得だ。

 食べ物を箸やカトラリー類、物によっては手づかみで食べさせ合うことはあるけど、口移しで飲み物を一口交換し合ったことはない。ただ、優奈とキスをして飲み物を渡すというのは魅力的だ。一度やってみたい。


「俺もやってみたい。優奈、やってみようか」

「ありがとうございますっ!」


 優奈は嬉しそうにお礼を言った。


「優奈。今まで口移しは一度もやったことがないけど……何かやってみたいきっかけがあったのか?」

「はい。今日の放課後に本屋さんで買った少女漫画で、カップルが飲み物を口移しで一口交換するシーンがありまして。それを読んだらキュンときまして。和真君とやったらどんな感じなのかなって思ったんです」

「そういうことだったのか。優奈らしい」


 優奈はアニメや漫画のシーンに影響を受けて自分もやってみたいと考えることがある。これまでも、漫画を読んだのをきっかけに壁ドンをしたり、アニメを観たのをきっかけにプールデートをしたり、入浴剤を買って家のお風呂で温泉気分を味わったりした。


「部屋から漫画を持ってきますね!」

「ああ、分かった」


 優奈はリビングを出て行く。

 口移しは初めてなので、どんな感じなのか楽しみだ。そう思いながら、自分のアイスコーヒーを一口飲んだ。

 それから程なくして、優奈が戻ってきた。優奈の右手には一冊の本が。あれが例の口移しのシーンがある漫画かな。

 優奈は再びソファーに座ると、漫画をペラペラとめくっていく。おそらく、口移しのシーンを探しているのだろう。


「ありました。これです」


 そう言い、優奈はページを開いた状態で俺に漫画を渡してきた。

 開かれているページにはイケメンの男子と可愛い雰囲気の女子が描かれている。優奈がさっき「カップルが飲み物を口移しで一口交換するシーン」と言っていたので、この2人はカップルだろう。

 男子は女子のことを見つめ、


『お前の飲んでいるものを一口ちょうだい。……口移しがいい』


 と言う。その申し出に女子は顔が赤くなりつつも、


『いいよ』


 と受け入れて、男子にキスをして自分の飲み物を口移しする。キスしているし、何だか読んでいてドキドキするな。

 口移しが終わると、男子はニコッと笑って、


『すっげー美味い』


 と言った。

 また、ページをめくると、今度は男子から女子に飲み物を口移しして、


『凄く美味しい』


 と恍惚とした笑顔で言っていた。


「……優奈がこのシーンを読んで、俺と口移ししたらどうなるかって考えるのも納得だ。いいシーンだ」

「ですよねっ。口移しの際にキスしているのでドキドキもして」

「俺もそこにドキドキした。……じゃあ、やってみるか」

「はいっ。どっちからやります?」

「優奈が決めていいよ。口移ししたいってお願いしたのは優奈なんだし」

「分かりました。では……まずは和真君に口移ししてほしいです。和真君の口からコーヒーを飲みたいです」

「分かった」


「口移ししてほしい」とか「俺の口からコーヒーを飲みたい」という言葉や、これから初めて口移しをするから結構ドキドキする。

 俺はアイスコーヒーを口に含む。優奈の口からこぼれる危険を減らすために少量を。

 優奈と俺はお互いに向かい合う体勢になる。

 優奈は目を瞑って、少し口を開いた状態になる。おそらく、俺が口移しをしやすくするためだろう。

 俺は優奈にキスをする。優奈が少し口を開いているし、口の中にコーヒーがあるのでいつもとは全然違った感じだ。

 俺は口を少し開く。そのことで俺の口からコーヒーが出て行くのが分かる。そんな中で、優奈は体を軽く震わせて、


「んっ」


 と、優奈の可愛らしい声が聞こえてきた。ゴクッ、と喉が鳴る音が優奈から聞こえてきたので、優奈に口移しできているのだと分かる。

 コーヒーが口から全て出たところで、俺は優奈から唇を離した。目の前には恍惚とした表情になった優奈がいて。

 ――ゴクッ。

 と優奈は喉を鳴らすと、恍惚としたまま笑みを浮かべた。その姿に凄くドキッとする。


「とっても美味しいです。マスタードーナッツのアイスコーヒーはこれまでに何度も飲んだことがありますが、和真君に口移ししてもらった今のコーヒーが一番美味しいです」


 艶っぽさも感じられる笑顔で優奈はそう言ってくれた。今の優奈の言葉にとても嬉しい気持ちになる。


「そうか。良かった。嬉しいな」

「ふふっ。口移ししてくれてありがとうございます」

「いえいえ」

「あと、口移しをするのは初めてなので、和真君の口から冷たいコーヒーが流れてきたときに体がピクッとなっちゃいました」

「なってたな。声が漏れてて可愛かった」

「……照れくさいです」


 ふふっ、と優奈は声に出して笑う。優奈の顔の赤みが強くなっていて。照れくさそうにしているのもまた可愛い。


「じゃあ、今度は私が和真君にアイスティーを口移ししますね」

「ああ、分かった。楽しみだ」


 優奈は自分のアイスティーを口に含む。その姿を見た直後、俺は目を瞑って口を少し開けた。

 それから程なくして、唇に柔らかいものが触れた。おそらく、優奈がキスをしているのだろう。ただ、口を開いているので、いつものキスとは感覚が違う。

 俺の口の中にアイスティーが流れ込んでくる。こういう形で口の中に液体が流れ込んでくるのは初めてだし、アイスティーが結構冷たいのもあって、体がピクッと震えた。さっき、優奈が体を震わせたのが分かった。

 マスタードーナッツのアイスティーは何度も飲んだことがあるけど、優奈の口から飲ませてもらっているから、今まで一番味わい深くて美味しい。そう思いながらゴクッと飲んでいく。

 全て移し終えたのか、俺の唇から優奈の口が離れたのが分かった。その瞬間に目を開けると、至近距離で優奈がニコッと笑っているのが見えて。それがとても可愛いと思いながら、口の中にあるアイスティーを全て飲み込んだ。


「どうでしたか? 和真君」

「……マスタードーナッツのアイスティーはこれまでに何度も飲んだことがあるけど、今のが一番美味しいよ。優奈の口から飲ませてもらったことで味わい深く感じたからかな」

「そう言ってくれて嬉しいです!」

「口移ししてくれてありがとう、優奈」

「いえいえ。……あと、和真君も口移ししたときに体が震えてましたね。可愛かったです」

「口移しは初めてだし、アイスティーが冷たかったからな。さっき優奈が震えたのが分かったよ」

「ふふっ、そうでしたか。……和真君と飲み物を口移しで一口交換できて嬉しいです。ありがとうございます!」

「いえいえ。こちらこそありがとう」


 優奈とキスをする中で、飲み物を流し込まれる感覚も結構良かったし。


「お礼のキスをしたいです。いいですか?」

「もちろん」


 俺がそう答えると、優奈はニコッと笑ってキスしてきた。

 優奈の唇の独特の柔らかさがとても心地いい。あと、口移しのためのキスを2回やったのもあり、いつものキスだなぁって思える。

 数秒ほどして優奈の方から唇を離す。すると、目の前には優奈らしい優しさと可愛らしさを感じられる優奈の笑顔があった。

 それからは、昨日の夜に放送されたものを録画したアニメや優奈も俺も好きなアニメを観ながら、ドーナッツや飲み物を楽しんでいく。その中で優奈とドーナッツを一口交換して。

 ドーナッツや飲み物を優奈が美味しそうにいただいていたり、アニメを観るのが楽しかったりするのもあり、ドーナッツもアイスコーヒーもとても美味しい。なので、ドーナッツも飲み物も難なく完食した。ごちそうさまでした。




特別編7 おわり

これにて、この特別編は終わりです。最後まで読んでいただきありがとうございました。

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