たった一つの願い
評価オナシャス
あれから一日たった。
今日は柚木ちゃんと清水君と一緒に一君のお墓参りに行く日だ。」
そう。今日は一君が亡くなってからちょうど3年目の命日である。
彼が私のことを助けてくれて亡くなってから3年が経つということだ。
私は本で見たことがある。
曰く、人間の感情は時間が経過するほどに風化していくものだと。
でも、私の一君が好きって気持ちは3年が経っても風化することはなった。
「おーい。涼葉ちゃーーん?」
気づけば玄関で柚木ちゃんが叫んでいた。
かなり深く考えていたみたい。
身支度はしっかり整えていたのですぐに玄関に向かう。
「ごめん。柚木ちゃん。それに清水君も。」
「ああ、気にしないでよ!月風さん。今日はあのバカの命日だ。君が悲しい顔してたらあいつが悲しむしな。」
「そうそう。一の奴は私に何も言わなかったし、、、、、、」
「じゃあ、いこっか。」
「「うん!」」
二人同時にうなずいた。
昨日も歩いた道を今日は3人で歩く。
昨日よりも気持ちが軽い。
少し歩いたら昨日も見た悲願の木が見えてくる。
すぐに3人でお墓に向かう。
その間、彼の昔の話で少し盛り上がった。
「おい。一?見てるか?俺達はそこそこ元気にやってるぜ。お前んとこはどうよ?」
清水君がお墓に向かって話しかける。
でも、やっぱり返事は帰ってこない。
「一?私たちもう大学3年生だよ?しかも、私達あと一年で結婚する予定なの。」
少し涙ぐみながら柚木ちゃんもお墓に語り掛ける。
それでも、返事は帰ってこない。
本当なら、
「マジかよっ!お前ら結婚すんの?マジかよ!?絶対式に呼べよな!」
とか言ってたんだろうなって思う。
「一君。あなたが私を助けてくれてから3年もたっちゃった。こんなこと言っても君には届いてないよね?」
自分で言っておきながら涙が出てくる。
そうだ、彼はもういない。
彼の声が再び聞こえることもない。
会話することも、遊ぶことも、触れ合うことも。
何一つできない。
「大丈夫か?月風さん。いや、すまん。大丈夫なわけないよな。」
そう言って謝る清水君も泣いていた。
やっぱり、毎年笑顔でお墓参りしようとみんなで誓うけど、その近いが果たされたことは一度だってない。
みんな悲しくて泣いてしまう。
「ううん。ごめん。泣いちゃって。」
「いや、私も泣いてるし。」
「俺も泣いちまってるからな。」
ねえ、返事をしてよ。一君。
何度でも心でそう願うけど、この3年間果たされたことはない。
みんなで一君のお墓を後にすると悲願の木に向かう。
そうしてみんなで昼食を食べる。
これもいつもの恒例行事ね。
でも、今回は柚木ちゃんと清水君に用事があるらしく先に帰ってしまった。
だから、今回は私が一人残る形になる。
私は悲願の木の下で一人願う。
一君を生き返らせてください。
気になるので教えてほしいのですが、皆さんの好きなキャラは誰ですか?
気が向いたらコメントなどで教えてください。




