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【完結!!】黒髪元気ヒロインを救ったのはボッチ陰キャでした  作者: 夜空 叶ト
君に命が戻るなら

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傷跡

完結してから1週間。

続編書き出すの早すぎんだろ!!

と、思う人もいるかもしれません。

私もそう思います。

でも、書きたくなったから仕方ないです。

 一君が亡くなってから約3年が経過した。

 今や私も大学生

 しかも大学2年生

 そこそこの大学に入ってそこそこのキャンパスライフを送っていると思う。

 しかも、この大学は清水君と柚木ちゃんと同じ大学だから安心できるし。

 

 今は2月。

 大学2年もあと3か月とかそこいらだ。

 そして2月

 3年前に一君が亡くなった月に近くって来た。

 毎年この時期になると少し悲しくなる。

 ちなみに一君の直接の死因となった谷山太陽は無期懲役という判決がでた。


「涼葉も今日やる合コン参加する?」


 そう聞いてきたのは同じ大学の小南さんだ。

 小南さんはいつも合コンなどを開催している人だ。

 私は誰とも付き合う気はないのでいつも断ってるけど。


「いつもそういってるけど涼葉彼氏いんの?」


「いないけど。」


 こんなこと聞かないでほしい。

 本当は私だって最愛の人と付き合ってるはずだった。

 でも、それは叶わなかった。

 彼は三年前に悲願の木の下で亡くなっている。


「じゃあ、今日くらいは顔出してよ。」


 しつこい。かなりしつこい。


「ちょっとみなみん!涼葉虐めちゃだめだよ!」


 柚木ちゃんが助けてくれる。


「はーい。涼葉もごめん。」


「ううん。気にしないで。」


 ほんとはもうやめてほしいけど。


 小南さんは私に謝ると小走りで走り去った。


「柚木ちゃん助けてくれてありがと。」


「全然気にしないで!それに涼葉ちゃんには合コンに行く意味がないし、危ないしね。」


「ありがと。」


 あの事件があって以来清水君と柚木ちゃんは私に気を使ってくれている。

 ありがたいが少し申し訳なくなる。

 でも、3年たっても彼のことを忘れることはできなかった。

 私はそれでもいいと思っている。

 私にあんなに優しくしてくれて、何度も私を助けてくれたのは彼しかいないし、彼が居なかったら私はきっとここにいない。

 でも、やっぱり彼が最後に残してくれたメッセージは救いであり、呪いであり、傷だ。

 私はそう思う。


 それから数週間

 私達大学生は春休みを迎える。

 でも、私は特にやることがない。

 柚木ちゃんを誘おうにも柚木ちゃんは清水君と予定がいっぱいだそうだし誘いにくい。

 だから、私は家でゴロゴロするくらいしかすることがない。


 暇なので、というのも変だが私は一君のお墓に向かう。

 私は時間ができるといつもここにいる気がする。


「一君。私もうそろそろ大学三年生になるよ?ていうかもう私二十歳なんだよ。びっくりしちゃうよね。もうお酒も飲めるし煙草も吸えるんだよ?吸わないけど。」


 お墓に一人でそう話しかける。

 お墓は悲願の木の近くにあり、悲願の木はお墓からも見える。

 いつもこんな風に一人でお墓に話しかけると返答が帰ってこないかと少し期待してしまう。

 こんな風にしていればいつもみたいに一君が声をかけてきてくれて一緒に帰る。

 そんなもしもを夢みてしまう。

 いきなり、


「久しぶり!涼葉。なんか大人っぽくなった?かわいいよ!」


 そんな風に穏やかに笑いかけてきてくれないか?

 そんなことを考えながらお墓参りをして早3年。

 そんなことが起きたのは一度もない。


「そんなことありえないか。」


 私は心の中で少し残念がっている自分にため息をつきながら悲願の木の下に向かう。

 今日は一君の命日の前日だ。

 だから悲願の木には満開と言わないまでもまあまあな量の桜が咲いていた。


「ありがとう。」


 そういって私は帰路についた。

評価オナシャス

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